バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

台湾北部

烏来(ウーライ) ~タイヤル族の郷

1999年5月1日

トロッコ列車
烏来のトロッコ列車
午前、台北からバスに乗り、台北県最南部にある烏来(ウーライ)郷を訪れた。
烏来は標高1000mを越す山地にあり、風景のほか温泉も楽しむことができる、自然に恵まれた郷である。また、原住民族であるタイヤル族の郷でもある。(余談だが、台湾で使われているこの『原住民族』という言い方は、中国大陸で使われている漢民族本位主義的な『少数民族』という言い方に比べ、先住者を尊重する語気が感じられ好感が持てる)

台北からのバスを降りた後、現在では台湾でここだけでしか見ることができない、ちょっとレトロなトロッコ列車で山道をコトコト音を立てながら上る。京都・嵯峨野や熊本・南阿蘇のトロッコ列車に比べればかなり小ぶりだが、日本人にとっては郷愁を覚えさせられる光景かもしれない。

トロッコ列車を降り、進んできた道を振り返ってみると、緑いっぱいの山の景色があった。 白糸の滝
白糸の滝
烏来の山
ロープウェーの上から見た烏来の山の風景
谷の向こうに視線を変えると、その名の通り白くて細い、白糸の滝が水を落としている。
その谷の向こうへ、ロープウェーで渡ってみた。ロープウェー上からの山の風景は見事だったが、降りた先にはただの遊園地があるだけ。興味の範囲外だったのですぐに元の場所へ引き返した。

自然の風景以上に私が烏来で触れたかったのが、原住民族であるタイヤル族の文化である。ロープウェー乗り場近くの山地文化村でタイヤル族の歌舞ショーが行われると聞き、見物してみることにした。
ステージの上に色鮮やかな民族衣装をまとったタイヤル族の娘たちが並び、歌や楽器演奏、踊りなどを披露してくれる。中国・内モンゴルの草原以来となる民族色豊かな出し物に、新鮮さや素朴さを感じる。
ショーもいよいよフィナーレを迎える。 タイヤル族の娘たちが観客席に下りてきて、「一緒に踊りませんか?」と観客を誘う。 多くの観客たちが彼女らと一緒にステージに上がる中、私はその誘いを断って席に座り続ける。その先何が行われるか、予め知っていたからだ。
娘たちと観客が、ステージ上で手を繋いで踊る。 タイヤル族の歌舞ショー
タイヤル族の歌舞ショー
その横で、何者かが写真を撮っている。そして踊りが終わる頃には、その写真を貼り付けた絵皿が出来上がっているという恐るべき早業を駆使して、その絵皿を写真の主に2000円(日本円。"餌食"となったのはほとんど日本人だった)で半ば強制的に買わせるのだ。折角素朴さが感じられたショーだったのに、最後の最後で台無しにしてくれた。
ステージから下りてきた日本人に「やられちゃいましたねー」と笑って声をかけていた私だったが、たまたま何が行われるか知っていたから防ぐことができたものの、知らなかったらもしかしたら自分も引っかかっていたかもしれない。そして自分が当事者になってしまっていたら、こうして笑ってなどいられず、怒り狂っていたことだろう。

帰りはトロッコに乗らず、歩いて自然を楽しみながら山道を下る。
2時間後にはまた、台北の喧騒の中である。僅かな時間だったが、自然と風情に恵まれた烏来に大満足だった。

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