バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

ネパール(2012年)

スワヤンブナート、ブダニールカンタ ~仏教―ストゥーパ―と、ヒンドゥー教―ヴィシュヌ―

スワヤンブナート
さすがは“モンキー・テンプル”
シンギング・ボウルに挑戦する仲間たち
シンギング・ボウルに挑戦する仲間たち
ダクシンカリから一気に北上して、カトマンズ西郊外へと進む。次に向かうは、スワヤンブナート2007年のネパール訪問時にも訪れた、丘の上にストゥーパがあるチベット仏教寺院だ。サルが多いことから“モンキー・テンプル”の異名を持ち、前回来た時はそれ程多くは見かけなかったサルが、今回はその名に違わず、麓の祠から石段の途中、丘の上まで至る所で元気に動き回っている。(余り元気すぎると困る連中だが…)

ストゥーパに向かう途中で、ちょっと寄り道。土産屋に立ち寄ったのだが、私はとりわけ、以前から気になっていたシンギング・ボウルという、専用のばちで銅製の椀のふちをなで回して浄化の音を出すチベット仏教の仏具に気持ちが向いた。これまでも何度も挑戦しては音が出ずに残念な思いを繰り返していたが、店のお姉さんにコツを教えてもらうと、面白いように「フォォォーーン」と心地のいい音が出るではないか。コツを教えてもらったお礼の意味も込めて、迷わずその店で買うことに決め、手頃な物を買い求めたが、物色に時間をかけすぎて他のメンバーを待たせてしまった。

丘の上に着くと、白いドームの上にブッダ・アイが描かれた金色の三角帽子を載せた立派なストゥーパが、5年前と同じように出迎えてくれた。後ほど皆でマニ車を回しながらストゥーパの周りをコルラ(仏教の聖地を時計回りに歩く巡礼)したが、私が一番真剣だったのは言うまでも無い。
スワヤンブナートのストゥーパ
スワヤンブナートのストゥーパ
伝説によると、カトマンズ盆地はかつて魔物の棲む湖だったが、その湖に浮かぶ小島に現れた大日如来に敬意を表した文殊菩薩が剣で山を切り裂いて湖の水と魔物を流し出し、その跡に肥沃な大地が姿を現したという。その大日如来が現れた小島こそが、ここスワヤンブナートだということだ。
この丘からはカトマンズの街を一望することができるが、カトマンズ盆地がかつて本当に湖だったことは科学的にも証明されているので、時間を遥か昔に逆回しすれば、ここから見えるのは広大な湖だったことになる。そう考えると、1つの景色にも悠久の歴史の背景を感じ取ることができる。

「皆さ~ん、こっち。お寺の中を見ますよ」
案内人のゴビンダが声をかけてきた。そう言えば、前回来た時も寺院の中は見ていなかった。喜んで参観させて頂く。
入るとすぐに金色のご本尊が見られるが、今回の本命はここではない。奥の礼拝堂で行われている勤行の様子だ。ドゥンチェンと呼ばれるチベット式ホルンの重厚な低音が響き渡る中、チベット僧たちが読経にいそしんでいる。
立派なストゥーパを見て、マニ車を回しながらコルラしているだけでもチベット仏教の雰囲気は十分に味わうことができるが、やはり仏教の本質はここにある。読経の声の中、私は礼拝堂の仏様に祈り――通常のお祈りでは飽き足らず、五体投地まで――を捧げた。

スワヤンブナートから望むカトマンズ盆地
スワヤンブナートから望むカトマンズ盆地
読経する僧侶たち<
読経する僧侶たち

カトマンズ郊外を南から西へ、西から北へと大忙しで移動する。
次に向かったのは、カトマンズから北へ10kmほどの山麓にあるブダニールカンタという場所だった。ここはヴィシュヌ神を祀るヒンドゥー教の聖地だが、そのヴィシュヌ神の祀り方が独特だ。
ブダニールカンタのヴィシュヌ像
ブダニールカンタのヴィシュヌ像
敷地内に入ると、長さ10mほどの長方形のプールが目に入る。そしてそのプールの上に、オレンジ色の布を被せられた身長5mにもなるヴィシュヌ神の石像が浮かぶようにして横たわっているのだ。ヴィシュヌの住む場所が海の中だと言われていることからこのような安置の仕方になったらしい。
まばらではあったが、この像の足元まで近づいて献花するヒンドゥー教徒もいた(足元まで近づけるのはヒンドゥー教徒に限られている)。
「この神様の像は、7世紀に畑の中でお百姓さんが見つけたのですよ」
ゴビンダが説明する。「7世紀に造られた」とする本やWebページもあるが、そうではなくてそれよりもっと前に造られていたという訳だ。ともあれ、中国・西安の兵馬俑坑にも似た歴史の偶然の発見というのは、何かロマンをかき立てられるものがある。

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