須走7合目―8合目
2025年8月1日
15時、7合目・太陽館を出発。坂を上り始めると、すぐ先に霧――と言うよりは雲が立ち込めているのが見えた。いよいよ雲の中に突入である。
7合目にて、雲の中へここに来て、これまでの富士登山で経験していなかった体の不調にじわじわと襲われ始めていた。
腰痛である。
今回の登山前から腰には少々違和感があり、登山向けの腰をしっかりホールドするという触れ込みのスパッツを購入し、試し履きをして確かに腰が楽になることを実感して、この日も最初からそれを装備して登山に挑んでいた。しかし、どうやらそのスパッツの効果を通り越して腰の痛みが増してきたようである。歩みがこれまでよりも休み休みになってきて、メンタル的な影響か、心拍数はそれ程上がっていないのに、呼吸が明らかに荒くなってきた。
15時43分、本7合目・見晴館に到着。コースタイム50分の区間を43分で踏破し、コースタイム以内は維持できたが、腰痛の影響でコースタイムとの差がこれまでよりも詰まってしまった。
本7合目・見晴館
雲の中に突入し、下界も見えなくなった先程の7合目あたりでは下界を雲の隙間から見ることもできたが、いよいよ本格的に雲の中となったここでは既に、下界は雲に阻まれて全く見えなくなっていた。
ここまでは雨に見舞われずに来ることができたが、先程本6合目~7合目で見た笠雲の様子を思い出した私は、7合目での装備追加では見送っていたレインウェアの下を、ここで重ね着した。
16時7分、本7合目を出発。本日最後の一区間だ。
程なくして、レインウェアの下を重ね着して正解、というコンディションになった。ポツリ、ポツリと雨が降り始めてきたのである。その上、霧――と言うより雲も一気に濃くなって、10m先もホワイトアウトしてよく見えない状況となる。写真を撮りながら登る、という悠長なこともしていられなくなってきた。カメラをザックに仕舞って安全に登ることに集中する。
8合目手前の看板で行き先を確認。霧(雲)で視界が悪くなっている中、看板の情報は最重要の道標だ。この日の宿である8合目の宿屋は、もう少し登山道を上った先のようだった。あと少し、と自分に言い聞かせて、霧(雲)で真っ白になった山道を更に登る。
坂を登った先に、山小屋はあるはずなのだが――濃霧に包まれてよく見えない。目を凝らして辺りを見回すと、ほんの少し上にうっすらと建物の印影が見えた。
[あれだ!]
その印影めがけて、やけに急な上り坂を突き進む。しかし、到着したのは山小屋の裏手で、ここから中に入ることはできない様子――私が辿ったのは荷物搬入用のブルドーザー道だったのだ。道理で急なはずだ。
這うようにしてブル道を下ると、ようやく正しい道を示すものとみられるロープが見えてきた。今度こそ、と思ったら今度は雨足が急に激しくなり、今回の登山一番の大雨になってしまった。山小屋の入り口までは残り10m程度だったはずなのに、随分長く感じられた。
16時43分、霧と雨で道を失いそうになったこと、軽く腰痛に見舞われたこともあって、コースタイム35分を僅かに超える36分でこの区間をようやく踏破し、この日の宿・下江戸屋に到着。雨から逃れるように転がり込み、スタッフの皆さんに水気をしっかり落としてもらって中に上げて頂いた。
山小屋定番の夕食・カレーライス程なくして、夕食タイム。山小屋定番のカレーライスを頂く。この時降っていただろう雨も凌げて、美味しい食事にもありつけて、今更ながら山小屋というのは実にありがたい存在だ。
幸いにも高山病や酸欠等の富士登山にありがちな症状も無く、後は明日の朝に備えて就寝するばかりだが、気になるのは腰痛だ。用意していた湿布薬を貼り、鎮痛剤を飲んで回復を図りつつ、20時という実に早い富士山山小屋の消灯時間と共に、床に就く。
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