バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

大陸中国・西安―河南―北京

兵馬俑、秦始皇陵、華清池 ~中国人の真っ只中

駅前のバスターミナルに行くと「兵馬俑ツアーに行かないか」と客引きをしている。これを見なければ、西安に来た意味が無い ―― 私は迷わずそのバスに乗り込んだ。
バスの中は中国人ばかりで、外国人は私だけだ。
少々緊張しながら「日本から来ました」と言うと、バス客は一様に「ニイハオ!」とにこやかに語りかけてきた。「戦時中のこともあるから、日本人は中国人にあまり良く思われていないのでは」と思っていただけに、この反応は嬉しいと同時に、少々意外だった。
道中、席が隣り合わせになった公安(警察官)が「チェンジマネー(兌換券と人民幣の交換、本来違法行為)しよう」と誘いかけてくる。
(おい、公安がそんな事していいのか)。そう思いつつ、しっかり替えさせてもらった。
兵馬俑
兵馬俑坑博物館(絵葉書)
まず訪れたのが、秦始皇兵馬俑坑博物館
秦の始皇帝の陵墓を取り囲んでいた「中国版埴輪」を展示している博物館だ。西安一の見所とあって、外国人の入場料は50元と、一般の観光地に比べれば、かなり高い。しかし、ガイドの男性が「君は見た目が中国人と変わらないから、人民料金でいい。その代わり中では絶対にしゃべるな」と言ってくれたお陰で、人民料金で入ることができた。
(ちなみに人民料金だとたったの5元…この格差はいくら何でもひどすぎる)
入ってまず感じたことは「広い!」ということ
実際には等身大の兵馬俑が、まるで小さな人形のように見える。そしてその数も、半端ではない。
残念ながら、ここは撮影禁止(当時)。しかし、記念写真を撮ってくれる店があった。ただ、料金が1000円近くも取られるので、誰も撮ってもらうとはしない。 秦始皇帝陵
秦始皇帝陵
看板には日本語も書かれていたので、日本人がよく利用するのだろう。中国人の商魂たくましさ、と言うより、観光客、特に外国人と見るとふっかけてくる癖は、相変わらずだ。
次に訪れたのは秦始皇帝陵
前回の旅行中、南京で見た、宮殿のような中山陵や明孝陵と比べると、陵墓だけがあってやや寂しい感じはしたが、それでも大きい。
それに、立派な建物は無くても、あの兵馬俑を見ただけでも、始皇帝の権勢の大きさが窺い知れる。
最後は、華清池
玄宗皇帝と楊貴妃のラブロマンスで有名な温泉地である。
新しいところでは、第2次大戦中に、共産党と組むことを拒む蒋介石を、張学良が軟禁した「西安事件」の舞台となった地である。
ここでも、ツアー客の中年男性が「人民料金で入れるから」と、私の分の入場券をまとめて買ってくれた。
入浴の用意をしていなかったので、温泉には入り損ねたが、その見事な庭園を見ているだけでも、玄宗と楊貴妃の物語に、思いを馳せることができた。
これまで、無愛想でつっけんどんな中国人ばかり見てきた気がするが、この日は中国人の温かさに触れることのできた1日だった。

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