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世界への旅(旅行記)

アジア周遊第3部 チベット

ラサ-7 ~密教学院ラモチェ

2007年7月7日

昨日と同じ屋台で1元の朝食を取って部屋に戻った後、暫く同室のダンと話をする。程なくして、ダンの知り合いらしいチベット僧が部屋にやって来て、英語でダンと会話を始める。現地の人との交流は結構なのだが、余りドミトリーに部外者を入れないでほしいものだ。いやもしかすると  ――  大っぴらには話せないことを話していたのかもしれない。
ラモチェ
ラモチェ

バルコル一帯からメーンストリートを北へ渡って少し歩いた所に、ラモチェ(中国偽名『小昭寺』)というチベット仏教寺院がある。ジョカンと同じく7世紀(641年)にに文成公主らによって創建された古刹だ。その名は「この世で最も大きな建物」という意味らしいが、それにしてはポタラ宮は言うに及ばず、ジョカンよりも小さい。それでもこの寺は密教学院として、文化財として非常に重要な位置を占めているのである。
入場料は30元だったが、料金表には「写真撮影別料金」と書かれている。試しにその別料金が幾らか、窓口の僧侶に尋ねてみると
「撮影禁止の場所だから、払ってくれないのがベスト」
とのことだった。御尤もである。聖職者という立場もあろうが、非常に真面目で好感が持てる態度だった。どこかの国の拝金主義者どもに爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
チケットを買った私に釣り銭を渡すや否や、その僧侶は読経モードに入っていた。先ほどの言葉といいその様子といい、チベット僧の敬虔さを窺うことができる。

入り口を抜けて大広間に入ると、大勢の僧侶たちが読経にいそしんでる。広間の背後には黄金の仏像が安置されており、大勢の参拝客が並んで祈りを捧げている。
チベット仏教で仏像(座像)に祈りを捧げる際には、独特の方式がある。賽銭を捧げた後、まず座像の右膝に、それから左膝に自分の頭をつけるのである。私もその列に並び、初めて本格的にチベットの仏像に祈りを捧げた。
広間に戻ってみると、先ほどあれだけいた僧侶たちはどこかへ消え、ひっそりと静まり返っていた。

本堂の外に出た後、その周りをマニ車を回しながらコルラする。マニ車と本堂外壁の間には、ここで学ぶ僧侶たちが寝起きしているとおぼしき場所がある。"修行"の辛さを象徴するような、粗末な寝床だった。

ジョカンと同じ時期に、同じ人物によって開かれたラモチェだが、どこかが違っている。両寺院内外の様子を思い起こしてみると、その違いが何であるかは明らかだった。
ジョカンは参詣者の多さが目立つのに対し、ラモチェでは僧侶の多さが目立つのである。
それは、参詣の対象という性格の強いジョカンと、密教の学習の場という性格を強くしているラモチェ、という違いを表しているように思われた。

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