バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

ラダック、北インド(2011年)

スル谷」の記事

ザンスカール―カルギル(2)

2011年9月30日

カルギルへの車は、7時すぎになってようやくパドゥムを出発した。

来た時と同じ道ではあるが、進行方向が逆だと見える景色も違う。また、何度見てもいい景色というものもある。特にドゥルン・ドゥン氷河では、私も田辺さんもテンションを上げて、埃っぽい荒野を走っているにもかかわらず車の窓を全開にして写真を撮り続けていた。

今回特に印象に残ったのは、道と川の方向が西向きから東向きへと変わった後のスル谷の景色だった。山と山との間に、スル川が切り開いた広大な谷が横たわっているのである。
『風の谷』

[これこそ、『風の谷』だ・・・]

私は名作アニメ『風の谷のナウシカ』の情景を思い浮かべていた。

4年前、私は『風の谷』のモデルではないかといわれる同じくカシミール地方の、現在はパキスタンの実効支配下にあるフンザを訪れて、その清らかで幻想的な谷の風景に、なるほどこれは『風の谷』のモデルかもしれないな、と感じたものだった。ただ一つ、あの名作の谷に比べて狭いかな、という違和感だけがぬぐえなかった。

今眼下に見える風景はどうだろう。山と山に挟まれた広大な谷の中に、川が流れ、小さな家屋が点在し、収穫後ではあるが田園風景が広がり、緑の木々が林を形成している。
『風の谷』のモデルは実は、フンザよりもむしろその上流にあるラダックではあるまいか――そんな気がしてならなかった。

さて車は、なぜか途中で発電用のタービンをピックアップしつつ、スル川に並行する道を下っていく。行きと同じ3箇所のチェックポイントでパスポートチェックを受ける毎に、ザンスカールから遠ざかっているのだな、ということを感じる。

スタートで出遅れたため明るいうちに到着できるがどうかやや不安だったが、車は出発から10時間強の午後5時半、カルギルのメイン・バススタンドに到着した。その10時間の間トラックの荷台に置かれていたバックパックは、荒野の風に吹きさらされて埃まみれになっていた。

到着して真っ先に行ったのが、メイン・バススタンドでレー行きのバスを探すことだった。これが見つからないと騒がしいだけで何の面白みも無いカルギルで余分な長居を強いられることになる。
ところが探し始めて1分とたたないうちに、至極きれいなレー行きのバスが見つかる。運賃は1人300ルピーと、思っていたよりも安い。私と田辺さんは即そのバスのチケットを購入し、出発時間である翌午前4時半まで近くのゲストハウスで一息ついた。

ザンスカールへ(2)

2011年9月27日

サンクからの道は確かに悪路が多く、厳しかった。とはいえ、先日トラックでアルチ~ラマユル間の悪路を越えてきた身には、ジープに襲ってくる振動ぐらい何ともなかった。むしろ、車窓から見えるスル谷と標高5000m超の雪山の景色を、シャッタースピードをかなり速くして撮影しつつ楽しむ余裕すらあった。
スル谷と雪山の景色
サンク―テシェル間にて

9時10分、テシェルに到着。ここで最初のパスポートチェックを受ける。何か、4年前に訪れた同じくカシミール地方のインダス川流域のパキスタン・フンザに行った時のことを思い出す。

その後、山道に差し掛かって川を遥か下に見下ろす位置にまで上がり、進路を南から東へと変える。するとその先は、舗装された箇所が全く無い悪路の連続となり、ジープの速度は自然と遅くなっていった。

上がったり下がったりを繰り返しながら、12時半、ランドゥムに到着。このあたりが大体中間点だ。ここで昼食をとり、2度目のパスポートチェックを受ける。
ここでようやく、ゴンパが見えてきた。ランドゥム・ゴンパである。
ランドゥム・ゴンパ
イスラムの街カルギルからここまで、仏教的な要素はチョルテン(仏塔)を一回見た以外全く見られなかったのだが、どうやらここから再び仏教圏に入るようである。

そして午後2時20分、標高4400mのペンジ・ラ峠を越える。
ペンジ・ラ峠
ここから先が、いよいよザンスカールだ。

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