バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

アジア周遊第1部 香港、大陸中国東中部

廬山 ~眼下に広がる雲海

2007年5月15日

安徽省・黄山市からバスで6時間。江西省・九江に移動する。
今回の目的地はそのすぐ近くにある、避暑地としても有名な廬山。武夷山、黄山に続いて世界遺産の名山を目指した。
九江バスターミナルで廬山行きのバスを待っていると、どこかで見たような東洋人男性のバックパッカーが通りかかった。彼も私に気がついて、「あれ!?」と声をかけてきた。見たことのある気がしたはずである。彼は2日前に黄山のユースホステルで同じドミトリーに泊まっていた中国人だった。当時はまだそれ程多くなかった、大陸人のバックパッカーである。
李さんというその中国人バックパッカーと同じバスで、廬山国立公園へと向かう。最高で海抜1474m(漢陽峰)ある廬山だが、バスを降りた時点で既に1100m地点である。ここで声をかけてきた客引きの宿で李さんと部屋をシェアすることにした。

早速、2人で廬山の写真撮影に出かける。私もデジタル一眼レフカメラを持っていたが、李さんはかなり本格的。まさに写真撮影を目的に旅をしているといった感じの装備だった。
暫くは宿の近くの公園で写真を撮っていたが、向かい側の山に東屋(あずまや)があるのを見つけた李さんが「あそこへ行ってみよう」と言う。地元の人に道を聞きながら、山の中へと進んで行った。
木々の間を歩いていくうちに、やがて森を抜けて崖の上に辿り着いた。そこからの光景に、2人とも「ヒュー!」と歓声をあげた。
廬山の雲海
見事な雲海が見える廬山の風景
見事な雲海が眼下に見えるのである。
これまで幾度も山登りをしたが、その度に曇りすぎ、晴れすぎと具合のいい天気に恵まれず、雲海を見る機会は逃し続けてきた。初めて見る雲海は、私の目と心を引き付けて放さない。空と大地が一体になった光景であり、そしてこうした風景が見えるということは、自分たちがいかに高い場所に来ているかを示す証でもある。

山を下りて街中に戻る頃には既に辺りが暗くなっていた。李さんは更に夜景を撮りに別の場所に向かうが、私はここで切りをつける。
廬山巡りは明日も続くが、取りあえず廬山は抜群にいい印象を私に与えてくれた。

2007年5月16日

天橋
天橋
この日は1人で廬山巡りに出かける。花径九琴亭などの風景が美しい如琴湖を起点に、山道に入った。
細い散策道を歩いて、まず目に入ってくるのが、天橋。"橋"とは言っても人工のものではなく、小川の上にせり出した、天然の岩である。形も、対岸までは達していないので"橋"と言うよりはむしろ飛び込み台のようだ。いずれにしても、どのようにしてこのような形の岩ができたのか、ちょっと不思議である。
更に先へと進むと、急勾配の下り坂に差し掛かった。ちょうど山の斜面を見下ろす格好になる。昨日のような雲海こそ見えないが、やはり廬山の景色は圧巻。山の下まで見える光景は、ここが高山であることをあらためて思い起こさせてくれる。
やがて散策道終点ポイントにある仙人洞に到着する。文字通り仙人の像が安置された洞窟のある場所だ。
実は廬山は、古くから仏教や道教の聖山としても有名で、世界遺産に登録されたのも自然遺産としてではなくむしろ文化遺産としてなのである。

下り坂から見下ろした廬山
下り坂から見下ろした廬山
仙人洞
仙人洞

更に先へと進む。途中、天池という場所があり、長白山のものとまではいかないまでもそこそこ大きな湖を期待していたらコンクリートで固められた小さな池。全くの期待外れだった。
野生の猿が棲息している場所を抜けて龍首崖という断崖に着いたところで、取りあえず山歩きを終わらせて引き返す。 龍首崖
龍首崖
しかし、次に向かおうとしていた山の南側へ行く整備された道がかなりの大回りだったため、また山に入って全く整備されていない獣道を歩いた。少々きつかったが、自然と直に触れることができたのはよかった。

廬山は、大躍進政策が破綻した後の中国共産党の見苦しい内輪もめである廬山会議の舞台になった場所でもある。私が獣道を抜けてきた先の場所にはその会議が行われた建物などもあるが、中国共産党を毛嫌いする私がそんな所を参観するはずもなく、近くを通っただけで終わった。

その先にある蘆林湖まで行ってみるが、如琴湖ほどの華やかさが無く、ちらりと見ただけで済ませる。そこで廬山巡りを終わらせ、タクシーで街中に戻った。
廬山は決して悪くなかったが、前日見た雲海の景色が余りにインパクトがあり過ぎたためか、この日見た風景はいまひとつかすんで見えてしまった。

乗り合いワゴンでまず九江に戻り、そこから列車で南昌へ向かう。
南昌は中国共産党絡みの名所しか無い街なので、無論素通りである。しかし、次の目的地である長沙までの直行列車が最新式の新幹線・D列車しかない。快適だったし、女性列車員の制服も格好よかったが、僅か3時間の道程で124元とチケットが高く、どうも私には分不相応に感じられた。

コメント(2)

こういうきれいな景色の中で、村に滞在しながら、周りを見て回るのも贅沢な体験ですね。今度まねてみようかなあ。

この雲海の景色は確かに最高でした。

村に滞在するというのは本当にいいものですよ! のどかで心が洗われます。中国以外でも、パキスタンのフンザとかでかなりいい景色を眺めさせていただきました。
絶対、お勧めです。

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