バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

韓国、モンゴル

ハラホリン-1 ~衰退した古都

バスがハラホリンに差し掛かったと知り、私は最後部の座席から前へと移動した。
「どこへ行きますか?」と日本語のできる人に尋ねられたので「エルデニ・ゾー」と答えた。
「エルデニ・ゾーならここで下りて来た方向に戻って下さい」
車掌に身振りでそう言わる。どうやら少し前に通り過ぎてしまっていたようだ。バスを下り、来た道を少し戻ってみる。
間もなく、左手の草原のど真ん中に、塀のようなものに囲まれた広いエリアが見えてきた。最初、私はそれをファーム(農場)か何かかと思ったが、どうも農業や放牧をやっているようには見えない。見えるのは、建物数件だけだ。
[ファームじゃない。あれは…]
それこそまさに、400年以上の歴史を持つ仏教寺院エルデニ・ゾーだった。よく見ると、塀には仏塔が幾つも(108基)設置されている。

エルデニ・ゾー
エルデニ・ゾー遠景

あそこには後でゆっくりと訪れるとして、ともかく、これで自分のいる場所と目指すべき場所が分かった。私はエルデニ・ゾーの近くにあるツーリストキャンプを目指した。モンゴルで寝泊りするなら、やはりゲル(移動式テント)といきたい。ツーリストキャンプではゲルに宿泊することが可能なのである。
しかし、目的のツーリストキャンプに到着してみると門が閉ざされていた。そこに着くまでの途中にも別のツーリストキャンプがあったが、そこも全くひと気が無かった。どうやらこの冬の時期にハラホリンに来る旅行客は少なく、ツーリストキャンプはどこも閉鎖されているらしい。
となると、ゲルは諦めてホテルに泊まるしかない。 ハラホリンの中心広場入り口一帯
ハラホリンの中心広場入り口一帯
ザハ(市場)のある中心広場に向けて足を動かすが、ここにきてモンゴルの冷たい空気が私を襲う。但し、体の外からではなく、内側からである。
ハラホリンは海抜2000m級の高地である。空気が薄く、バックパックを背負いながら歩いていると息が上がる。深く呼吸をする度に冷たい吸気が肺に突き刺さるようにしみ、このまま歩き続けたら肺炎になるのではないかと思われたくらいだ。
あえぎながらも中心広場に到着。広場奥のレストラン兼宿屋のムングモドに入り、一息つく。一応スチーム暖房が入っているが余り暖かくはなく、夜には寝袋を引っ張り出すことになる。

ハラホリンは、旧称をカラコルムという。13世紀、モンゴル帝国の2代目大ハンであるオゴデイ・ハンが都を置いた古都である。しかし、今は工場がある以外は平屋やゲルがあるばかりの小さな村だ。フビライ・ハンの時代に大都(現在の北京)に遷都して以来衰退したということだが、それ以外にも、先ほど見たエルデニ・ゾー建設のために元々あった宮殿などが解体されて建材とされたこともかつての面影を失った一因であるようだ。
エルデニ・ゾー
エルデニ・ゾー入り口
のどかなのは悪くないが、そんな歴史を考えると一抹の寂しさが感じられる。

体が温まったところで、再び表に出る。身軽になってしまえば先ほどのように息も荒くはならず、肺が冷えるような感触に襲われることもなくなった。
再び、エルデニ・ゾーに向かうが、冬の間は17時で参観時間が終わってしまう。着いた時には16時半を回ってしまい、これではじっくり参観できないだろうと、この日は門の外から少しだけ中の様子を見、表から一辺400mもある、城壁と言ってもいい程の風格を誇る塀を眺めるにとどめる。

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