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富士山

富士登山記 須走ルート登山(2025年8月)

下山

2025年8月2日

わずか37分という圧倒的最短記録の山頂滞在時間を過ごして、7時37分、下山開始。
下りも須走ルートを辿るが、8合目までは吉田ルートと共通。つづら折りの平易な下り坂を進む。 写真
雲の中、下山開始
写真
下山を開始して間もなく雲を抜け、眼下に富士の麓が
初めのうちは雲の中を歩かされたが、10分もしないうちに下界がうっすらと見えてきた。そして間もなく、雲を脱出した私の眼下に、河口湖から山中湖に至る富士の麓がくっきりと姿を現した。
20分ほどで、今回宿をとった山小屋・下江戸屋のある8合目に到着。
山頂を目指すに当たって持ってきていた装備を全て着込んでいたが、8合目まで下りたところで早くも暑くなってきた。下江戸屋の横でフリースの上着とレインウェアの下を脱ぐ。更にこの先に備えて靴に砂除けのスパッツ(ゲイター)を装着して、8時44分、下山の続きに挑む。
8合目がちょうど、須走下山ルートと吉田下山ルートの分岐点だ。吉田の下山ルートは平易なつづら折りの坂道だが、須走の下山ルートは時折岩場や砂地もあり、吉田に比べそこそこ難易度がある。ただ、登山道と下山道が分かれており、より下りに適したコースが設定されていること、すれ違いが発生しないこと、あたりが、登りも下りも同じルートで歩きにくい富士宮の下りルートなどと比べれば十分に歩きやすい。
本7合目・見晴館には13分ほどで到着。ここで少しだけ休憩を取るが、山小屋の名前通り、富士山東側の見晴をくっきりと楽しむことができた。 写真
本7合目・見晴館からの眺め
9時10分、本7合目を出発。17分後に7合目・大陽館に到着するが、ここでは休憩を取らずに一気に次へと向かう。
写真
7合目・大陽館
7合目までの岩がちな山肌とは打って変わって、目の前は土一色の山肌が広がる。そこを少しずつ下りながら6分ほどトラバースした先で、コースは直角に左へと折れ、そこから先は砂地の急斜面になっている。
砂走のコースだ。砂の上を滑るようにして下っていく、須走下りルート名物である。
9時33分、砂走スタート。
 ザッ
   ザッ
     ザッ
気持よく音を立てながら、砂の上を滑るようにして進む――のが砂走の醍醐味なのだが、前日までの雨天で砂が水を吸ったようで、どうも少し重さを感じる。それに、前日少し痛めた腰――痛みは全日よりも和らいではいるが、やはり気になるので余り全力が出ない。比較的ゆったりとしたペースで進む。 写真
砂走

これまで経験してきた砂走と大きく違っていたのは、曇りだった前回、前々回とは対照的に、目の前が晴れ渡っていたこと。須走から御殿場にかけて、そして山中湖にかけての景色が眼前にくっきりと見えたのは心地よかった。次の目標地点である山小屋も見えていたので、あとどのくらい歩けば、というのも目安がつきやすかった。
砂走を始めて20分ほどで、砂の"滑り台"が一旦終わって普通の下り道になる。ここで振り返ってみると、富士山が山頂に至るまで雲一つ無い状態で佇んでいた。 写真
砂走エリアから富士山頂を眺める
昨日からこの天候だったら――などと言いたくなってしまうが、天候には文句を言ったところで始まらない。与えられた天候はそのまま受け入れて行くしかないのだから。
その後すぐ、背の低い雑木林に突入。このあたりから、森林限界の下だ。
暫く砂走や普通の坂が入り交じった下り坂を歩くが、腰に加えて股関節にも少し痛みが来たので、スピードを控えめにして下る。それでも、7合目を出発してから僅か44分(コースタイム:60分)で次のチェックポイント・砂払5合目の吉野屋に到着することができた。
写真
砂払5合目の吉野屋で一休み
すっかり暑くなってきたので、冷えたコーラを頂いて一休み。山小屋の可愛く人懐こいマスコット・ジャックラッセルテリアの「ジャッキー」君(以前来た時は凛々しい和犬の「ムサシ」君だった)と戯れたりして疲れを癒す。
当初は、14時にここ砂払5合目を出発して14時40分にゴールの5合目に到着し、15時のバスで御殿場駅に向かう、というプランだった。しかしお鉢巡りを省略したことなどもあって今は10時半――予定よりも遥かに早まっている。となると、帰りのバスはどうだろう?
時刻表を調べてみると、次は10時45分で到底間に合わないが、その次に11時45分の便がある。手元の本によると、ここから5合目までのコースタイムは40分とあるが、近くに掲げられている看板を見ると「バス停まで30分」とある。ちょっと急げば昼食タイムを取っても余裕がありそうだ。
私は11時45分のバスを目指すことにして、10時36分、砂払5合目を出発した。
大事にしてきたお陰で、腰の状態もすこぶる良好。人がそれ程いないことをいいことに、可能な場所ではトレラン(トレイルランニング)もして、森林限界下の森の中をくぐる、5合目への道を急ぐ。
10時55分、標高2000m地点を通過。ここまで来ればゴールはあと少しだ。 写真
標高2000m地点を通過
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ゴールが見えてきた
そして10時58分...
5合目着

富士登山、完了!!
今回も、怪我・病気・遭難等することなく、無事富士登山を成し遂げることができた。 写真
無事下山!
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5合目で昼食
余裕で昼食を取る時間もできたので、5合目の山小屋・菊屋で山菜うどんとビールを頂く。登山前日から酒は控えていたので、3日ぶりの美酒だ。

冒頭でも書いた通り、この年から静岡側からの富士登山に新たなルールが設けられた。

  • インターネット上での届け出と事前のガイダンス動画受講の必須化。
  • 届け出時に山小屋の予約状況の登録が求められ、無ければ14時~翌3時は登山口通行不可
  • 任意だった保全協力金1000円に代わり、入山料4000円の必須化。
  • 軽装の登山者に対しては指導を行い、従わない場合は入山を拒否も。

しかし、私にとってこれらは、全て...
だから何?
全部従って当たり前ではないですか

だったので、何ら障壁になることはなく、今年の富士山挑戦も、何ら躊躇なく実行に移した。殊に入山料に関しては、これまではむしろ保全協力金1000円で済ませてきたのが安すぎると常々思ってきたことだ。
来年以降もまた、然りである。

富士山よ、今後とも宜しくお願い致します。

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