バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

大陸中国・山東省

済南・2 ~仏と泉と湖

2004年10月4日

趵突泉の次に訪れた山東省博物館は、兵馬俑の特別展以外は地元市民の作品展示会のようなものばかりで、山東省の歴史を知りたいと思っていた私の期待は見事に裏切られた。
千佛山の大仏
千佛山の大仏
口直しにと、近くの千佛山に入る。 名前から分かるように、青島の崂山が道教の山であるのに対し、こちらは仏教の山だ。リフトで山頂に向かうと、左手にいかにも中国の仏像、という配色の大仏と、更に向こうには金ピカで坊主頭の仏像も見えてくる。日本人にとっては大仏=青銅という固定観念があるからかもしれないが、余りいい趣味の大仏とは思えない。
山の頂上には舜廟などの仏閣が建てられている。舜とはもちろん、(現状では)伝説上の皇帝・舜帝のことである。彼は善政を行い、世襲を行わずに次の禹帝に禅譲したということで、中国では(中国共産党とは雲泥の差の)為政者のモデル的存在である。それゆえに信仰の対象となっているのだろう。
しかし、私が一番引かれたのは、仏像でも仏閣でもなく、山頂から見た済南の全景だった。近代的な建物が立ち並んでいる中にも、緑が比較的多い。やはり済南は、自然に恵まれた都会と言うことができる。ただ、天気がよければ黄河まで見えるはずなのが、霞がかかっていてそこまでは見えなかったことだけが残念だった。
黒虎泉
黒虎泉

千佛山を下りて、次の目的地に向かおうとバスに乗る。 すると、途中から乗ってきた若者4人組が、運転手に何かの場所を熱心に尋ね始めた。
[何かがあるに違いない]
直感的にそう感じた私は、彼らの後を追うようにしてバスを降りた。

そこにあったのは、黒虎泉。やはり、済南七十二名泉の一つに数えられる名所である。
ここの泉は、一度わきあがってきた水を池の中に流し込む方式で、趵突泉と比べると神秘性という面ではもの足りない。ただし、池に流れ込む水の量が多く、勢いと言うか、力強さのようなものすら感じられる。それに、水が澄んでいるのも趵突泉の上を行っている ように思われた。
また、ここの泉では、来訪客が我先にと流れ出てくる水を直接汲み取ろうとしている。恐らく、長寿か何かのいわれがあるのであろう。そうした言い伝えこそが、名泉の名泉たる所以(ゆえん)であるに違いない。 大明湖
大明湖

さて、今度こそ元来の目的地へと向かう。事前に「済南に行く」と同僚らに話したところ、彼らが口々に名所として挙げていた大明湖である。 市内各地の泉から流れ出た泉水が集まってできたこの湖は、“泉の街”を集約した場所と言うこともできるだろう。
水の風景というのは、気持ちをリラックスさせてくれる作用がある。私もこの湖の光景に、あちこち巡り歩いてきた疲れが心理面で癒された。
しかし、感銘を受けるという程のものではない。スケールや美しさの面では、北京・頤和園の昆明湖や承徳・避暑山荘の澄湖に比べるとランクが下がってしまう。
(どうも最近、過去に行ったことのある場所とついつい比較してしまう悪い癖がついてしまっている)

2004年10月5日

済南から飛行機で、大連に戻る。1時間もかからない空の旅だった。

この年の長期休暇(春節、五一節、国慶節)はこれで終了。来年の春節は一時帰国のみの予定なので、次の旅行の機会は5月までお預けとなる。
今年は、春節には南方に行ったが、五一節、国慶節は河北、河南、山東と華北の近場ばかり続いた。

よし、次は南方へ遠出だ。

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