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世界への旅(旅行記)

アジア周遊第1部 香港、大陸中国東中部

永定-2 ~土楼の王と王子

振成楼
振成楼
福裕楼から土楼民俗文化村入り口方面へ暫く歩くと、"土楼の王子"とも呼ばれている振成楼が見えてきた。外観はその異名に負けることのない、非常に均整の取れていて堂々とした感のある立派な円楼だ。ただし内部は、土産屋ばかりが目だっていて、人々の生活感や風情は余り感じられない。

[この土楼の全貌を上から見ることはできないか?]

そう思って、2度ほど高台に上ってみた。ドーナツの穴部分までくっきりと、という訳にはいかなかったが、上から見た振成楼はまた違う味わいがある。内と外から見上げ、中を歩き、上から見下ろす ――  いろいろな角度から見て初めて、土楼という建物の構造を総合的に知ることができる。
無論、そこから見えるのは振成楼ばかりではない。先ほど見た景陽楼、陽臨楼、朝陽楼をはじめ、大小さまざま、形状さまざまな土楼の数々を一望することができる。

上から見た振成楼
上から見た振成楼
景陽楼、陽臨楼、朝陽楼ほか
山際左から]景陽楼、陽臨楼、朝陽楼

高台から下り、天后廟などを見ながら土楼民族文化村入り口近くまで歩き着いた。
土楼の村ではあるが、無論土楼だけではない。水車のある川、子供たちの歩く道、水牛が水浴びする水辺など、全ての物、全ての風景が素朴である ――  呼んでもいないのに声をかけてくるバイクタクシーさえいなければ…。

15時、福裕楼1階で案内人の林氏と落ち合い、車で別の場所に向かう。
承啓楼
承啓楼内部
(上)承啓楼 (下)承啓楼内部
目的地には車ですぐ到着。高頭村にある承啓楼だ。先ほどの振成が"土楼の王子"なら、この承啓楼は"土楼の王"の異名を持つ。築300年の歴史があり、直径約60mと、永定最大級の円楼だ。
大きさ以上に私を驚かせたのは、重厚な内部の構造だった。ドーナツの穴部分の中央には祖廟が建てられているが、その周りに壁が4重に張り巡らされている。
迫力・風格という点では他の土楼の追随を許さない。まさしく"土楼の王"の名に相応しい。
この承啓楼には今でも200人の人が住んでいるという。言われてみれば確かに、人々の生活の匂いもかなり濃厚だ。

宿に戻って一休みしているうちに、夕食時になった。1階に下りてみると、学生とおぼしき中国人の若者たちで食堂がいっぱいになっている。さて、どこで食べようか?と考えていると、個室を使っていた男子学生たちから「一緒にどうですか?」と誘われ、席を共にさせてもらった。
彼らは同じ福建省の泉州の大学から研修旅行に来た学生たちだった。
食後は、女子学生も交えて交流会。10人以上を一度に1人で相手にするのはちょっと大変だったが、中国人にありがちな傲慢さ・とげとげしさ・陰湿さの無い、爽やかで気さくな者ばかりだったので、会話をしたり、私が広州や永定で撮った写真を見せたり、一緒に花火を見に出かけたりして、肩の力を抜いて交流を楽しむことができた。

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