バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

カナダ西部

ホワイトホース-5 ~ユーコンの動物たち

2020年1月1日

午後1時。宿泊先のエリート・ホテルのフロントで待機していると、出迎えがやってきた。
この日は午後から、Northern Talesという現地旅行社が主催するユーコン野生動物保護区野生動物鑑賞と温泉ツアーへの参加を予約していた。ホワイトホース北郊外の同保護区でドールシープ、ビッグホーンシープ、マウンテンゴート(シロイワヤギ)、トナカイ、バイソン、ジャコウウシ、ヘラジカ(ムース)、オオヤマネコ(リンクス)などの動物を間近に見ることができるのだ。

私が乗り込んだバスは、他のホテルを回って客をピックアップした後、ホワイトホースのダウンタウンを離れてクロンダイク・ハイウェイを北上。午後2時半ごろ、保護区に到着した。
この後、保護区内をミニバスでポイントに移動しては下りてアニマルウォッチングを楽しむ、ということを繰り返すことになる。
辺りは一面の銀世界。この時も軽く雪が降っていた。しかし、そこまで気になる程ではない。
見ると、動物たちは柵の中。しかも結構遠くにいる。私はデジタルミラーレス一眼カメラのレンズを標準レンズから70-300mmの望遠に切り替え、彼らの姿をできるだけ大きく写真に収めることに挑んだ。ここまで、写真はオーロラを中心に景色撮影が多く、広角レンズを多用していたが、ようやく望遠に出番が回ってきた。

まず遠目に、バイソンの群れが見えた。ちょうど食事時だったらしく、皆、雪の間からようやく顔を見せている草を食べるのに夢中で、1匹たりとも顔を上げているものはいなかった。 バイソンの群れ
草をはむバイソンの群れ
トナカイ
トナカイ
一番数多く見かけたのがトナカイだった。2年前にはフィンランドでそりを引いてもらった思い出がある、私にとってはお馴染みの北の動物だ。
立派な角を生やしているものも見かけるが、角が抜け落ちているものの方が多い気がした。この冬の時期、角があるのはメスで、抜け落ちているのはオスなのだそうである。 ヘラジカ
ヘラジカ
数よりも大きさで存在感を示していたのが、ムースヘラジカ)だった。体長は2mを優に超え、背丈も2m近くあるその巨体は、間近に見られたので迫力満点。冬の季節は角が抜け落ちるようで、角が生えたものは見かけなかったが、これで角が生えていたらどれ程の迫力を見せていたことだろう。

その他、マウンテンゴートジャコウウシの群れを見ることもできた。いずれもふさふさとした毛を生やしている。極北の地を生き抜くための進化をしてきた証だ。 マウンテンゴート
マウンテンゴート
ジャコウウシ
ジャコウウシ
あるポイントで、相変わらず望遠レンズ装着のカメラを持ちながら動物の姿を追い求めていると、ガイドが私に声をかけてきた。
リンクスの姿を捉えたいなら、あちらに回ってみて下さい」
私だけに言ってきたということは、望遠レンズでないと捉えられない場所に潜んでいるのだろう。言われた場所に行ってみると、果たして林の中、確かに望遠レンズを目いっぱい伸ばしてようやく小さく写せるような遠い場所に、「リンクス」と呼ばれるオオヤマネコの姿を見ることができた。目つきは鋭く、野性味あふれる精かんな顔つきをしていた。 リンクス(オオヤマネコ)
リンクス(オオヤマネコ)。写真はかなりトリミングしている
キツネもまた、北国の動物だ。ここでは、近い灰色の毛に覆われたギンギツネ、日本でもお馴染みの赤い毛に覆われたアカキツネ、そしていかにも雪国らしい、白い毛に覆われた、その名もホッキョクキツネと、3色取り揃えて見ることができた。 ギンギツネ
ギンギツネ
アカキツネ
アカキツネ
ホッキョクキツネ
ホッキョクキツネ
そして、再びバイソン。今度は間近にお目にかかる。
先程の群れは、食事に夢中な様子で全く顔を上げてくれなかった。この時も食事をしているものが多かったが、それでも結構な数が食事をやめてその顔を見せてくれた。
親子連れも居た。子どもは雪から顔を出した地面ではなく、母親の胸に顔をうずめて食事中だった。 バイソン
バイソン
ワピチ
お尻が特徴的なワピチ
最後にお目にかかったのは、ワピチエルクアメリカアカシカ)。遠目にしか見えなかったが、実はムース(ヘラジカ)に次ぐ大きさの鹿で、こちらも冬でなければ立派な角を生やしているという。
特徴的なのはお尻だった。全身が茶色い毛で覆われている中で、ここだけ雫型を逆さにしたような形で白い毛になっている。

※ちなみにヨーロッパに行くと「エルク」と言えばヘラジカを指す。

アニマルウォッチングはこれで終了。
野生動物が生活を営む場――これもまた、私の憧れる「大地」である。

動物を楽しんだ後は、近くにあるタキーニ温泉で、零下の野外を歩き回って冷えた体を温めた。但し、「温泉」とは言っても実際は水着着用の温水プール。また、お湯はかなりぬるめだったので、日本人の感覚で「温泉」と思って入るともの足りなく感じられるかもしれない。

温泉から上がって、バスでダウンタウンに戻り、ツアーは終了した。

さて、晩御飯といきたいところだが、元日だからか、昼食を求めて彷徨った時同様、飲食店は揃いも揃って閉まっている。
幸い、スーパーマーケットは開いていたので、そこで何か買っていくことにした。宿の部屋には電子レンジが備えられていることなので、パンのほか、冷凍食品のおかずを買って帰り、部屋で温めて腹を満たした。

そして、夜が更けるのを待つ。

コメント(0)

コメントする

<新着記事>

Google

WWWを検索a-daichi.comを検索
お勧めメディア(Amazon)
チベットの大地へ