バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

ジャワ島(インドネシア)、シンガポール

ジョグジャカルタ-3 ~スルタンの離宮と影絵芝居

ガスン市場
ガスン市場
クラトン(王宮)から次の目的地へと移動する間の場所に、ガスン市場があった。地元民が食糧や生活必需品を買うための市場で旅行客が必要とするものは少ないが、その地の人々がどのような暮らしをしているのか、どのようなものを食べているのかなどが垣間見えるので、私は市場を覗くことが結構好きである。インドネシアの市場で目を引いたのはやはりフルーツ。パイナップルやドリアンやココヤシなど、赤道直下ならではのフルーツが山積みになっている。

市場を抜けて訪れた次の場所は、タマン・サリというスルタンの離宮。こちらはほぼ白一色の ヨーロッパ風建築で、ジャワ文化とヨーロッパ文化が混合した王宮とは趣を異にしている。4年前のジャワ島中部地震で損壊したそうだが、修復が完了したようで、私の見た限りにおいては地震の爪跡は感じられなかった。
「ここは王様家族のプール…ここは女官のプールです」
無料でついてくれたガイドが説明する。 タマン・サリ
タマン・サリ
そう。この離宮を特色づけているのは、スルタンや王妃、女官たちの水浴びのために使われていたというプールだ。しっかりと水が入れられていて、当時の様子が再現されている。30度を超す暑さの中、建築物の白壁と澄んだプールの水は一服の清涼感をもたらしてくれている。
建物の中にある小さな部屋にも案内された。同じような部屋が幾つもあるが…
「ここには女官が暮らしていました。そこの窓から王様が覗いて、お気に入りの女官を選んでいました」
ということは  ――  かなり「ハーレム」の色彩が強い離宮だったようだ。スルタンの華麗なる生活ぶりが垣間見える離宮である(まさか知事をやっている現在のスルタンはこういうことはやっていないだろうが)。

タマン・サリから東へ少しばかりあるくと広場があり、その広場に何かのゲートがある。何だろうと思って近づいてみたところ、先ほど王宮に入場した時にカメラに付けた使用許可の札を見つけた係員が「チケットはありますか?」と尋ねてくる。もしや、と思って王宮のチケットを提示したところ、「どうぞ」と促された。
入った先にあったのは…
やはり…
先ほど見たばかりのクラトン(王宮)だった。
別に2度入場する必要も無かったのにな  ――  と入った直後は思ったのだが、程なくして「このタイミングで入場してよかった」と思わせられる場面に遭遇した。

インドネシア伝統の影絵芝居ワヤン・クリッ
インドネシア伝統の影絵芝居ワヤン・クリッ
ワヤン・クリッの伴奏
ワヤン・クリッの伴奏

インドネシア伝統の影絵芝居ワヤン・クリッだった。伝統楽器の生演奏に乗せて叙事詩「ラーマーヤナ」を題材にした人形芝居の影がスクリーンに映し出されている。「ラーマーヤナ」を題材にした影絵芝居といえばカンボジアのプノンペンで見たことがあるが、手足が動いたりはしないカンボジアのものと比べてこちらは手足の関節の動作まで再現されていて、完成度が一段と高い。
ほんの少し見た程度だったが、意図していなかった再入場で思いがけずインドネシアの伝統の一端に触れることができたのは嬉しい幸運だった。

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