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チベット問題

チベット問題とは

亡命するチベット人

亡命チベット人 世界中に十数万人

亡命チベット人のコミュニティといえば真っ先にインド・ダラムサラが思い浮かびます。
確かに、インドは世界最大の亡命者受け入れ国で、その人数は10万人を超えますが、インド以外にも、1000人以上の国だけでもネパール、アメリカ合衆国、スイス、ブータン、カナダと、世界中に散らばっているのです。
チベット亡命政府の統計によると、世界各地の亡命チベット人は2002年の時点で約13万4000人、その後も亡命者は後を絶たず、2009年には、中国紙の報道によれば17万人にまで増えています。

なぜこれほど多くのチベット人が祖国チベットを離れて亡命せざるを得ないのか ―― それは、これまで述べてきた中国当局による人権侵害宗教弾圧民族抑圧などによってチベット本土がチベット人にとって安住の地でなくなってしまったからです。逆に、これだけ多くの亡命者が出ているという事実こそがチベット本土におけるチベット人の状況の悪さを明らかに示しているのです。

決死の逃避行

自由を求めて・・・
人権を求めて・・・
信仰を求めて・・・
チベット人としての教育を求めて・・・
ダライ・ラマ法王との面会を求めて・・・
アピールの場を求めて・・・

チベットの人々は国外へ脱出します。

殆どの場合、チベットからネパールに渡り、更にインドをはじめとした各国に移るという脱出ルートが採られます。
チベットからネパールへは、『雪の下の炎』のパルデン・ギャツォ氏がやったようにトラックの荷台などに身を潜めながらダムなどの国境の街まで行って夜中に徒歩でネパール側(コダリなど)へ密出入国するケースも見受けられます。
しかし多くの場合、彼らは雪のヒマラヤを歩いて越えているのです。
6000m級の雪山越えは過酷を極めます。無事国境を越えられたはいいが凍傷が著しく、指や手足の切断を余儀なくされる人もいます。
中には悲願を達成できない者もいます。雪中で力尽きる者、当局に捕らわれる者、そして当局の警備兵によって情け容赦なく殺害される者すらいます(youtubeに投稿された映像)。


ヒマラヤを越える子供たち

亡命者の中には年端のいかない子どもたちの姿も見られます。時には付き添いとガイドの大人だけを伴った子どもたちだけの亡命者グループもあります。
中国の占領下にあるチベット本土では漢化教育が推し進められ、チベット人がチベット人としての教育を受ける機会を、いや教育を受ける機会そのものを阻害されています。「チベット人としての教育を受けさせたい」という親の強い願いが、子どもたちを単身で国外へ送り出しているのです。
ダラムサラのチベット子供村(TCV)にはこうした"ヒマラヤを越える子供たち"が年間800~900人のペースで来ているといいます。
映画『ヒマラヤを越える子供たち』には親を恋しがりながら逃避行を繰り広げる子どもたちのけなげな姿が映し出されています。

願いは"祖国への帰還"

脱出できた亡命者たちは、もはや監視されることも、不当逮捕されることも、拷問を受けることもない、自由と人権を保障された日々を送っています。
ある者はチベットの言語と文化を学び、ある者は専門技術を学び、ある者は信仰にいそしむなどしています。

しかし、彼らは決して幸せではありません。
多くの者はチベット本土に家族の誰かを残してきており、家族の安否を気遣う毎日を過ごしています。
そして、彼らの最大の願い ―― それは「祖国チベットに戻ること」なのです。自ら逃れてきた難民一世のみならず、祖国を知らない二世、三世にとっても、それは共通の悲願なのです。

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