バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

ギリシャ、カタール、香港

クノッソス ~牛人住む迷宮

昨日メーデーで休園だった反動からか、クノッソス宮殿跡の入場口には長蛇の列ができていた。やはり、クレタへ来たのなら ―― 否、ギリシャに来たのなら ―― この伝説の迷宮を一目見たいという気持ちは皆同じようである。
クノッソス宮殿
クノッソス宮殿。右側に見えるのが牛の壁画

入場口から向かって左に回って、北の入り口方面へ歩く。入り口の上には、3分の1ほど損壊した神殿のような建築物があり、その壁には荒々しく角を振りかざす赤い牛が描かれている。ここに描かれている牛は混じり気なしの牛のようだが、この宮殿に牛人・ミノタウロスが閉じ込められていたという伝説を思い起こさせられる。

一見したところ、敷地面積は想像していたよりも小さいように思われた。しかし、中に入るとそんな第一印象は一掃されてしまう。とにかく入り組んでいて、右に左に、上に下にととにかく色々な方向へ歩かされる。「まだあそこに行っていないかな」などと思ってうろうろしているとまたさっきと同じ場所にでてしまう、ということもしばしばあった。
遺跡には、高台の真ん中に設けられた中庭を中心に、王座の間あり、女王の間あり、倉庫あり、奉納庫あり、聖水の池あり、壺が並べられた場所ありと、様々な施設がある。今でこそ多くが損壊しているものの、無数の壁の痕跡が残っていて、それらが十分な高さを有している姿を想像すると、そこに浮かんでくる建築物はおびただしい数の部屋や廊下を持った、まさしく“迷宮”だ。
ミノタウロスをここに閉じ込めたというのはあくまで伝説にすぎないが、これだけ複雑な構造であれば化け物を封じ込めたという言い伝えが生まれても不思議ではないだろう。

クノッソス宮殿
複雑な構造のクノッソス宮殿

見どころは建築物ばかりではない。冒頭で述べた牛の壁画を筆頭に、王座の間の獣の壁画、女王の間のイルカの壁画、エジプト文明の影響を受けたのではないかと思われる人物画など、絵画の分野で芸術的にも目を見張るものが数多くある。

王座の間
王座の間
女王の間
女王の間
人物画が描かれた壁
人物画が描かれた壁

この宮殿を産み出したクレタ文明が栄えたのは、古代文明としては高度な文明が栄えたギリシャのポリス時代から更に1000年ほどさかのぼった古い時代だという。遥かいにしえの先人たちの叡智にどのようにして賛辞と驚嘆の辞を送ればいいのか、見当がつかない。ただただ言葉を失うばかりだ。

古代のラビリンスを心行くまで満喫したところで、イラクリオンへの帰途へと向かう。
エーゲ海の陽光を浴びるオレンジと花
エーゲ海の陽光を浴びるオレンジと花

出入り口近くにある中庭に目をやると、オレンジ色や黄色の花が咲いており、手前の囲いの上には、オレンジを山と積んだバスケットが2つ置かれている。花もオレンジも、エーゲ海らしいまばゆい陽光を浴びて鮮烈な暖色を発していた。

[この太陽の光が、クレタ文明を築いた人々に収穫をもたらしたんだな…]

そんなことを考えたが、クレタの人々と文明を育んだのは太陽ばかりではないだろう。先程遺跡で見た壁画の中にイルカのものがあったことからも分かるように、クレタ文明はエーゲ海に抱かれた海洋文明だったはずなのである。

クレタ文明は、クノッソス宮殿は、太陽と海の賜物なのだ。

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