バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

ジャワ島(インドネシア)、シンガポール

プランバナン-2 ~仏教とヒンドゥー教の共存・融合

プランバナン遺跡公園からその仏教遺跡までは予想以上に距離があった。途中で「Hello !」と声をかけてくる子どもたちに癒されながら歩くこと約20分。ようやくプラサオン寺院に到着した。
プラサオン寺院
プラサオン寺院
広い敷地内に大きな堂が2つ、その他小さめの堂やストゥーパが数基点在しているが、敷地の大きさやがれきで埋め尽くされた空白地帯から、かつてはかなりの規模の仏教建築群があったと考えられる。
こちらの建築物にもボロブドゥールのベル(鈴)型ストゥーパとよく似た形の装飾が施されていた。やはりこれがこのエリアに特徴的な様式だと思ってよさそうだ。
仏像は残っていないようだったが、壁に仏様のレリーフが残っていたので代わりにそれに向かって拝む。
プランバナン遺跡公園で先ほど「僅か45kmの範囲内で仏教のボロブドゥールとヒンドゥー教のプランバナンが共存していた」ことに驚いたが、よくよく考えると実はプランバナン遺跡群の中で既にヒンドゥー教と仏教が共存していたのだ。いや、これらの遺跡を見ていると互いが影響し合っていることがよく分かり、“共存”と言うよりもむしろ“半ば融合”しているようにすら思われる。

それにしても、先ほどの遺跡公園と比べ、こちらはひっそりとしている。来訪客はこの時私1人のようだった  ――  と思っていたら、双子のように並んで建っているツインの本堂を繋ぐ門の中で逢引き中の若い地元カップルが…
[君たち、ここをどういう場所と心得る?]
まあ、日本でも人けの無い神社でいちゃつくカップルがいたりもするので、それと同じようなものか。

さて、参観を終えたところで次に進むか  ――  といきたいところだが、次に目指す場所は遺跡公園を挟んで反対側にある。かなりの距離がある上に、もう余り時間が無い。
と思っていると、門番のオヤジが「バイクに乗るかい?」と申し出てくれた。
「ついでにカラサン寺院まで行ってくれませんか?」
調子に乗って申し出てみたところ「OK」と言ってくれた。インドネシアの人々は実に親切である。
オヤジがバイクの準備をしていると、1台の自動車が門の前に止まった。ようやく私以外の参詣者が来たようである。
車から下りてきたのは、1人の高僧と思われる年配の僧侶と、その弟子たちと思われる数人の若い僧侶だった。そのいでたちは、エンジ色と黄色の僧衣…
もしや、と思った私は1人の若い僧侶に英語で尋ねてみた。
「チベットから来られたのですか?」
「そうです」
やはりそうだったか。私はその返事に、更にこう返した。
「タシデレ(チベット語の『こんにちは』)」
「あ…タシデレ」
私の口から突如チベット語が出てきたことに相手は少し戸惑い気味だ。
「どちらから?」
「日本からです」
「ああ! 日本人ですか」
何か納得したような言い方だったが、どんな気持ちが込められていたのだろうか。それを聞く前に、バイクの準備ができて出発となってしまった。もっと話をしたかったが、時間がもう残っていない。私は「一期一会」を惜しみつつ、バイクの後部座席に座ってプラサオン寺院を後にした。
カラサン寺院
カラサン寺院

カラサン寺院は縦長の小ぶりな堂が1つだけ建つこじんまりとした寺院だった。1周コルラして5分で参観が完了してしまう程である。
その側面の1つに、何かがはめ込まれていたのではないかと思われる縦長の大きな窪みがあった。もしかしたら元は大きな仏像か何かが安置されていたのかもしれないが、それが無い以上、イマジネーションを働かせて脳内でそこにジャワ式の仏像をはめ込んでみるしかなかった。

「次はサリ寺院(仏教)に行きますか?」
今度は入り口でたむろしていた数人の中の1人が言ってくる。またバイクで送ってくれるようだった。
「そうだね。お願いするよ」
「あと、サンビ・サリ寺院(ヒンドゥー教)にも行きますか?」
との申し出もあったが、もうそんなに時間が無い。私は行き先を仏教遺跡に絞り込み、サンビ・サリ寺院はパスしてサリ寺院をプランバナン最後の訪問地とすることにした。

サリ寺院はカラサン寺院とは対照的に、横長の寺院である。外壁のレリーフが印象的な寺院だった。
この寺院の敷地内に入ろうとした時、バイクを運転してくれた男性が言う。
「入る前に、3回お祈りをして下さい」
 ――  そう言えば、そんなマナーがあった気がする。言われた通り、手を合わせて3度頭を下げた後で中に入ったが、仏教に関してはいい加減な駆け出しであることをものの見事に暴露してしまった。
レリーフを眺めながらコルラした後、内部にも入ってみた。ここにも仏像が安置されていたと思われる窪みがあったが、やはりそこに“主”は不在で、少し寂しげだ。

サリ寺院
サリ寺院
サリ寺院外壁のレリーフ
サリ寺院外壁のレリーフ

以上でプランバナン遺跡群巡りは終了。トランスジョグジャでジョグジャカルタに戻る。
今回の旅の最大の目的はボロブドゥールで、プランバナンは「せっかくだからついでに訪れてみるか」程度の気持ちだったのだが、仏教とヒンドゥー教の共存・融合ぶりを垣間見ることができた点、訪れて損は無かった。

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