バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

大陸中国・西安―河南―北京

八達嶺長城 ~遠く遠くどこまでも遠く

1993年12月27日

朝の北京駅から列車に乗り込み、いざ八達嶺長城へと向かう。
久しぶりに乗った軟座の車両は、人がそれ程いなかった事もあって、あの硬座と比べれば、やはり整然としていて、乗り心地もいい。(とは言っても、日本の普通電車以上、新幹線自由席以下、の乗り心地だったが)
私の向かい側には、30代程だろうか、西洋人女性が座っていたが、車内では特に言葉を交わすこともなかった。
万里の長城
万里の長城近景

青龍橋駅に到着し、少し歩くと、万里の長城が見えてくる。近くで見ただけでは、南京や西安の城壁を思い出す程度だが、その本当のすごさは、登ってみて初めて分かる。

遠く遠くどこまでも遠く…

日本の某人気ユニットがデビュー当時に歌った「万里の河」という曲がある。“河”と“長城”の違いはあるものの、まさに「万里」というのは、こういうものを言うのだろう。本当に、遠く遠くどこまでも遠く続いている。
前の中国旅行で「万里の河」そのものの長江を船で下ったが、船から見る光景は断片的で、その“長さ”を実感することは、時間的にしかできなかった。しかし、ここでは“万里の長さ”を視覚的に感じることができる。
こんなとてつもなく巨大なものの原型が2200年もの昔に造られたというのだから、中国古代文明は、大したものだ。それとも、始皇帝が大した人物だったのか。
いずれにせよ、広大な中国の大地だからこそ造り得た代物だろう。
子供の頃「万里の長城を端から端まで、歩いてみたい」などと夢見ていた。
しかし、それはやはり、子供の夢に過ぎなかった。八達嶺を歩いているだけでも、傾斜のきつさに、音を上げそうになってしまう。しかも、折しも真冬。大陸性高気圧の中、強い風が吹きすさぶ。吹き飛ばされそうで、足元がおぼつかない。
冬の華北の厳しさが、身に染みるほど感じられた。
長城
どこまでも続く長城
さて、記念写真を撮りたいところだが、誰に頼もうか ―― と、考えていたところへ、先程同じ列車に乗っていた西洋人女性がいる。
(以下の会話英語で)
「すいません、写真撮ってもらえますか?」
「ええ、いいわよ!」
彼女は快くシャッターを押してくれた。
「どこから来たんですか?」
「私はフィンランド。あなたは?」
「僕は日本から」
「あ、やっぱり!日本人じゃないかと思ってたのよ」
北欧の人と言葉を交わしたのは、これが初めてだ。今になってみれば、もっと色々な話をすればよかったかな、と悔やまれる。こういう行きづりの国際交流は、互いが異国人である状況でなければ、なかなかできないかもしれないのだから。

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