バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

香港(2014年)

朝のビクトリア湾 ~いつものスター・フェリーで中環へ

2014年6月7日

重慶大廈(チョンキンマンション)を過ぎて程なくしてネイザン・ロードが終わり、梳士巴利道(ソールズベリー・ロード)に行き当たる。
この道を渡るとその先に広がるのがビクトリア湾。その対岸に横たわるのが香港島だ。
ビクトリア湾
ビクトリア湾。右側がスター・フェリー乗り場
この海峡を渡るコース――ここ九龍と香港島を結ぶスター・フェリーも、香港に来る度にほぼ毎回利用している私のお気に入りだ。
尖沙咀(チムサーチョイ)の船着場に赴くと、いつものように、大陸を占拠する中国共産党にカルト呼ばわりされて弾圧を受けている法輪功が反中国共産党キャンペーンを展開している。こういう活動が認められているあたりが、“返還”されたとはいえ香港が大陸の支配構造からは一線を画していることの象徴だと言えよう。しかし、中国共産党が唱える「一国二制度」など所詮は、台湾を「“中華人民共和国”の一部」と称するための詭弁にすぎない。この香港の高度な自治が今後ずっとこのまま持続されるのか、気がかりだ。

かつて「60セントの豪華な旅」と沢木耕太郎氏が『深夜特急』の中で描いていたスター・フェリーは、40年の月日を経て、3香港ドル40セント(土日祝料金。平日は2香港ドル50セント)にまで料金が上がっていた。それでも片道50円程度と、格安の値段であることに変わりはない。
料金は自動販売機でトークンを買ってそれを自動改札に通す仕組みになっているが、オクトパスカード(八達通)も使えるので、私は昨日入国時に買ったオクトパスカードをかざして乗り場へ――と思ったのだが、どういう訳か受け付けてくれない。
実は、私が入手した3日間有効のツーリストパスは、エアポートエクスプレス往復とMTR(メトロ)乗り放題ではあるが、バスやスター・フェリーに乗るには別途チャージが必要だったのだ。ここでチャージする方法が分からず、仕方なく今回はいつもの通りトークンを買って乗り場へと向かう。

沢木氏が上記のように表現していたのと同様に、私にとってもスター・フェリーで九龍⇔中環(セントラル)/灣仔(ワンチャイ)を行き来する航路はささやかで豪華な旅だ。急がず騒がず、ゆったりと潮風を受けながら、対岸の摩天楼群が次第に近づいてくる光景を楽しむ――香港に来る度、この10分足らずのシンプルな航海が毎回楽しみでたまらないのだ。
シンプルと言えば、スター・フェリーの船体そのものも実にシンプルである。前後に可動な背もたれのある木製のベンチが並んだだけの時代を思わせる客室も私のお気に入りなのだが、もしかしたらこの船は、沢木氏が『深夜特急』で乗っていた時とさほど変わっていないのではないだろうか。

スター・フェリー船内
スター・フェリー船内
中環(セントラル)の香港駅
中環(セントラル)の香港駅

フェリーが到着した中環(セントラル)は、香港のビジネスの中心地であり、且つ香港駅や、マカオなどに向かうフェリー乗り場のある交通の要衝でもある。
しかし、今回は中環のスター・フェリーターミナルを出た所に案内板を見つけ、これで容易にバスの出発地点を探すことができた。
ちなみに、中環から主な観光地に向かうバスの出発地点は、

香港仔(アバディーン)、リパルスベイ、赤柱(スタンレー)方面
…交易廣場GFのバスターミナル
山頂(ビクトリア・ピーク)
…スターフェリー乗り場を出てすぐ右へ100mほど

こんな感じなので、ご参考までに。(下記地図参照)


より大きな地図で 中環 を表示

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