バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

チベット、大陸中国周遊

平遥、太原 ~古城の街

2001年8月16日

前日太原に到着した私は、即座に鉄道駅で16日5時46分初の平遥行きと、同日午後2時40分発の大同行きの列車の切符を購入。当日朝、5時過ぎにホテルを出ようとした。しかし、エレベーターは動かず、階段への扉も鍵がかかっている。私は服務員を探したが、見つからない。そうこうしているうちに、扉の向こうの階段に男の人影が見えた。私がノックをすると、男も事情を察したらしい。近くにいた服務員を起こして、鍵を開けてもらった。
しかし、列車には間に合わなかった。私はまず、バスを駅前で探したが、他の街へ行くものはいくらでもあるのに、平遥行きのものだけが見つからない。次の列車は9時45分 ―― これに乗るしかなさそうだが、そうなると昨日切符を買った大同への列車に乗ることが難しくなる。
幸いなことに、太原駅では当日と翌日の切符の販売状況を電光掲示していた。それによると、その日の夜発の大同行きの硬臥がまだ残っている。私はその2種類の切符を買い求め、9時45分になるのを待って平遥に向かった。

平遥は、古城の街。
世界遺産にも指定されている明代の城壁に守られた、古き良き雰囲気を受け継いだ街並みだ。ただし、確かに街並みは落ち着いていて素朴だが、そこに住む人もそうかとなると、疑問符が付く。というのも、この街は良くも悪くも“古城の街”であり、古城を中心に観光地化されていて、輪タクや土産売りの呼びかけが、結構しつこいのだ。
平遥古城
平遥古城
古城は確かに、古き良き雰囲気に満ちた、美しい建造物だった。ただ、威風堂々とした雄々しさに欠けている。どちらかと言えば、繊細なたたずまいだと言ってもいいかもしれない。
城壁は、街の治安を守り、外部からの侵略を防ぐためのものであって、雄々しく、猛々しくあってしかるべきものだ。 平遥の古城は、その本来の目的を忘れさせられる位、美しすぎた。
満足したような、もの足りないような、奇妙な気持ちを抱いたまま、私は太原に戻るバスに乗り込んだ。

太原で両替をしたり、散歩をしたり後、私は夕食をとろうと、街中で目に入ったマクドナルドに立ち寄った。
中国に来て以来、私は、中国でなくても行くことができる所だからと、そういった外資系のファストフード店に自分から入ったことは一度も無かった。しかしこの時は、気分的に疲れていた。心が安心を欲しがっていた。
危険信号だな、と私は思った。平遥で古城に満足できなかったのも、そういった心情が原因だったのかもしれない。

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