バス憧れの大地へ

富士山

富士登山記 御殿場ルート登山(2023年8月)

大石茶屋―新六合目(半蔵坊)

2023年8月4日

午前9時、御殿場ルート登山口から10分ほどの大石茶屋(標高1500m)を出発。ここから山の上に延びる道は左右2つにあるが、左がつづら折りの登山ルート、右が一直線の下山ルートだ――しかし、山頂を目指して歩く登山ではなく途中までのトレイルランニングをする人々は下山道を登っていく。私もトレランは少々やるが、下山道を登るというのはいかがなものだろうか。写真
大石茶屋から次郎坊へのルート

大石茶屋から五合五勺の次郎坊へと向かう道は、柔らかめな砂地の、つづら折りになった比較的緩やかな道。大石茶屋のあたりで既に森林限界は超えていて、周りに生えているのは白い花を咲かせるオンタデやイタドリばかりだ。
目の前には富士山の全貌が、天気が良ければ見えるはずなのだが、新五合目に到着した時から富士山を覆い隠している雲に阻まれている。出発時には辛うじて雲の下だった、江戸時代の噴火跡である宝永山も、やがて雲に覆い隠されてしまった。
大石茶屋からちょうど1時間歩いたところで、五合五勺の次郎坊(標高1920m)に到着。ここで登山ルートと下山ルートが交わり、左右を入れ替える――即ち、富士山に向かって登りルートが右に、下りルートが左に変わるということになる。 写真
次郎坊の分岐
写真
御殿場ルート標高2000m地点
次郎坊で10分ほど休憩後、10時11分、再び足を動かし始める。柔らかめな砂地の、つづら折りになった道というのはこれまでと同じだが、何か様子が違う。次郎坊を過ぎたあたりから明らかに、勾配が急になってきたのだ。等高線が記載された地図を見てみると、ちょうど次郎坊を境に、その先の等高線の間隔が半分ほどになっている。
10時20分、標高2000m地点に到着。新五合目の登山口が大体1450mなので、ここまで登ってきたのは550m。山頂まではまだ1776mもある。この日の目的地までもあと1090m――ようやく3分の1といったところだ。 写真
急勾配で荒涼とした次郎坊から半蔵坊(新六合目)への山道
急勾配に加え、草花が少なくなって地面は一面の茶色。しかも、完全に雲の中に入ってしまい、雨こそ無かったものの、周りは一面の白――心を折りにくる要素ばかりだった。
1つ、私の目を楽しませたのが、左側の下山ルートを勢いよく走り抜けていく下山者たちだった。2018年に私も経験していたが、御殿場ルート下山のハイライト・大砂走である。明日の下山時には私もあのアクティビティを楽しむことができる――そう考えると気持ちが浮き立ったが、あれに辿り着くためには少なくとも七合目までは到達しなければならない。
写真
下りルートを「大砂走」する下山者たち
しかし、次郎坊の山小屋がなかなか見えてこない――悪いことに、私は次郎坊から次のチェックポイントである半蔵坊(新六合目)までの所要タイムを読み違えていたのだった。コースタイム140分ほどという長丁場を、何を間違えたのかその半分の70分でプランを立ててしまっていたのである。なので、
[おかしいな――まだ着かないのか?]
という気持ちになったこともネガティブ要素となって私に襲い掛かった。
次郎坊を出発してから1時間半以上。周りの霧が薄くなり、ようやく半蔵坊の山小屋が見えてきたが、まだまだ遠く、気持ちをポジティブに転じるには足りなかった。
あと少しで山小屋――というところで、登山開始時から全く見えていなかった富士山の頂が、薄くなった雲の切れ間からちらりと見え、ようやく私の気持ちをポジティブに転じさせてくれた。 写真
雲の切れ間からちらりと見えた富士山頂
12時10分、半蔵坊(標高2590m)着。ここの山小屋(その名も『半蔵坊』)は、前年の2022年、20年ぶりに再建されたもの。それまでは大石茶屋を出発すると七合四勺の砂走館まで標高差1590mもの間山小屋・休憩所が無いという、御殿場ルートが「最難関」であることのゆえんの1つがこの「オアシス」の出現で少し改善されたことになる。
次郎坊を出発してからここまで、実に120分かかった。前の山小屋・大石茶屋からも3時間10分という長丁場になったが、山小屋のスタッフによると、登山口からここまで通常の所要時間は4時間ぐらいだということで、大石茶屋から3時間10分というのは「速い方ですね」ということだった。

コメント(0)

コメントする

<新着記事>

Google

WWWを検索a-daichi.comを検索
お勧めメディア(Amazon)
チベットの大地へ