バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

モロッコ

メクネス-4 ~迷宮、再び

2013年11月2日

メクネスには2つの丘がある。1つの丘の上にあるのが、観光地にもなっている旧市街(メディナ)。そしてもう1つの丘の上にあるのが新市街だ。この2つの丘を隔てているのは1本の幹線道路だけで、両者は双子のように寄り添い合っている。
この日の朝はまず、昨日訪れていなかった新市街に出向いてみた。とはいえ、新市街そのものを目当てとしたのではない。目当てはやはり、メディナだったのだ。

新市街から望むメクネスの旧市街
新市街から望むメクネス旧市街

2つの丘を繋ぐムーレイ・イスマイル通りの新市街側の坂を上り、坂の上の信号交差点を右に曲がる。暫く行くと丘の上から右手に眺望が開け、幹線道路の向こうの丘の上にメディナが横たわる姿を見ることができる。背後のモダンな庁舎街と、眼前の古びた民家街――ここでは自然の地形を利用した見事な役割分担と棲み分けが行われていた。
メクネスのメディナのグラン・モスク
メディナの中に建つグラン・モスク
メクネスのメディナ
やはりモロッコの魅力は路地裏だ

メクネスはかなりのお気に入りとなったので名残惜しかったが、明日には帰国の便に搭乗しなければならない。期間を限定した旅って何とつまらないのだろう――そんな訳で、メクネスはこの日の午前で発つことになるが、その前にもう一度、メディナの迷宮にほんの少しだけ迷い込んでみることにした。
メディナに戻ってエディム広場のカフェで朝食後、広場の右奥から、白と緑のミナレットがこのエリアのシンボルタワーにもなっているグラン・モスク方面へと坂を上る。
そこにあったのは、フェズで見たのと同様の、車1台も通れないほど細い路地の両側に高い壁が連なる、生活感の漂う居住区だった。いかにフェズより小規模とはいえ、やはり住み慣れた者でないと自分がどこにいるのか見失ってしまいそうになる、ちょっとした迷宮だ。しかし、どこへ続いているのだろうというわくわく感を突き動かされるこの路地裏の迷宮ぶりこそがやはりモロッコの魅力なのだと、このエリアを歩いてあらためて実感させられた。

メラー地区旧ユダヤ人街。かつて迫害を逃れてヨーロッパからやって来たユダヤ人が住み着いたエリア)に行ってみると、魚介類の市が賑々しく開かれていた。その横には、虎視眈々と“獲物”を狙う猫が1匹、2匹――この猫たちがいる風景も、モロッコの魅力の1つだと言っていいだろう。
メクネス旧ユダヤ人街
魚市が開かれている旧ユダヤ人街

さて、そろそろ出発するか――私はバックパックを背負って再び旧市街へと向かった。

まずは鉄道で移動しようとアミール・アブデルカデル駅へと向かったが、午前10時時点で次の列車までまだ1時間半ある。暫く歩いた所に国営バス(CTM)のターミナルがあるのでそこにも行ってみたが、直近のバスが既に満席で次の便となると14時30分まで待たなければならない。となると、やはり鉄道だ。私は駅に戻って、適当に時間を潰しつつ11時半発の列車でメクネスを旅立った。

出発から約2時間、列車は近代的で大規模な駅のホームに滑り込んだ。首都・ラバトである。
しかし、目的地はここではない。政治の中心地はラバトでも、国際空港のあるモロッコの最大都市はカサブランカだ。列車を下りるのはもう少し先となる。

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