バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

東トルキスタン、大陸中国西北

北京―天津―大連 ~三蔵法師の気分

2002年8月2日

北京―東トルキスタン・ウルムチ間約3000knを、往路は列車のみ利用で8日半もかけて来たが、帰路は飛行機で僅か約58分の1の3時間半。あっという間に北京に到着した。ちょっと味気ないが、まあ、来た時と同じ道をまた延々と戻る気にもならなかったし、シルクロードの帰り道をひとっ飛びというのは、ちょっと「西遊記」の三蔵法師になった気分だ。

北京の空港を出るとすぐに、市内へ向かうリムジンバスに飛び乗った。お陰でこの時は北京の気候を体中に受けることなく済んだが、バスを下りた瞬間、うだるような蒸し暑さに襲われた。
確かに、シルクロードも暑かったが、その暑さには湿気がなく、汗も余り出ず、比較的不快指数の低い暑さだった。しかし、北京の暑さは違う。空気は水分を大量に含んでいて、雨も降っていないのにかかわらず、全身に水を浴びているような感覚。すさまじい蒸し暑さだ。
幸い、バスが停まったのは国際飯店のすぐ横、私の定宿・ユースホステルまで徒歩1分の場所だ。1分1秒でも早く、この蒸し暑さから逃れんと、私は急いでユースに向かった。

宿に落ち着いても、表の暑さを考えると憂鬱になってくる。
(早く湿気の無い大連に戻りたい…)
なるべく地下道を利用しながら、徒歩5分の北京駅に向かった。しかし、大連行きの切符は既に売り切れていた。1年前と同じ状況である ―― ん、昨年と同じ? そうだ。昨年と同じように、天津から船に乗ればいいことだ。
今日の船はもう無理なので、明日天津に向かうことにする。明日の切符なら北京でも買えるのだが、私の体は、やや離れた船の切符売り場に向かうことを認めない程、北京の暑さを拒んでいた。

結局、留学期間中最後の北京の1日は、王府井をぶらついたことと、ユースで知り合った日本人・台湾人と一緒に(私としては)豪勢な食事をするだけに終わった。

2002年8月3日

昨年の旅行の記録によれば、天津発大連行きの船は午後3時。それに間に合うよう、9時半に北京のユースを後にした。
11時半、天津駅に到着。昨年はここからタクシーに乗って100元も費やしてしまったが、同じ轍は踏まない。バスで行こう。直行のものはないので、まず、塘沽駅に行く621番のバスに乗り、塘沽駅で新港行きの102番のバスに乗り換える。
午後1時15分、天津新港に到着。昼食などで時間を潰していればちょうどいい時間 ―― のはずだった。しかし、購入したチケットには「19時出発」と書かれているではないか。
中国では僅か1年前の情報でもあてにはならないということなのか。それにしても、4時間の違いというのは大きすぎる。食事や携帯カセットレコーダーでの音楽鑑賞などで時間を潰して午後6時、ようやく乗船。4等Aの狭い船室に落ち着く。午後7時、「中原号」は大連に向けて出発した。

翌4日朝、大連に帰着。留学期間中、最後の長期旅行が終了した。しかし…

旅はまだまだ終わらない。むしろ、これからだ。

<完>

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