バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

アジア周遊第3部 チベット

ラサ-18 ~セラ寺の問答

2007年7月17日

ヨージ・ナナ夫妻と合流し、セラ寺内の丘に上る。チェ・タツァンと呼ばれる学堂の横にある中庭 ―― 着いてすぐの時はまだがらんとしていたが、この後、セラ寺最大のイベントがここで行われることになる。
15時。どこからか鐘の音が聞こえてくる。それを合図に、チベット僧たちが次々と中庭に入ってきた。 チベット僧の問答
手を打ち鳴らしながら問答をするチベット僧

まずは、地べたに座って何やら話し始める。初めのうちは比較的静かだが、その会話が次第に熱を帯びてくる。
やがて、立つ者が1人、座る者が1人というペアを組んで、いざ開始。セラ寺名物(とは言っても他の寺でも行われていることで、セラ寺のものが一番有名だというだけであるが)の問答である。
問答のやり方については、2001年の旅行記にも書いたのでここでは詳しく書かないが、その時同様、「パァン!」と激しく手を打ち鳴らしながら熱く言葉を交し合っている。それが中庭の至る所で行われているので、熱気はかなりのものだ。2001年の時に加え、今回の旅でも数日前既に見ていたのでこれで3回目となるが、何度見てもその熱気に圧倒される。
中にはやたらめったら手を打ち鳴らしているパフォーマンス過剰な者もいる。先日訪れた際、ワタルがその様子に「ふざけているようにしか見えない」と不満を漏らしていた。しかし、この問答は勿論遊んでいる訳ではなく、また観光客向けのショーでもない。れっきとした修行なのである。
とは言え、チベット語の会話内容が分からない身としては、やはりショーを見るが如き目で見てしまっているのが悲しい現実だ。

チベット僧の問答については、『チベット旅行記 抄 (中公文庫BIBLIO)』に詳しく描かれています。

セラ寺背後の山
セラ寺背後の山
今回のセラ寺訪問では、寺院内部を巡るほか、もう一つ目的があった。寺院背後の山を登ることである。
翌日一緒にネパール越えに出かけるリョウコが、「一緒に行きませんか?」と声をかけたその日は「まだラサで行きたい場所がある」と色よい返事をくれなかったのが、その次の日「一緒に行くことにしました!」と言ってきた。リョウコに「ラサに満足できた」と言わせたのが、セラ寺の裏山から見た景色だったという。チベットに対する思い入れが一方ならないリョウコを満足させた景色を、私たちも見たいと思ったのだ。
セラ寺の外塀沿いに歩いて、山の側に出る。目の前の山の頂にはタルチョが掲げられている。あそこまで歩いて行ける証拠だ。
細い山道を歩き出すが、すぐに道らしい道ではなくなってしまった。足場は粗い砂となり、滑りやすく歩きにくい。傾斜もきつくなってきて、危険すら感じるようになった。
3合目あたりで眼下を見ると、セラ寺の全景を見ることができる。ラサ市街もある程度見渡せる。頂上まで登れば間違いなく、リョウコのみならず万人を満足させる風景を拝むことができるだろう。

セラ寺全景
裏山から見たセラ寺全景

しかしどうやら、私たちには彼女の真似は無理らしい。3合目からの風景で既に満足した私たちは、そこから先の危険な道を歩くことを諦めた。こんな山道、いや道とも言えない道を上まで歩いたリョウコには、ただただ感心するばかりである。

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