バス憧れの大地へ

富士山

富士登山記 御殿場ルート登山(2023年8月)

七合五勺―富士山頂

2023年8月5日

午前4時。雑魚寝の山小屋の中で、誰かの携帯電話のアラームが鳴った。普通なら迷惑行為だが、誰も文句を言う者は無く、それに便乗して皆、起床した。
入り口に近い寝床は既に空になっている。夜中のうちに山頂での御来光を求めて山小屋を後にしたようだったが、居残り組ときっちり分けてくれていたお陰で、叩き起こされずに済んだ。
居残り組は皆、山小屋の外に出て東に向かって座って待機。東から南の空は既に赤見がかっていて、次第に明るくなってくる。ただ、低い場所に雲がかかっているのがきがかりだった。
そして4時51分すぎ...
「太陽!」
私の隣にいた親子連れの父親が言った。注意してよく見ると、山中湖の右上あたりに、真っ赤な太陽――富士山からこれまで見た中では一番赤かったのではないか――が少し顔を出し始めていた。
太陽は一度雲に隠れ、そしてまた雲間からその全貌を私たちに見せてくれた。 写真
御殿場ルート砂走館から望む御来光
富士山から望む、実に6回目の御来光だった。

室内に戻って朝食を頂いた後、私は2つに分けていた荷物のうち、当面不要なものを纏めた大きなザックの方を山小屋に預けた。また同じコースで下山してくる宿泊者限定で、荷物預かりサービスがここでは受けられるのだ。いつもの登山より身軽にして、5時39分、2日目の登山スタートだ。
登り始めるとすぐ、目の前には(頭上こそ曇ってはいるが)雲一つかかっていない富士山の頂がくっきりと見える。前日五~六合目あたりから見ていた時と比べればかなり近くなったが、まだ標高差にして600m以上あるのだ。 写真
七合五勺から望む富士山頂
七合五勺から八合目に至る山道は比較的歩きやすく、また今回の登山では高山病的な兆候は全く見られなかったが、そうは言っても3000mを超える高地で上り坂を登っているのである。筋肉と心肺への負担が無い訳がない。必然的に時々脚を休めながらの登山になるが、こういう時にこそ楽しみたいのが景色だ。ある場所では、振り返って見ると、箱根の山やその向こうに相模湾、三浦半島、東京湾が見える風景に、雲間から漏れた日の光が神々しく降り注ぐ、素晴らしい景色を拝むことができた。 写真
雲間から漏れた日の光が神々しい箱根の山、相模湾、三浦半島、東京湾が見える風景
砂走館を出発して30分ほどで、砂走館と同系列の山小屋である赤岩八合館に到着。「八合」という言葉を冠しているが、正確に言うとここは七合九勺(標高3290m)である。
ここでは10分ほど座って休憩するにとどめ、6時20分、再出発する。 写真
赤岩八合館
写真
廃墟となった山小屋・見晴館
6時42分、八合目(標高3400m)に到着。ここにはかつて見晴館という山小屋があったようなのだが、そこには、雪か石に潰されたのか、無残にひしゃげた廃墟が残るばかり――また御殿場ルートの悲しい姿を見てしまった。
前半は柔らかい砂地が多かった御殿場ルート登りルートだったが、山頂に近づいたところで、荒々しい岩場の道へと姿を変えていた。滑らないのはいいが、段差が激しかったり、足場を選ばなければならなかったりで、別の歩きにくさがまとわりついてくる。 写真
富士山頂直下の荒々しい岩場の道
3500m、3600mと高さを増すにつれて、傾斜もきつくなり、酸素も薄くなって、全身の筋力と心肺を痛めつけてくる。しかも、七合九勺の赤岩八合館を過ぎると標高にして400m以上、山小屋はおろかベンチのような座る場所すらない。ただ登るしかないコースタイム2時間の苦行のような区間だ。
1つ助けになったのは、この御殿場ルート七合五勺~山頂のルートを歩くのは2度目だったということ。全部ではないが、何となく4年前の記憶が残っている部分がある。岩に阻まれて先の見えない右へ直角に曲がる地点に到着した時、直感した。
[ここを右に曲がれば、目の前が山頂だったはずだ]
果たしてそこを曲がると、そのすぐ先に、御殿場ルートゴールの鳥居が、今回の登山で初めて視界に入った。
[あと少し!] 写真
ゴールの鳥居が見えてきた
写真
御殿場ルート山頂に到着
そして7時54分、その鳥居をくぐり、無事御殿場ルート山頂に到着した。
初日は新五合目から七合五勺まで6時間33分(休憩含む)、2日目は七合五勺から御殿場ルート山頂まで2時間15分(休憩含む)――コースタイム8時間15~50分といわれるところを休憩込みで8時間48分――さすがに最難関といわれる御殿場ルートはやや時間がかかった。
これで頂上に足を踏み入れたとはいえ、まだ「登頂」ではない。隣の富士宮ルート頂上で休憩した後、8時38分、真の「登頂」に向けて、富士山頂を周回する「お鉢巡り」を開始する。
富士宮山頂から、剣ヶ峰は目と鼻の先だ。富士山一の急坂・馬の背を登り切ると、そこが剣ヶ峰だ。
ただ、3776mの石碑までは、記念撮影の大行列。何度も来ている場所とはいえ、私もここでの記念撮影はやっておきたい。待ち時間20分ほどを要したが、私も「日本最高峰富士山剣ヶ峰 三七七六米」の石碑と一緒に記念撮影――そして、これで正真正銘、七度目の富士山登頂だ。 写真
大行列の富士山剣ヶ峰
写真
これで今年も富士山登頂

コメント(0)

コメントする

<新着記事>

Google

WWWを検索a-daichi.comを検索
お勧めメディア(Amazon)
チベットの大地へ