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富士山

富士登山記 1合目発 吉田ルート登山(2021年8月)

6合目―7合目

2021年8月5日

14時9分、6合目(標高2,400m)の富士山安全指導センターを出発。
6~7合目の、つづら折りの登山道
6~7合目の、つづら折りの登山道
6合目~7合目の上りは、落石防護柵ので守られたつづら折りの緩やかな道を歩く。
吉田ルートは富士登山道の中で一番人気があり、通常なら大勢の登山客がぎっしりと列を作って登る。最も混雑する時にはなかなか前へ進めない、ノロノロの「渋滞」すら発生する。
しかし今回は、新型コロナウィルスの影響で、まず海外からの観光客が来なくなった。加えて、国内の登山客もまだ外出に慎重になっていた時期だった。
「これが吉田ルート?」
と思わず口にしてしまったほどの、閑散とした人の少なさだった。
逆に言えば、渋滞に見舞われずに自分のペースで快適に歩くことができる、ということになる。しかし、いつも山登りの際は標準コースタイムを上回るペースで歩く私だったが、この時はほぼコースタイム通りのペースで歩いていた。別に疲れていたとか、呼吸が苦しくなったとかいうことではない。 天気に恵まれ、河口湖がくっきりの眺望
天気に恵まれ、河口湖がくっきりの眺望
これまでの富士登山で一番の好天に恵まれ、山中湖や河口湖などがくっきりと見える絶好の眺望――これに心を奪われ、何度も足を止めては振り返ってその絶景を眺めていたために、ペースが遅くなっていたのだった。
7合目の山小屋群が見えてきた
7合目の山小屋群が見えてきた
やがて、6合目から見えてはいた7合目の山小屋の数々が大きく見えるようになってきた。
吉田ルートの7合目、8合目は山小屋が他のルートに比べて数多く営業されている。こうした設備の充実ぶりが、このルートの人気を支えているのだ。
15時9分、コースタイムぴったりの1時間で7合目最初の山小屋・花小屋(標高2,700m)に到着。この日はもう少し先にある山小屋で1泊する予定だ。ここで7分ほど休憩した後、初日のラストスパートに入る。
しかし、花小屋を出発して間もなく、登山道の様子が一変した。
砂礫の緩やかな上り坂から突如として、火山岩むき出しの急登へと姿を変えたのである。いかに初心者向けのルートとはいえ、そこは日本一の山・富士山。そう簡単には登らせてくれない。
7合目入り口からの急登
7合目入り口からの急登
普段、私は登りではトレッキングポール(ストック)は使用しない。しかし、この急斜面となるとトレッキングポールを使った方が登り易そうだ。私は、この日初めてトレッキングポールをザックから取り出し、両足・両手を駆使してこの難所に挑んだ。
「岩壁」と言ってもいいくらいの急登を登ること8分、2つ目の山小屋・日の出館(標高2,720m)に到着。
後で測ってみたところ、花小屋と日の出館の地図上の距離は僅か27m。その間の標高差が20mなのだから、傾斜角度は実に36度という計算になる。
日の出館前で一瞬、道は平らになったが、そこを過ぎた後も、多少傾斜は緩くはなってはいたが、なおも岩肌の急登は続く。
3つ目の山小屋・トモエ館(標高2,740m)を経て、15時34分、ようやくこの日の宿である鎌岩館(標高2,790m)に到着した。

登山前の計画では、
 馬返~佐藤小屋 3時間
 佐藤小屋~6合目 30分
 6合目~鎌岩館 1時間15分
で、馬返から鎌岩館まで4時間15分を予定していたが、実際には
 馬返~佐藤小屋 2時間
 佐藤小屋~6合目 32分
 6合目~鎌岩館 1時間18分
と、5合目以降はほぼ計画通りだったのに対し、馬返~佐藤小屋間は予定より1時間も速いペースで、余裕を持って宿に着くことができた。 7合目・鎌岩館
7合目・鎌岩館
鎌岩館は2016年に開業したばかりの真新しい山小屋で、外見・内装ともとても奇麗だった。
私が予約したのはドミトリー。山小屋のドミトリーと言うと、山小屋を知っている方なら、鰻の寝床のように登山客をぎっしりと詰め込んだものを想像されることだろう。しかし、この時はコロナ流行下で「密」は避けるべき状況だったため、山小屋では宿泊客の人数を大幅に減らして、「密」回避の施策をとっていた。例えば鎌岩館では、スペースを広めに取った寝床を除菌カーテンで仕切る工夫がなされていた。 鎌岩館のドミトリー
鎌岩館のドミトリー
鎌岩館で出た夕食の牛丼
鎌岩館で出た夕食の牛丼
食事も、時間を分けて指定された順番でとることで、分散化。アクリル板の仕切りもしっかり設置されていた。(ちなみに、鎌岩館の夕食のメニューは牛丼で統一されている)

夕刻。太陽は富士山に隠れて見えなかったが、北西の空が真っ赤な夕焼けに染まっている。6合目~7合目を登っている際にはっきりと見えた麓の景色も健在。富士吉田市の街明かりが灯されて、見事な夜景も目を楽しませてくれた。
今回以前に、私は4度富士山を登頂しているが、山頂から下界を望めたことはまだ無い。明日もこの天気がもってくれることを願った。 夕焼けと富士吉田市の夜景
夕焼けと富士吉田市の夜景
明日の朝が早いので、8時で就寝。しかし、ちょっと寝苦しい――いや、息苦しい。
さすがに標高2,800mの高地。高山病まではいかないまでも、低酸素症の兆候が若干出ていた。

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