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富士山

富士登山記 1合目発 吉田ルート登山(2021年8月)

お鉢巡り

2021年8月6日

山頂で24分の休憩後、8時44分、反時計回りでお鉢巡りに出発。
遠い昔に火を噴いた痕跡である富士山頂の火口の内側は、今回も猛々しい表情で私を出迎えた。 富士山の「お鉢」
富士山の「お鉢」
暫くは火口の内側を歩くので、山の下の様子は見えない。
約20分後、ようやく火口の縁の稜線に出た。そこからは、吉田ルートを歩いている間は山の陰になって見えなかった本栖湖を、甲府盆地の街並みの手前に見ることができた。 本栖湖と甲府盆地の街並み
本栖湖と甲府盆地の街並み
そこからもう少しだけ歩いて、ピークを一つ越えたところで山肌を見下ろしてみると、深くえぐれるような形で崩れている場所に遭遇した。
大沢崩れと呼ばれる場所だ。遠い昔から崩れ始め、今でも崩壊が崩壊を連鎖し続けているという。
縁に立ってみると、目もくらむような荒々しい急斜面が眼下にあり、麓の川まで続いているのがありありと見て取れる。吸い込まれてしえば、富士山のすぐ近くにある某遊園地のジェットコースターなど比べ物にならない勢いで落ちていくことだろう。そうなってはひとたまりも無いので、深入りはしないようにした。
思えば、このルートは富士山に登る度に通っているはずなのだが、これだけまじまじと観察したのは今回が初めてだった。 大沢崩れ
大沢崩れ
ここで私は「あるもの」を求めて少し腰を据えることにした。これだけ天気がよければ――と山頂に到着した時から期待していたものがあったのだ。
それは、「影富士」だった。即ち、富士山の影が地面に映る現象である。先ほど山小屋・扇屋のスタッフに「自分の影の向きを見て場所を決めるといい」というアドバイスを頂いていたので、それを頼りに富士山の影を探そうとしたが...
無い
自分の影が殆ど見えないのである。
富士山の眼下に景色を遮る雲は一切無い。上空も青空が見えているのだが――天気予報的には「晴れ」ではあるものの、雲も結構出ていて、事もあろうにその雲が太陽を覆い隠していたのだ。
暫く待ったが、太陽を隠している雲は殊の外大きく、なかなか太陽を解放してくれそうにない。私は影富士を諦めて先に進むことにした。
「雲さえ無ければ...」
そんな恨み節が、今回の登山で唯一出た一幕となってしまった。

さて、その先には富士山の最高点・標高3776mの剣ヶ峰がそびえている。あそこまで登ってこそ正真正銘の「富士山登頂」である。 お鉢の北側から見た剣ヶ峰
お鉢の北側から見た剣ヶ峰
剣ヶ峰の石碑にて
剣ヶ峰の石碑にて
9時43分、剣ヶ峰登頂。一応、記念写真を撮っておく。
剣ヶ峰の出入り口あたりからは、静岡県の沼津・富士あたりの街並みと、その向こうに駿河湾、更には伊豆半島が、少しだけ雲がかかっているものの、見渡すことができた。
「富士の山頂から駿河湾を望みたい」というのが、私が富士登山をする上で目標の一つにしていたことだった。今回、ようやくそれを実現できて、登頂成功の感慨もひとしおだった。 静岡、駿河湾方面の眺望
静岡、駿河湾方面の眺望
いつもなら逆周りで登っている「馬の背」と呼ばれる剣ヶ峰に至る急坂を、慎重に下る。
山小屋・頂上富士館と富士宮ルート終着点、更に御殿場ルート終着点を通過。暫くすると、2年前に登った宝永山、そして宝永火口が巨大な口を開けているのが眼下に見えてきた。今巡っている山頂火口も、この宝永火口も、富士山、否、その足元にある地球そのものが秘めているエネルギーの巨大さを物語るものだ。 眼下に宝永山と宝永火口が見える
眼下に宝永山が見える
それから30分ほど歩くと、富士吉田の街並みと河口湖が見えてきた。間もなく1周である。 富士吉田の街並みと河口湖が見えてきた
富士吉田の街並みと河口湖が見えてきた
10時19分、お鉢巡りのスタート地点に戻る。途中、大沢崩れや剣ヶ峰で結構立ち止まった割には、標準コースタイムちょうどの1時間30分で巡り終えることができた。

30分ほど休んだところで、再び足を動かし始める。
後は、下山するばかりだ。

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