バス憧れの大地へ

富士山

須走ルート登山(2016年7月)

下山(大砂走)

7時5分、下山開始。
須走ルートの下山道は、昨日山頂に到着した場所から、「お鉢」を70mほど進んだ場所がスタート地点だ。景色を遮るものは何もなく、下界の眺望が開けている――はずなのだが、雨こそ無いものの、辺りは登りの時を上回る霞で、100m先はもう白に覆い隠されている。
多くの集団が五合目を目指している。私たちの集団はややペースが速く、次々とその集団を抜かして歩く。昨日の登りでは皆さんから遅れてしまった私も、ここでは遅れることなく着いて行くことができた。(とはいえ、立ち止まって写真を撮れるほどの余裕は無かった)

本八合目で、昨日登ってきた登山道と一時合流。↓のGoogle Mapのストリートビューで、道なりが下山道、鳥居をくぐる道が登山道になる。(当日はこんなに晴れていなかった)

7時55分、登りの時も外のベンチで休ませてもらった本七合目の山小屋・見晴館で、今度は中に入らせて頂いて休憩。8時40分に出発後、再び下山専用道を進む。

途中、迷彩服の集団とすれ違う。自衛隊員たちだ。富士山近くには東富士演習場があるので、そこの演習の一環として登山をしているのだろう。人数が多いということもあるのだが、真っ白な霧に彼らの迷彩服が異様なくらい映えている光景は、迫力がある。
しかし、ここは下山専用道なのだが――敢えて険しい方を登っているのだろうか?
「こんにちは」
「こんにちは。(頂上まで)あとどのくらいですか?」
「まだ結構ありますね」
「と言うか、こちら下山道なのですが...」
「え...?」
どうやら、単純に道を間違えたようだった。
ちなみに、その自衛隊の登山隊は結構な規模で、その後もかなりの人数とすれ違った。

やがて、再び登山道と合流。先程の一隊は、どうやらここで道を間違えたらしい。


七合目の登山道(右方向道なり)と下山道(左方向)の合流点。道を間違えないように。

暫く登りにも通った道を歩き、9時、七合目の山小屋・太陽館に到着。昨日はここまで急な坂を上ってきたが、下りはここからなだらかな坂道を下りていく。
やがて、左側に広い砂地の下り斜面が見えてきた。
ここから先が、須走ルートのハイライト・大砂走である。
この砂の急斜面を、砂の上を滑るようにして下っていくのだ。

大砂走
大砂走の様子。主催者の小林さん撮影

かかとから足を斜面に着地させると、砂にかかとが沈むようにしてめり込む。すると、そのままズズズと、10㎝ぐらい(?)かかとが下へと滑っていく――これを繰り返すことでこの急斜面を下るのである。
砂地を歩くので、砂埃がかなり舞う(この日は雨で湿っていたのでそれ程ではなかったが)。ザックカバーや、ズボンの裾とシューズの隙間を覆うロングスパッツ(上の写真でお分かり頂けるだろうか)は必須。できればマスクや眼鏡(サングラス)もあった方がいい。
大砂走
下山者視線で見た大砂走

 ザッ
   ザッ
     ザッ

といういい音を立てて、皆さんいい感じで滑っていく。一方私は、どうもコツがつかめず、皆さんからどんどん引き離されていく。白い霞の向こうにメンバーの姿がどんどん消えていき、私は取り残されたような、若干寂しい気持ちに襲われてしまった。天気も「霧」から「小雨」に変わり、テンションも若干下がってくる。
しかし、暫く斜面を滑っているうちに、コツが何となく分かってきた。
歩いたりジョギングをしたりする際、「かかとで着地してつま先で蹴る」のが基本である。
しかし、この大砂走では「つま先で蹴る」はいい方法ではない。なぜなら、「斜面にかかとが沈む」状態ではつま先は基本、着地していないからだ。着地していないつま先で地面を蹴ろうとしても、足に余計な動きを加えるばかりである。
ここでは、つま先を使わずに地面にめり込んだかかとと土踏まずを前にスライドさせる感覚で滑り出させるのが正しい方法だったのだ。
コツをつかんだところで、チーム内最下位は脱出(とはいえ、先頭集団には遠く及ばなかったが)。ザッ、ザッ、ザッ、とテンポよく下り進むことができるようになった。富士登山で「スピード感」を感じることができるのはここくらいだ。雨でやや下がっていたテンションも再び上がってきた。
10時ごろ、右手に登山客たちが休憩している場所が見えてきた。事前に「ここで休憩すると」言われていた山小屋・砂払い五合目 吉野屋だ。店先に設置されていたテントの下に、雨を避けて休憩を取っていたメンバーの姿を見つけ、合流。熱いお茶で体を温め、同じタイミングで砂走をしていた女子学生らと会話をしたり、山小屋で飼われている犬のムサシ君に癒されたりしつつ、心身ともにリフレッシュ。
残るメンバーも下って来て、全員が十分に休憩をとったところで、10時20分、出発。あとは前日スタートした五合目に向けて、ラストスパートだ。

細い山道を下り、やがて昨日五合目のスタート地点から登ってきた道に合流する。
私の両脚は既にパンパンになっていた。登りでダメージを受けただけではない。下りでも、特に大砂走で、脚を下に向けて伸ばすという登りとは全く逆の脚の動きが、そして着地の衝撃が、脚を蝕んでいた。他の皆さんと比べて遅れがちになっていたが、私はランニング大会で、どんなに調子が悪くても最後の50mでは猛ダッシュ(本人感覚)するタイプだ。最後は皆さんに追い付いて、五合目に到着。これで、

下山完了=登山完了

旅同様、登山も最終目的は登頂すること以上に「無事帰ること」だ。それが達成された瞬間、私の初めての富士登山挑戦も完了した

「お疲れ様でした! 乾杯~♪」
登山中はご法度だった酒も解禁。登山前に休憩した山荘・菊屋でビールを注文し、富士山登頂記念の美酒を味わう。

休憩後、御殿場駅に戻り、解散。一部のメンバーと銭湯へ行って、山頂では入れなかった風呂に入り、疲れを癒す。


初めての富士山...

登山そのものの経験が浅かったこと、悪天候もあって、なかなかハードな登山になった。一時的に高山病と思われる症状にも見舞われたし、ジョギングで鍛えていたと思っていた足腰も、ジョギングとは違う筋肉の使い方でガタガタになってしまった。景色が良ければ気分も違っていただろうが、それも叶わなかった。
しかし...
[こういうトレーニングを加えれば、次はもっと楽に登れるかな]
[次は天気のいい日に登りたいな]

そう...
私の頭は既に「また富士山に登ろう」という思いで一杯になっていた。

そして、大きな目標ができた。

富士登山を、年に一回の恒例行事にしたい!


完

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