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世界への旅(旅行記)

大陸中国・西安―河南―北京

故宮 ~北京を大都市たらしめるもの

1993年12月30日

この日までにも何度も天安門広場は訪れていたが、長安街をはさんだ向こうにある故宮は、未だ素通りするばかりだった。北京滞在も、実質あと3日。私は最後の”大物”に足を踏み入れた。
天安門広場
天安門の上から見た天安門広場
毛沢東の巨大な肖像画に迎えられて、まずはその上に登ってみた。
天安門の上から見た光景は、お世辞にも”絶景”と呼べる代物ではないが、ここで起きた数々のドラマに思いを馳せるには十分だった。4年半前の天安門事件で血にまみれたこの広場も、今ではその面影も無く平穏で、北京市民が散歩をしたり、凧揚げをしたりと、思い思いにゆったりと時間を過ごしている。
あの時の学生らは、今どうしているのだろうか ―― 今でも時々、気になってくる。
天安門から降りて、さて、いよいよ真打ち・故宮博物院に向かうが、入り口まで向かうだけでも、ちょっとした距離がある。一体、この故宮という奴は、どれだけの大きさがあるのだろうか。
入り口からさらに少し歩いて、太和門をくぐると、中庭の向こうに太和殿がそびえ立っている。
これを見て真っ先に思い浮かぶ物は、やはり「ラストエンペラー」だろう。時代に翻弄され続けた溥儀の人生が、目に浮かぶようだ。
太和殿
太和殿
建物の中には、明清歴代の皇帝がここから号令を発した、玉座がある。ともすれば、建物の立派さにばかり目が行ってしまいがちな故宮だが、これを見ると、ここが政務の場所であったことを思い出させてくれる。
展示されている文物もなかなかだったが、私にはどうも、この敷地の広さが気になってならない。その広さを実感するのに、打ってつけの場所があった。
景山公園から見た故宮
景山公園から見た故宮
明最後の皇帝・崇禎帝が清に追われて自殺した場所としても知られる景山公園である。
「景山」という名前が示すように、1つの小山全体が公園になっている場所だ。ここから、故宮全体を見渡すことができる。
少々もやがかかっており、北から南を見ることになるので逆光気味になり、色鮮やかさはかすんでしまっているものの、その壮大さは十分に分かる。さっき天安門広場前で見た人民大会堂が、はるか彼方に見える。天安門広場に至っては、故宮の陰に隠れて全く見えない程だ。
1週間、北京を歩き回って「何て広い街だ」と感じていたが、広いはずだ。こんなに大きなものが、地図の上では、街の中心部のほんの一角を占めているに過ぎないように見えるのだから。
いろいろな意味で北京を象徴する故宮だが、まさしく北京が大都市であるゆえんが、そこにあると言っていいだろう。

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