バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

大陸中国・重慶―三峡―赤壁

豊都 ~冥界の入口

2000年9月25日

上帝像
上帝像
翌朝 ―― 船は豊都に接岸した。
いよいよ、この船旅初の観光だ。しかし、天気は相変わらず芳しくない。
揃いのバイザーをかぶったツアーの一団は、やはりほとんどが中国人。外国人は、私と、カナダから来たジュディという若い女性の、2人だけだった。
豊都の街の北にあるのが、鬼城名山。漢の時代の仙人伝説が転じて、閻魔大王が住むと伝えられるようになった山だ。
麓からリフトに乗って、私たちは山頂にある“冥界の入口”へと向かった。
入ってまず目に付くのが、上帝像だ。金色に輝くその衣服と精悍な顔立ちは、皇帝よりさらに上に立つ者にふさわしい、威風堂々とした風格を備えている。もちろん架空の存在なのだが、あの目で天上からにらみを利かされていると思うと、信心深い人ならさぞかしおっかない気分になることだろう。
上帝廟からしばらく歩くと、道の両側に木製の鬼の像が幾つも並んでいる。カラフルに彩られているが、派手というわけではなく、いかつい顔をしていることもあって、確かに、鬼らしく、おどろおどろしい雰囲気はある。 鬼の像
道端に並ぶ鬼の像
しかし、所々色がはげ落ちており、それに如何せん、作りがチャチだ。
恐ろしさよりも、滑稽さの方が先立った。
さらに少し歩くと「天子殿」がある。しかし、ここで皆の注目を集めたのは、建物そのものではなく、その前に置かれている石の枡だった。上から見ると、下の図のように、枡の底の中央に直径15センチほどの半球が顔を出している。
小柄で聡明そうな中国人女性ガイドが、この石の枡について解説をした。
この半球の上に片足で3秒以上立てたら、あなたは天国に行けます
これに果敢にも挑戦したのが、カナダ女性のジュディだ。
上から見た石の枡
ふらふらしながらも、彼女は何とか3秒片足立ちを続けることができた。
特にギャラリーから大きな拍手が出た、ということも無かったのだが、鬼城名山巡りで一番楽しかった一幕であることは確かだ。
私たちが“冥界”から地上に戻ると、船は再び長江を下りはじめた。
しばらく船室でくつろいだり昼食を食べたりしていたが、船はなかなか次の寄港地に立ち寄ろうとしない。気が付くと、万県の街並みが見えてきた。
万県と言えば、石宝寨からかなり下流に行った所にある街
―― しまった! 石宝寨を見逃してしまった
ダムができてしまえば水没してしまう、清代の楼閣を、今後見るチャンスはあるだろうか・・・痛い失敗をしてしまった。

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