バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

アジア周遊第1部 香港、大陸中国東中部

屯渓、西逓 ~黄山近くの古き街

2007年5月13日

早朝、独りでぶらりと屯渓の老街へ散歩に出かける。よくある明清時代の町並みだが、こういう古めかしい雰囲気の場所は何度歩いてもいいものである。 ただ、朝の6時ごろはさすがに早すぎた。扉の開いている家も、道行く人もほとんどなく、ひっそりとしている。
屯渓の老街入り口
屯渓の老街入り口

9時から、昨日知り合った日本人のハルさんと西逓の老街に出かける。バスで行かなければならなかったので、宿のすぐ近くにあるバスターミナルに赴いたが、半月前に移転したばかりだった。新ターミナルへの無料送迎バスがあったからよかったが、少しばかり時間を無駄に使ってしまった。
西逓に直接行くバスは無く、黟県行きのバスに乗って終点手前4km地点の分かれ道で下車する。
そこから西逓まではやはり4km。そこにいた車の運転手が「西逓老街に入るには1人80元のチケットが必要だけど、2人130元で裏から入れさせてやるよ」と言ってくる。紛れもなく不正入場。130元はそっくりそのまま彼の懐に入る、という寸法だ。しかし、安さにつられてその話に乗ることにしてしまい、彼の車で西逓老街へ向かった。
村の裏にある入り口からひっそりと中に入り、暫く歩くと、学生たちが写生をしている場所にさしかかった。 西逓老街内部
西逓老街内部
この日は日曜日ということもあって、そこから先でも大勢の学生たちが写生をしていた。
西逓は世界遺産にも登録されている、1000年近くの歴史がある古い村落だ。村内には、白い壁が特徴的なこれまた明清時代の家々が並んでいる。観光客は少なくないが、落ち着きのあるたたずまいのためか、とても静かな印象を受ける。ただ、土産物屋がずらりと並んだエリアでは、そんな静かな雰囲気が打ち破られ、景観すらぶち壊されている感があった。
村内を一通り見た後、村の外側に出てみた。白い外壁の向こう側には、田園の素朴な風景が広がっている。
「あそこに高台があるね。行ってみようか」
ハルさんが近くの小山を指差して言う。確かに、山の中腹に東屋(あずまや)が見える。行ってみることにした。
高台からは、西逓の村を一望することができた。緑の田園の中に、村の白が映えている。
西逓老街の全景
西逓老街の全景
西逓村の入り口
西逓村の入り口
[これが、明清時代の眺めか…]
村の中を歩いている時もそれは感じていたが、ここから見る村の姿もそれに勝るとも劣らない。

変な所から入場したため、帰る時になって初めて西逓村の入り口にお目にかかった。この村を象徴する一風変わった形の門が広場の一角に建っている。
ここで写真を撮った後、この日1つ目のトラブル発生。肩にかけていたデジタル一眼レフを石畳の上に落としてしまい、フィルターが壊れ、レンズを外した内部にある鏡が落ちてしまったのである。
そして西逓村を離れる際に、2つ目のトラブルが発生した。来る時に乗せてもらった車でバスが通る道まで送ってもらおうとしたところ、運転手が帰り道に別料金を要求してきたのである。
「往復で130元のはずだろう?」
私たちは抗議したが、運転手は頑として主張を変えない。
「もういいや。4kmぐらい1時間で行けるよ。歩いて行こう!」
堪忍袋の緒を切らしたハルさんの言葉に、私も同意。がめつい運転手を置き去りにして私たちは先ほどバスを降りた地点へと足を動かした。

1時間弱歩いて目的地に到着。屯渓までのバスは程なくしてやって来た。
屯渓に戻って、先ほど壊したカメラの修理にかかる。レンズは接着剤を買って元の場所に貼り付け、壊れたフィルターを近くの金物屋でレンズから取り外してもらい、予備のフィルターに付け替え、何とか使えるようになった。

今回黄山市に来た最大の目的が、世界遺産の「安徽省古民居群」を訪れることだった。西逓もその中に含まれている。他にも宏村があるが、私は西逓だけで既に満足していた。
黄山も、今回は特に登るつもりは無かった ―― ハルさんから「一緒に行こうよ」と誘われるまでは…。

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