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チベット問題

チベット問題とは

チベットの人権問題(1)

チベット問題には様々な側面がありますが、最も深刻で解決に急を要すべきなのが人権侵害の問題です。
チベットでの人権侵害と言うと2008年3月の大弾圧を思い浮かべる方も多いと思います。しかし、実際のチベットでの人権侵害はそうした突出して表に出ているものばかりではありません。陰でもっと日常的に行われているものなのです。

名ばかりの人権に関する規定

参考までに、「中華人民共和国憲法」では、人権に関して以下のように規定されています。

 第33条

凡そ中華人民共和国の国籍を有する者は全て中華人民共和国公民である。
中華人民共和国公民は法の下一律に平等である。
国家は人権を尊重・保障する。
全ての公民は憲法及び法律の規定する権利を享受し、同時に憲法及び法律の規定する義務を履行しなければならない。

 第37条

中華人民共和国公民の人身の自由は侵害を受けない。
いかなる公民も、人民検察院の批准もしくは人民法院の決定なしに、且つ公安機関の執行によらずに、逮捕されない。
不法な拘禁や、その他の方法で公民の人身の自由を剥奪もしくは制限することを禁止する。公民の身体を不法に捜査することを禁止する。

 第38条

中華人民共和国公民の人格・尊厳は侵害を受けない。いかなる方法においても公民に対して侮辱・誹謗・誣告陥害することを禁止する。

以下を読めば、名目上中華人民共和国の公民であるにもかかわらず、チベット人に対しては憲法がいかに無視されているかよく分かるでしょう。中共はチベット人から国を奪った上に、自分たちの憲法で規定している自由と権利すら奪っているのです。

不当な逮捕と拷問

独立国家だったチベットにとって、中国共産党の侵略軍は招かれざる客でした。当然、チベット国民の中国共産党に対する反発・不信感は根強いものがあります。そこで中国共産党当局は、恐怖政治と言っても過言ではない支配の方式を採ります。

中国共産党当局が取り締まっているのは、明らかな犯罪行為を行った者だけではありません。反体制的な言葉を口にしただけの者、いやそれどころか、反体制的な考え方を持っている疑いのあるだけの者すら「政治犯」「思想犯」として正当な手続きを経ずに拘束しているのです。思想・信条・良心の自由が認められている現代の民主国家ではおよそ考えられません。拘束されたチベット人の多くはこうした「良心の囚人」なのです。
中でも標的とされたのが僧侶(僧侶への迫害については『宗教問題としてのチベット問題』で別途言及)、地主・貴族たちでした。中国共産党は"階級闘争"という自分たちのイデオロギーをチベットに持ち込み、彼らを"搾取する側"として吊るし上げています。

そして、拘束されたチベット人を拷問が待ち構えています。殴る蹴るは序の口で、内側にノコギリの歯のようなものが付けられた手錠・親指錠、宙吊り、強姦、口への放尿、血液・体液の強制抽出、強制労働、犬をけしかける、火あぶりの痕に唐辛子を摺りこむ ―― こうした虐待が老若男女の別なく(強姦は女性に対してだけですが)行われます。
中でも象徴的な道具が電気棒です。元々は牛を追うために使われていた高電圧(一説では5万ボルト)の棒で、牛に使うことすら惨いと思われるこの棒を、中国共産党当局は人間に対して使っているのです。しかも殴るばかりでなく、それを口や肛門、女性器に突っ込むという使い方すらして、肉体的にも精神的にも大きなダメージを与えているのです。
当然、そうした拷問の結果死亡したチベット国民も少なくありません。拷問の結果死んだケースの他、死刑に処せられた「良心の囚人」もいます。

また、教習会(タムジン)の名で公開拷問が行われていたという証言もあります。「人民の敵」などと書かれた札を首に吊るされた"囚人"が身内(子供、弟子、被雇用者、囚人仲間など)を含む衆人環視の前で拷問を受け、見させられている身内は"囚人"を非難することを強要されるという、双方にとって惨いこと極まりない仕打ちであり、チベット社会の分裂の意図が垣間見えます。
まるで文化大革命の予行演習です。そして中国総タムジン状態だったまさにその文化大革命の折、それはチベットで容赦なく繰り返されました。

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