バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

ジャワ島(インドネシア)、シンガポール

ボロブドゥール-3 ~夕刻のボロブドゥール遺跡

「のど元過ぎて…」とはよく言ったもので、ムンドゥット寺院からバスでゆったりと座ってボロブドゥールバスターミナルに着くまでに幾分体力が回復した私は、時計を見た。まだボロブドゥール遺跡の閉門時間まで十分時間がある。薄暗くなってきたので宿に戻ってカメラの三脚を準備すると、今回の旅で断トツの本命であるボロブドゥールの遺跡へと急いだ。
入場口は外国人とインドネシア人で別々になっている。外国人の入場料は15米ドル。インドネシア人料金は確認していないが、恐らく外国人はインドネシア人の数倍の料金を払わされているのだろう。 ボロブドゥール遺跡
ボロブドゥール遺跡

入場口から参道を進んでいくと遺跡と上り階段が見えてくる。しかし、左右を木々に阻まれてまだ全貌は見えない。
このポイントでひとまず写真を撮っていると、通りかかった僧侶が
「こんにちは。どちらから?」
と、英語で語りかけてきた。私が「日本からです」と答えると、
「ああ、日本からですか! 私、『オボーサン』です」
今度は『オボーサン』だけ日本語で返してきた。

階段を上った先には、ボロブドゥール遺跡がもう目の前にある。高さ33m、四方124mということだが、目の前に立ってみるともっと大きいのではないかと思われるほどの迫力だ。この建造物全体で1つのストゥーパとされるが、その上に更に幾つものストゥーパが建ち並ぶという多重構造になっている。 ボロブドゥールの回廊
レリーフで彩られた回廊
最上段の円壇の下部に正方形に近い多角形の層が6段、円壇も3段あるので、合計すると「9重のストゥーパ」ということになる。遺跡全体で仏教の「三界(欲界、色界、無色界)」を表しているとされ、言わば巨大な立体マンダラだ。
円壇の下の4段は回廊になっていて、仏教説話を描いたレリーフで彩られている。ガイドブックを見ながらじっくり見ればそのストーリーまでじっくり味わうことができそうだが、私はそこまではせず、取りあえず雰囲気だけ楽しみつつ1段1段上がる。
そして、最上部の円壇に到着する。文字通り円形の壇にはそれぞれ、一番外側にベル(鈴)のような形をしたストゥーパが並べられ、一番上にある第3円壇のストゥーパ群の内側、即ちボロブドゥールの頂点には、一際大きなストゥーパが置かれている。先ほど見たパオン寺院ムンドゥット寺院にも共通する様式である。

円壇から西の空を望むと、陽が大きく地平線へと傾いて行くのが見える。ボロブドゥールはサンライズ・サンセットの景色が美しいことでも有名なのだ。この時は、太陽が赤い光を放っているのははっきりと見えたが、雲が少し厚すぎて空全体を赤く染めるまでには至らなかったが、それでも円壇の上のストゥーパがほのかに赤く色づいているのが分かる。
遺跡そっちのけで暫くサンセットの景色を眺めていたが、
「間もなく閉園です。速やかに遺跡から下りてください」
と、係員が退園を促しに来た。もう少しこの遺跡とここからの景色を見ていたかったが、明日ももう一度ここに来ることにしていたので、ここは素直に退散することにした。

ボロブドゥールの円壇
ボロブドゥールの円壇
ボロブドゥールから望むサンセット
ボロブドゥールから望むサンセット

しかし、出口に問題があった。
先ほど通ってきた入場口は入るだけの門で、出口は別の場所を指示される。ところが指示されてきた場所が土産屋街で、しかも中が入り組んでいて迷路のようになっていて、「出口はこちら」の案内板一つ見当たらない。一度通った道をまた通ったり、土産屋街を抜けたと思ったら遺跡側に戻っていたりを繰り返してようやく正しい道が分かる。
出たら出たで、今度は個人の物売りが「土産はどうだい?」と押し寄せてくる。
これも“観光地”の宿命なのかもしれないが  ――  仏教遺跡という“聖”に群がる金儲けという“俗”の構図に、少々やるせなさを感じた。

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