ム・ロン(明永)-2 ~氷河とカワカブ
木々の間を通る山道が終わり、木製の桟道へと変わる。そこからは木々に邪魔されることなく、氷河を上から下まで見渡すことができる。
急斜面の上を、そうは見えないがしっかりと流れている氷の河は、幅数百mにもなる巨大なものだった。

全体的に黒ずんでいるが、上の方を見ると白い部分や、きれいな青の部分も見受けられる。時折、「バリバリ!」という、氷の崩れる音が辺りに反響する。
氷河の上には、雲に覆われて全く見えないものの、梅里雪山の主峰であるカワカブがそびえているのである。この氷河は神の山を源流とする、神の河であると言っていい。
山道を歩き始めてから約2時間。ようやく遊歩道の終着点である展望台に到着した。先ほど通過した中国語で太子廟と呼ばれる祠の時点で標高2900mだったので、ここは3000mを大幅に超えていることになる。
4人全員無事到着し、氷河の景色を満喫したところで下山するが、氷河の向こうにあるはずのカワカブに、まだ後ろ髪が引かれる。
「太子廟」を見学してそこから暫く歩いた後、振り返ってみる。すると、雲が先ほどよりも薄くなっているではないか!
相変わらず頂上は見えない。しかし、これまで雲に覆われて影も形も見えなかったカワカブが、裾野をちらりとだけ私たちに見せてくれた。

山道を下りてム・ロンの村に帰り着く。 遊歩道入り口の近くには、前述した遭難者たちの2つ目の慰霊碑があった。
<後日談>
遭難者たちの遺体が発見されていたことを帰国後に知った、ということを前に書いたが、彼らの遺体が発見されたのはまさにこの氷河の氷の中だった、ということも帰国後に知った。そうと分かっていればこの氷河でも手を合わせて彼らの冥福を祈っていたのに――悔やんでも悔やみきれない。
参考資料:小林尚礼「梅里雪山―十七人の友を探して」
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