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雑記ブログ

「チベットチベット」キム監督らトークイベント

日曜日は「チベットを返せ!-Tibet for Tibetans-サイレントマーチ」に参加し、本日は映画「チベットチベット」観賞と、チベット漬けの2日となりました。


「チベットチベット」は先日も見てきたのですが、今回は映画以上に、mixiで交流のあった同映画のキム・スンヨン監督と「14人のダライ・ラマ」(グレン・H. ムリン)の訳者であり仏教学者である・田崎 國彦、渡邉 郁子両氏(別姓ですがこのお二方、ご夫妻です)のトークショーがお目当てでした。

上演前、キム監督とオフで初対面。「チベット問題は(オリンピックが終わった)これからが大事」という認識で一致しました。

19時、上演開始。(映画のレビューに関しては8月5日の記事をご参照ください)

上演後、そのままトークショーへとなだれ込みました。

ゲストのお二方が仏教学者とあって、話題は「ダライ・ラマとは」「中央アジアにおけるチベット仏教の広がり」「ダライ・ラマ制度の正と負」など、チベット仏教とダライ・ラマ法王の話がメーンで、その他には渡邉さんが遠慮がちにキム監督の在日韓国人としてのアイデンティティ、日本に帰化するか否か(これに関しては、キム監督が同じく在日韓国人と結婚し、子供[名前は『ラサ』ちゃんだそうです!]が生まれたことでちょっと複雑になっている様子)について尋ねられていました。

チベット問題を主題とした映画のイベントでありながら中国に対する非難は一切無く、それどころか「最終的には、チベット人、ウイグル人、漢人の共存という形で解決すべきだ」(田崎氏)という言葉もあったほどで、一口にチベット問題と言ってもいろいろな考え方、アプローチのし方があるのだな、と目から鱗が落ちた思いでした。

それにしても、キム監督は制作者としては少々変わっています。

トークショーで「この映画の海賊版が中国で出回ってほしい」と発言したり、昨年11月に法王が横浜に訪れた際に映画のDVDを無料で配布していた(この日のイベントで知り合った方の証言)など、制作者としては異端とも思える言動があります。

しかしそれは、映画による儲けよりも「チベット問題をより多くの人に知ってもらいたい」という高潔な思いの表れなのでしょう。

【レビュー】映画「チベットチベット」(キム・スンヨン 監督)

チベットチベット
職場(東京・渋谷)近くで上映されていた映画「チベットチベット」を見てきました。

在日コリアン3世の監督キム・スンヨン氏がビデオカメラを片手に2年に及ぶ世界一周旅行をした際、モンゴルのゲルで偶然ダライ・ラマ14世の写真
を見かけたのを機に、インド・ダラムサラで法王の密着取材を実現させ、チベットに渡って現地の複雑な現状を目の当たりにした過程を綴ったドキュメンタリー
映画です。

最大のテーマは、コリアンでありながら日本に親近感を持ち”祖国”であるはずの韓国を嫌っていたキム氏がチベット問題をフィルターに自らのアイデ
ンティティを見直す”自分探し”だったような印象を受けましたが、チベット問題に対する認識を深めさせてくれる作品だったことは勿論言うまでもありませ
ん。

本格的な機材を使っての撮影ではなかったのですが、超ミニシアターでスクリーンが小さかったこともあって、画質は気になりませんでした。

冒頭からヤムドク湖、ダラムサラ、ジョカン、セラ寺での僧侶の問答、ポタラ宮など、私が昨年訪れた場所が次々と映し出されて、懐かしさから興奮気味に見入ってしまいました。

中でも彼が密着取材した、私が歴史上の人物の中で最も尊敬するダライ・ラマ法王のお姿とお声には感動するしかありませんでした。慈悲と力強さと
ユーモアあふれる法王の口調は昨年ダラムサラで拝聴したティーチングの時と同じでしたが、ティーチングの時の小難しい仏教の法話と比べ、この映画でお話に
なっていたことは非常に解り易く、より親近感と敬意を抱くことができました。

そして、チベット人の受難についてもよりリアルに感じることができました。中国当局から拷問を受けたチベット人のインタビューは活字では幾つも読
みましたが、映像と音声を伴うと重みが違ってきます。インドに亡命してきた女性が拷問の後遺症に苦しみながら涙ながらに「外国人のあなたにこの話ができて
本当に嬉しい」と訴える姿など、痛々しくて仕方ありませんでした。

命がけでチベットからネパールに逃れてきて法王と謁見した亡命者たちが法王のお言葉に涙していたのも印象に残っています。

その他に印象に残ったのが、ラサで現地の子どもに案内された寺院廃墟のシーン。劇中ではなぜこのように破壊されたのかは明言されていませんでしたが、宗教を否定する中共の破壊工作によるものであることは容易に分かります。

私がこの映画のことを知ったのは「環境goo」でのキム氏のインタビュー記事がきっかけでした。

http://eco.goo.ne.jp/life/lohas/earth/1601.html

その記事の中に、こんなくだりがありました。

「『チベットチベット』をつくったからといって、決して中国そのものが嫌いというわけではありませんからね。念のため。(笑)」

最初、この言葉が理解できませんでした。チベットの現状を知れば中国を嫌いになるのは当たり前だと思っていましたから。

しかし、この映画の中でダライ・ラマ法王がおっしゃっていたことにそれを理解するヒントがありました。

「チベット人と中国人を分けて考えてはいけません。”中道”の精神が大切なのです」

これを聞いた瞬間、キム氏がいかに法王のお考えを理解しているのか、また私の考えがまだまだ浅いものだということを痛感しました。

ともかく、この映画は必見です。

以下のページに上映予定が掲載されていますので、ぜひご覧下さい。

http://www.tibettibet.jp/schedule.html

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