バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

アジア周遊第2部 チベット東南部、大陸中国西南部

ミンヨン(明永)-2 ~氷河とカワカブ

2007年6月16日

木々の間を通る山道が終わり、木製の桟道へと変わる。そこからは木々に邪魔されることなく、ミンヨン(明永)氷河を上から下まで見渡すことができる。
急斜面の上を、そうは見えないがしっかりと流れている氷の河は、幅数百mにもなる巨大なものだった。
氷河
ミンヨン(明永)氷河
全体的に黒ずんでいるが、上の方を見ると白い部分や、きれいな青の部分も見受けられる。時折、「バリバリ!」という、氷の崩れる音が辺りに反響する。
氷河の上には、雲に覆われて全く見えないものの、梅里雪山の主峰であるカワカブがそびえているのである。この氷河は神の山を源流とする、神の河であると言っていい。
歩いている場所はまだ緑があるものの、すぐそばに氷の河があり、上には雪山がそびえている場所である。その上雨が降ってきた。次第に寒さが感じられるようになってくる。

山道を歩き始めてから約2時間。ようやく遊歩道の終着点である展望台に到着した。先ほど通過した中国語で太子廟と呼ばれる祠の時点で標高2900mだったので、ここは3000mを大幅に超えていることになる。
エドワードと2人で暫く氷河の景色を楽しんでいると、チムが上がってきた。一眼レフカメラや大きな三脚を抱えていたので、きつい山登りとなったようである。それに、
「こんなに寒いの初めてだよ!」
という言葉どおり、タイ生まれの彼にとって、この寒さは相当こたえたに違いない。
氷河
4人そろって記念撮影。左から、
カズ、キキ、エドワード、チム

残るキキがなかなか来ない、と思っていたところにエドワードの携帯電話に着信。キキからだった。どうやら自分が今どこにいるのか分からないらしい。取りあえず「太子廟」は過ぎたようなので少し下ってみると、桟道を上ってくる彼女の姿が見えてきた。
キキも合流したところであらためて展望台へ。4人そろって記念写真を撮る。

氷河の景色を満喫したところで下山するが、氷河の向こうにあるはずのカワカブに、まだ後ろ髪が引かれる。
「太子廟」を見学してそこから暫く歩いた後、振り返ってみる。すると、雲が先ほどよりも薄くなっているではないか!
相変わらず頂上は見えない。しかし、これまで雲に覆われて影も形も見えなかったカワカブが、裾野をちらりとだけ私たちに見せてくれた。
私たちとカワカブの間には、タルチョが無数に張られている。あの山がチベット人にとって聖なるものであることを如実に示す光景だ。

カワカブの裾野
一瞬だけカワカブの裾野が見えた
遭難者慰霊碑
ム・ロン村の遭難者慰霊碑

山道を下りてミンヨン村に帰り着く。
遊歩道入り口の近くに、前述した遭難者たちの2つ目の慰霊碑があった。こちらは日本語が書かれていなかったためか、傷つけられることなくきれいな姿を保っていた。

<後日談>
遭難者たちの遺体が発見されていたことを帰国後に知った、ということを前に書いたが、彼らの遺体が発見されたのはまさにこの氷河の氷の中だった、ということも帰国後に知った。そうと分かっていればこの氷河でも手を合わせて彼らの冥福を祈っていたものを ―― 悔やんでも悔やみきれない。
参考資料:小林尚礼「梅里雪山―十七人の友を探して」
小林氏のサイトはこちら

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