バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

モロッコ

フェズ-2 ~王宮と、迷宮の居住区

2013年10月31日

フェズの王宮
現在も国王が滞在することのあるフェズの王宮
プー・ジュルード庭園
プー・ジュルード庭園
ちょっとフェズ・エル・バリを離れて、西に隣接するフェズ・エル・ジェディド(アラビア語で『新しいフェズ』の意)地区へと足を向けてみた。
その中央に座するのが、王宮。かつてのスルタンが住んでいたことは言うに及ばず、今も国王がフェズに来た時にはここに滞在するという、まさに現役の王宮だ。そういう訳で中に入ることはできず、ただ門前広場から立派な門を眺めることしかできない。
その帰り道、プー・ジュルード庭園に立ち寄ってみた。木々が立ち並び、バラの花咲く風景は、1日前まで砂漠にいた私にとってはみずみずしいばかり。緑の中に身を置くということの幸せすら感じられた。

そして、フェズ・エル・バリに戻って再びラビリンス(迷宮)の中へ。今度はスーク(市場)のエリアから一歩奥へ入り、居住区の雰囲気を体感しに行く。
この閑静な住宅街もフェズの魅力の一つだ。一歩中に入ると、スークとは一線を画した閑静さ。そんな中に家族の団欒、親子喧嘩の声、おいしそうなシチューのにおいなどが漂い、生活感が溢れている。
繰り返しになるが、フェズの家屋は土の色がそのまま出た壁も少なくないが、総じて白壁のものが多い印象を受ける。 そんな白一色の中を歩いていると、遠近感を失いがちになる。似たような光景が多いので道も覚えにくい。空も見えにくいので太陽の位置で方角を知ることもできない。たまに細いトンネルの入り口が会ったりすると、陰になったその先の暗闇に吸い込まれそうな奥行きすら感じられてしまう。

フェズの居住区
白壁が印象的なフェズの居住区
フェズの居住区
夜ともなるとこんな感じになる

マラケシュではスークがラビリンス状態だったが、フェズはスークよりも住宅街の方がラビリンスだ。私も一瞬、道に迷いそうになり、危なく夕暮れ時までに行きたかった場所に間に合わなくなりそうになった。
そういう時は、歩いて着いて行くようにして案内してもらうと金に意地汚いモロッコ人にぼったくられる恐れがあるので、要所要所で「メインストリートはどっち?」と尋ねて指差してもらうことを繰り返すのがいい。
フェズの王宮
夕闇に包まれるフェズの街

さて、私が夕暮れ時までに行きたかったその場所とは、朝方にも行った高台だった。時間が変われば街の顔も変わる。ほんの10時間前には朝の光に照らし出されて輝いていたフェズ・エル・バリが、今度は暗い夜の帳(とばり)に覆われる中で自ら光を発している。
しかし、夜の訪れはフェズの街がそのまますぐに眠ることを意味しない。食品店街ではシャッターを閉める店も多く見られるようになるが、露店や雑貨などを扱う店が軒を並べるメインストリートはこれからが本番だ。人々の喧騒、音楽、時にはコーランの響き声――宿の部屋が通りに面していないことが心底幸運に思えたほど、表の賑わいは少なくとも私が就寝するまで途絶えることはなかった。

コメント(0)

コメントする

<新着記事>

Google

WWWを検索a-daichi.comを検索
お勧めメディア(Amazon)
旅PHOTO―旅人からの贈り物