バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

アジア周遊第5部 北インド、パキスタン

アーグラー-2 ~タージ・マハル近景

2007年8月25日

デリーで知り合ったトモコ、チアキの女子大生2人と合流する約束をしていたので、アーグラー・カント駅へ出迎えに行く。
列車はお約束通り少し遅れて、9時すぎに到着した。2人は私を見つけるや、初海外の不安からなのかそれとも彼女らの世代が奔放だからなのか、代わる代わるハグで私との再会を喜んでくれた。

早速タージ・マハル近くまで移動し、シャンティ・ロッジ屋上に案内。まずはタージの遠景を楽しんでもらった。
そうなると次は近景である。入場料が恐ろしく高く(入場料250Rs+ADAチケット500Rs)、シャンティからの景色だけである程度満足していた私は「独りならわざわざ入場するまい」と思っていた。しかし今は、旅の感動を共有したいと思う連れがいる。私は2人と一緒にタージ正門から厳重なセキュリティーチェックを受けてついに、タージの敷地内に入場した。

タージ・マハル
正面から見たタージ・マハル

「これぞインド」と、私がインドに対して抱いていた憧憬の象徴と言ってよかったタージ・マハルが今まさに目の前にある。
「大きい!」「きれい!」
トモコとチアキはかなりはしゃぎ気味である。ところが私はどうしたことか、魂を揺さぶられるほどの感動がわき起こらない。
第一に、前日既に遠目でタージの姿を見てしまっていたことがある。
第二に、タージ・マハルという建築物の持つ意義を懐疑的に感じていたことがあった。タージは姿こそモスクか宮殿かと思わせるものだが、実際にはムガル皇帝シャー・ジャハンの王妃ムムターズ・ハンの墓なのである。中国にも皇帝の妃の墓が残っているが、絶大な政治権力をその手に握った満州清王朝の西太后の墓だってここまで大きくはない。「たかだか王妃の墓に…」という思いが、いつの間にか私の心に芽生えていたのである。
第三に、実際にインドに来て、「インドの宗教と言えばヒンドゥー教」と認識するようになり、典型的なイスラム建築であるタージに対し、「インドと言えば…」という気持ちが薄くなっていたのだ。
至近距離から見たタージ・マハル
至近距離から見たタージ・マハル

しかし、私の認識がどう変わろうと、タージの迫力、そして美しさまでを否定することはできない。間近で見ると、シャンティ・ロッジ屋上から見た時にはただ真っ白にしか見えなかった壁に、装飾や文字が刻まれているのまではっきりと見える。
そして、何と言ってもシンメトリー。これも斜めの角度からになるシャンティからの眺めでは実感できない要素である。
シンメトリーはこれまでも見てきたインド・イスラム建築に共通の特徴なのだが、ここまで完璧な左右対称の美は初めてだった。
ヤムナー川
タージの裏を流れるヤムナー川

タージの裏を、ヤムナー川が流れている。皇帝シャー・ジャハンはこの川の対岸に自らの墓を築いて新たなシンメトリーを目指していたとも言われている。
そうなれば新たな美を今ごろ目にすることができていたのかもしれないが、国の財政などの面を考えると、やはり私の気持ちは「たかだか墓に…」に落ち着いてしまう。

と、若干冷めた気分で巡ってしまったが、墓だと思わなければ素晴らしいことこの上ない遺跡であることは間違いない。「独りなら行かない!」と思っていた私をここに導いてくれた2人との出会いは、本当にありがたいものになった。

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