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https://www.a-daichi.com/j100catsles/visit/20220416.html
ダライ・ラマ法王と科学者との対話
敬愛するダライ・ラマ14世猊下が今年も来日された。ここ最近余裕が無くチベット支援活動や関連行事に全く参加できていない私だが、今年は何とか法皇様のお言葉を直接拝聴したいと、ギリギリの時間を割いて1つだけイベントに参加した。
このイベントは、仏教以外のサイエンス、教育等の専門家を招いて仏教と科学が共存するところに人類の将来を考える、というものだ。法皇様がオープニングスピーチで、そしてこれまで拝聴してきた法話等で繰り返しお話されてきたように、仏教は分析し、考えるというプロセスが極めて重視される。従って、仏教と科学は極めて親和性があるというのだ。
この日のイベントは午前の部、午後の部があった。私が参加した午前の部では、コスモス・セラピーの研究者、数学者、教育者がスピーチを行い、それに基づいて法皇様がコメントをする、という形で進行した。
心の安寧
合理性
人と人との繋がり
私たちの考え方では一見仏教と相容れないと思われる科学分野が、こうして見ると意外な仏教との接点を持っていることに気づかされた。
それにしても驚かされるのが、ダライ・ラマ法王の飽くなき探究心。もう長年にわたって異分野の科学者たちの言葉に耳を傾けているというから敬意を表するしかない。こうした探求が仏教を発展させ、その先にはチベット、そして世界の平和と発展がきっとあるに違いない。そしてそれらの探求は、法皇様の脳細胞を活性化させ、法皇様のご長命にもきっと繋がるに違いない。
それにしても、もったいなかったのはモデレーター=進行役の池上彰氏の立ち位置。進行役としてよりも対話の真ん中にいてほしい方だったので、その意味での期待外れ感は否めない。
法皇様と池上氏との対話ということなら、以下の本を読んでみるといいかも。
佐々井秀嶺師来日講演会「よみがえる仏教 インド仏教復興運動の今」
不覚にもこのイベントを知るまで、佐々井秀嶺という人物のことを全く知らなかった。
先日お亡くなりになった、「ダライ・ラマ自伝」「チベットはいかに中国を侵略したか」などチベット関連書籍の翻訳も手がけたインド学者・山際素男氏による「破天 (光文社新書)」に、佐々井師の波乱に満ちた半生が描かれている。
紆余曲折を経て僧侶となった佐々井師はタイ留学の失敗後、インドに渡り、ナーグプルという街でインド仏教の復興者でありダリット(不可触民)解放運動のリーダーであったアンベードカルのことを知り、アンベードカルの志を受け継いでダリットの仏教への改宗、ヒンドゥー教徒の管理下にあったブッダガヤの大菩提寺(マハボディー寺。ブッダが悟りを開いた地に建てられた寺)奪還運動などを牽引していく。
インドに移って以来日本には戻っていなかった佐々井師がこのほど、所用で44年ぶりに日本に帰国し、先日は故郷の岡山で講演会を行った。この日は東京・護国寺で講演会が行われ、「破天」を通じて佐々井師に強くひき付けられた私も護国寺へと出向いた。
会場に到着したのはまだ講演開始40分前だったが、既に護国寺本殿に設置された椅子席は埋まっており、その前の床スペースに腰を下ろしてお話を拝聴することになる。入場者数は約500人と大盛況だった。
午後3時。厳粛な雰囲気の中、佐々井師が入場する。本殿仏像を拝んだ後、パーリ語で読経。その後、師を撮り続けた写真家や師のお弟子さんのお話があり、そしていよいよ、佐々井師のお話が始まる。
大きく、力強い、迫力のあるだみ声(失礼)が本殿に響き渡り、一種の緊張感が会場を包む。
師が仏門に入ったいきさつを語った後、故山際氏のことなどが語られ、そしてとりわけアンベードカルが始めたダリット解放運動の話には熱がこもっていた。
「インドが語られる際には上位カーストの視点からばかり語られている。不可触民の存在という二面性を語らずしてインドは語れない」
など、インド社会の矛盾を訴える。
書いている時間が無いのでその他詳しい話は割愛させていただくが、「破天」や今回の講演で見えてきたインドで復興した仏教の特色は、
・アンチカースト運動として展開された側面がある。
・派閥はあるものの、”宗派”の別は無い。
・瞑想は行われない。
といったところだろうか。まだまだ認識は浅いので、時間と機会があれば今後も理解を深めたいところである。
万雷の拍手の中、講演は終了。その瞬間、力強さと緊張感に満ちていた師の言葉と表情は一変して穏やかなものに変わっていた。
イベントの全てが終了し、車で護国寺を立ち去られる直前にも「ありがとうございます、ありがとうございます」と、腰を低くして参加者の方々と握手を交わす(私も恐れ多くも握手させていただいた)。そして、用意された車を通り越して歩いて立ち去ろうとしてしまうという、お茶目(笑)な姿も見せてくれた。
仏教とは言っても、チベットとは全く違う世界での運動である。しかし、佐々井師の粘り強い運動姿勢には、チベットサポーターとしての私も大いに勇気づけられた。
佐々井師は今回を最後の帰国と決めているという。インドでの活動に相当な覚悟で挑んでいることが窺い知れる。
しかし、最後に護国寺の住職が言っていたように、この日駆け付けた参加者全てが「またお越しいただきたい」と思っていることだろう。
最後に一言・・・
ジャイ・ビーム!
(アンベードカル万歳! インド仏教界では挨拶も『ナマステ』ではなく『ジャイ・ビーム』である)
宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会
昨日(5月23日)のことになるが、「宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会」にボランティアスタッフとして参加。東京・護国寺に仏教各宗派のお坊さんや俗世間のチベットサポーターが参加し、チベットの平和を祈る。
本尊法楽、代表挨拶等の後、特別ゲスト・ダライ・ラマ法王特使ケルサン・ギャルツェン氏の講演。私は雑務や写真撮影に追われて断片的にしかお話を聞けなかったのだが、どうやら5月21日の講演とほぼ同じ内容だったようだ。とはいえ、21日にはいなかった顔ぶれの方が多かったので初めての方には貴重な話を聞く機会になったことだろう。
熱弁するケルサン氏(右から3人目)
続いて、早大教授・石濱裕美子氏のお話。こちらも断片的にしか聞けなかったが、欧米で仏教が、ダライ・ラマ法王がいかに受け入れられてきたか、などのお話をいただいた。
最後に、チベット語による読経。チベット人の若者たちも集まり、まさに「宗派を超えた祈り」が会場内に響く。
チベット語による読経
今回のテーマは「聞・思・修 ~学び、考える、行動する~?」というものだった。今回のイベント告知のページによると、
三慧、聞・思・修 ―。学び、論理的に考えて、繰り返す瞑想実修により「正しい理解」を身につける。このプロセスから生じる仏陀の叡智が、慈悲(共感共苦)による「行動」へ、そして「社会参加する仏教」へ。宗派を超える思いが、今、一歩踏み出します。
とのこと。チベットのことを「学び、考える、行動する」こともまさに仏教的プロセスであるということになる。
この呼び掛けは仏教界にのみ向けられたものではないだろう。私のような俗人にも、仏教的アプローチで、チベット問題を学び、チベット問題を自分の頭で論理的に考え、また自分に何ができるかを考え、そしてそれを実践する、ということが求められる。
今回のイベントの質疑応答で、「正しい理解」が足りないまま全く的外れな質問をして参加者たちから大ひんしゅくを買った質問者がいた。
かくいう私も、「聞・思・修」―全てにおいてまだまだ全く不足している。今後も様々なアプローチで、チベット問題に関する「聞・思・修」の修養を重ねていく所存なので、何卒各方面からご鞭撻いただきたく思う。
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【告知】「宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会」(5月23日=終了=、東京・護国寺)
来たる5月23日、東京・護国寺にて「宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会」第2回が開かれます。本尊法楽のほか、チベット代表団特使、ケルサン・ギャルツェン氏のお話や、石濱裕美子・早大教授のお話もあります。
以下mixiより転載。
皆さま
「宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会」http://www.supersamgha.jp/では、只今以下のような企画を準備中です。
どなたでも無料でご参加いただける内容となっております。
5月23日(土)午後3時、皆さまぜひ護国寺様まで足をお運びください。
また当企画のボランティアスタッフも大募集中です!!
どうぞ宜しくお願いいたします。合掌
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宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会
第2回結集 聞・思・修 ~学び、考える、行動する~【日時】 平成21年5月23日(土) 午後15時~18時
【場所】 東京 護国寺 【桂昌殿】
http://www.gokokuji.or.jp/index.html
東京都文京区大塚5丁目40-1【テーマ】 聞・思・修 ~学び、考える、行動する~
【趣旨】
チベットのこと、知っていますか?-学び、考え、行動する日本仏教へ-ダライ・ラマ法王がインドに亡命して半世紀、チベット問題は今なお混迷の度を深め、解決の糸口を見出せずにいます。
今こそ、私たちは「聞・思・修」というサンガの基本に立ち返り、チベット問題の本質とその普遍性を学ぶとともに、宗派を超えて叡智と行動を結集し、希望の道を探る時ではないでしょうか。
そこで、当会結成1年を迎えるに当たり、宗派を超えてチベットの平和を祈念する私たち日本の仏教者が、再びその思いを寄せ合う結集を開催いたします。
当会設立の意義を見つめなおし、未来に向けて、私たち日本の仏教者が果たすべき役割を見出す集いにしましょう。皆さまのご参加を心よりお待ちしています。「聞・思・修」とは、全宗派に共通する仏道修行における重要な基本姿勢です。これを三慧とも言い、すなわち、学び、論理的に考えて、繰り返す瞑想実修により「正しい理解」を身につけること。
私たちは、この三慧のプロセスから生じる仏陀の叡智が、慈悲(共感共苦)による「行動」へ、そして「社会参加する仏教」へとつながっていくことを願っています。
宗派を超える思いが、今、一歩踏み出します。〔第2回結集特別講師〕
■ケルサン・ギャルツェン氏(ダライ・ラマ法王特使)
1951年チベット・カム地方に生まれる。83年以降チベット亡命政府の任務に就く。スイスのチベット事務所代表、駐欧州連合特使などを歴任。現在、ダライ・ラマ法王により任命された2名のチベット代表団特使のひとりとして中国政府との交渉にあたり、2002年以降、中国指導部との8回の公式協議と1回の非公式協議に臨むとともにチベット交渉対策本部のメンバーも務める。ダライ・ラマ法王の特使という立場から、チベットに関する講演やインタビューにも精力的に取り組み、チベットの人々の悲劇に光をあてるべく尽力している。■石濱裕美子氏(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)
文学博士。早稲田大学大学院博士課程修了。同大学教育学部専任講師、准教授を経て現職。
編著書に「チベット仏教世界の歴史的研究」(東方書店、2001)、「チベットを知るための50章」(明石書店、2004)、「図説 チベット歴史紀行」(河出書房新社、1999)、訳書に「聖ツォンカパ伝」(大東出版社、2008)、「ダライ・ラマの仏教入門」(光文社、2000)、「ダライ・ラマの密教入門」(光文社、2001)など。現在、日本国内におけるチベット史研究の第一人者。【内容】
《第1部》
・開会宣言
・本尊法楽(導師は護国寺ご貫主、岡本猊下)
・当会代表挨拶
・当会特別顧問挨拶
・チベット代表団特使、ケルサン・ギャルツェン氏のお話し~休憩~
《第2部》
・石濱裕美子先生のお話し
・ダライ・ラマ法王日本代表部事務所、代表ラクパ・ツォコ氏挨拶
・質疑応答(ケルサン特使・石濱先生)
・法要
・閉会宣言※ 更に詳しい内容については当会ホームページに随時アップいたしますので、ご確認ください。
http://www.supersamgha.jp/
【参加費】 無料
※事前のお申込みをお願いします。お申込み方法は下記3つのいずれかに、必要事項明記の上お願いいたします。
・当会HP「お問い合わせ」へ http://www.supersamgha.jp/contact.html
・FAX045-431-2241 観音寺宛
・info@supersamgha.jp〈お申込み 必要事項〉
(1)氏名
(2)住所
(3)電話番号
(4)メッセージ【参加資格】なし(どなたでもご参加いただけます)
【主催】 宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会
URL:http://www.supersamgha.jp/【協力】 ダライ・ラマ法王日本代表部事務所(チベットハウス)
URL:https://www.tibethouse.jp/home.html【募集】当日のボランティアスタッフを募集しています。(僧俗問わず)
是非ご協力ください!!【問い合わせ先】
(1)当会HP「お問い合わせ」へ http://www.supersamgha.jp/contact.html
(2)FAX045-431-2241 観音寺宛
(3)info@supersamgha.jp
何卒ご参加宜しくお願い致します。
※このアクションは終了しました。
砂曼荼羅
朝8時。高速バスで長野駅前を出発。渋滞が心配されたが極めて順調に走り、むしろ予定時間よりもやや早く12時30分前には東京・新宿駅西に到着した。
昼食後、そのまま西新宿にある仏寺・常圓寺に向かう。ここでこの日まで、チベット・シガツェのインドの[※]タシルンポ寺から僧侶を招いて「チベット・スピリチュアル・フェスティバル2009@新宿」が開かれていたのだ。
[※]シガツェのものではなく南インドで再建されたものでした。ご指摘くださった渡邊先生、ありがとうございました。
今回の目玉は、招待された僧侶たちによる砂曼荼羅の作成。作業は非常に細かく、5月1日から5日間にわたって行われており、この日午後の完成を目指し、常圓寺地下で詰めの作業が行われていた。
※写真クリックで動画を再生
(YouTube利用、別ウィンドウ表示)
暫く、別フロアのグッズ売り場などを見た後、1階に戻ってTVモニタを覗いてみたところ・・・
砂曼荼羅の周りに僧侶たちがいない。どうやら完成したようである。
ふと1階のホール部分を見ると、大勢のお客たちが座り始めている。
「何かあるんですか?」
と顔見知りのスタッフに尋ねてみたら、
「チャムですよ! これが肝心じゃないですか! 早く入って下さい!」
実はイベント内容を細かくチェックしておらず、砂曼荼羅のことしか頭にインプットされていなかったのだ・・・。
チャムとは、チベット伝統の仮面劇である。話には聞いていたが、見るのはこれが初めてだった。
※写真クリックで動画を再生(YouTube利用、別ウィンドウ表示)
チャムの他にも、
※写真クリックで動画を再生(YouTube利用、別ウィンドウ表示)
なども行われた。
そして、16時20分、訪問客らが地下に集まる。
ここで行われようとしていたのは・・・
砂曼荼羅の破壇(取り壊し)
何と、5日間かけて作業して先ほど作り終えたばかりの砂曼荼羅を早くも壊すのだ。
これは、仏教の「諸行無常(変化しないものは無い)」との考えによるものである。砂曼荼羅を使った灌腸の儀式(私は行けなかったが今回もこの日の午前中に行われていた)が終わればそれはもう用済みということで壊してしまうのだ。
祈りの後、砂曼荼羅が僧侶たちの手で取り壊されていく。
![]() Before |
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![]() After |
※写真クリックで動画を再生(YouTube利用、別ウィンドウ表示)
しかし、壊された砂曼荼羅の砂粒は、川に流される(今回は隅田川)ほか訪問客たちに分けられ、ご利益のおすそ分けがされるという寸法だ。
そのおすそ分けが↓これ↓。
あの砂曼荼羅は、タシルンポの僧たちが精魂込めて作ったものである。
そういえば、私がチベット仏教に引き込まれた場所がまさに、2007年に訪れたチベット・シガツェのタシルンポ寺だった。
何か、深い仏縁が感じられる。
タシルンポ魂、受け取りましたぞ!!(って、それが何なのか分からないのが致命的 orz)
長野紀行(2)

2泊3日とはいえ、長野の街を歩けるのはこの日1日だけ。朝早くから行動しました。
まず訪れたのが、長野の代名詞と言ってもいい、善光寺。今年は7年に一度の「御開帳」の年。町全体が御開帳ムード一色になっていました。参道にはあちこちで、御開帳を祝う提灯などが飾られていました。
駅前の宿から(私らしく)歩いて善光寺へ。

8時20分。善光寺大門着。

8時25分、仁王門で長蛇の列の最後尾に。

8時52分、やっと境内へ。

笑いたくなるほどの人だかり。
9時22分、やっと三門通過。

暫く歩き進んだところで・・・
「これから導師様がご退場しますので、道をお開け下さい!」
とのアナウンス。「モーゼの十戒」の場面のように、人波が左右に分かれて道ができました。(右写真。残念ながら退場時は撮影禁止でした)
その間を、善光寺の導師様が歩いていきます。この時、有難い「お数珠頂戴」が行われたのですが、それを受けることができたのは私がいた反対側の人たちだけで、残念ながら私はお数珠を受けることができませんでした。
9時48分、やっとのことで回向柱(えこうばしら)に到着。
(写真で柱に触れているのはカズではありません)
こうして善光寺本堂前に辿り着いた訳ですが、私はそこを後回しにして、境内北西にある日本忠霊殿へと足を向けました。
なぜ本堂よりもそちらを優先させたのか・・・下の写真をご覧ください。
ダライラマ御寄進仏!!
私が長野を訪れた最大の理由がこれでした。
昨年(2008年)のことを思い出して下さい。
ペキンペテン五輪の穢れた聖火が長野でリレーする際、スタート地点の指名を返上し、同年3月の騒乱で亡くなったチベットの人たちの法要を行ったお寺がありました。
その素晴らしいお寺こそ、この善光寺さんでした。
ダライ・ラマ猊下はそれに感謝の意を込めて善光寺さんに仏像を寄贈したのです。
高さ21センチの小さな仏像でしたが、金色の見た目や大きさ以上に神々しさが感じられ、私はその小さな仏像に深く深く祈りを捧げました。(撮影禁止だったのが残念!)
猊下寄贈の仏像に拝謁して既に満足感を得た私は、開帳された前立本尊を間近に見られるものの4時間もかかる内陣参拝は敢えてせず、遠くからながらも前立本尊が見える外陣参拝と、御印文頂戴と、その他のお堂を巡るだけにとどめました。
これで十分・・・11時半、私は善光寺の境内を離れた後、昼食にまたしても信州そばを頂いた後、次の場所へと向かいました。
チベットの“受難”―歴史と文化学習会
2月8日に続き、チベットの歴史と文化学習会に参加してきました。
今回の内容は、
(1)講座「チベット仏教の潮流」第2回「仏教のチベット的展開」
講師:吉水千鶴子(筑波大学人文社会科学研究科哲学・思想専攻准教授)
(2)チベット報告「受難ということ」
報告:渡辺一枝(作家)
(3)緊急報告「国境線リポート」
報告:野田雅也(フォトジャーナリスト)
(4)基調報告「Tibet2009 vol.2…チベットの政変から60年」
質疑応答:長田幸康(ライター、I love Tibet! ホームページ 主宰)
といった具合。
吉水先生の講座は、チベット王朝分裂(842年)~ゲルク派の成立(1409年)のチベット仏教史について。この時期の仏教の復興と宗派の成立、仏教の多様化について分かり易く説明していただきました。
(『チベット問題』のコンテンツにいつか追加予定である『チベットの歴史』にこのへんの内容を盛り込んでいく予定です)。
渡辺一枝さんのお話は、今回も印象深かったので締めで紹介することにします。
野田さんの「国境線リポート」は、チベットの人たちが亡命する際に通過するネパール国境を現地取材したリポート。私も通ったことのあるダム―コダリの国境の様子や凍傷で足の指や膝から下の脚を失った人たちの話や2008年3月を境に国境を越える人が激減したことなどを交えて国境を越えることの困難さを、またネパールでマオイスト政権が成立したことでネパールのチベット難民たちが危機にさらされていることやチベット人強制送還の”ビジネス”が成り立っている可能性など、亡命後もなお困難が続いている状況を話して下さりました。
そして、質疑応答やTake Actionへの参加呼び掛けなどを行った後、今回の学習会は締めくくられました。
次回は夏ごろに行われるとのことです。
最後に、渡辺一枝さんのお話の一部を要約して紹介させていただきます。
あなたの一番大切なものが蹂躙されたということを想像してみて下さい。
チベットでは各地に山や湖など、その地の産土神として崇拝されているものがあります。
それらが今、次々と壊されているのです。
チベット人にとって最も苦しいのは信仰を禁じられていることです。
仏壇を置くな、ダライ・ラマの写真を持つな・・・「~するな」は手を変え品を変え、何とかすることもできます。
しかし、
ダライ・ラマの写真を踏みなさい、破りなさい、燃やしなさい
ダライ・ラマを批判する作文を書きなさい
これを強要されたら死ぬしかない、という、やりたくないことをやらされている、ということが日常頻繁に行われているのです。
これを”受難”と言わずして何と言うのでしょうか!
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花祭り ピース・キャンドル
花祭りの時期にはまだちょっと早いのですが、神奈川県平塚で行われた「花祭り ピ-ス・キャンドル」と題したチベットイベントに参加してきました。
<スケジュール>
「もっと知りたいチベット」
「ヒマラヤを越える子どもたち」上映
チベットの歌 ソナムさん
(休憩)
法要(日本語とチベット語)+キャンドル+交流
「ヒマラヤを越える子どもたち」―何度見てもぐっとします。
ソナムさんの歌―澄んだよく通る声でチベットの歌を4曲。胸に響きました。
休憩―お茶と桜餅を頂きつつ、出席者同士で歓談。
私が飲んだお茶は・・・バター茶。
でもこれが、意外と桜餅と合いました。
法要―静かな心でチベットの安寧を祈りました。
キャンドル―キャンドルアーティストの方によるキャンドルを前に、
各自キャンドルを手にしながら全員で「真実の祷り」を斉唱。
チベットを支援する皆の心が一つになりました。
どれも良かったですが、個人的に一番得るところが大きかったのが、KIKUのMさんによる、チベットの歴史を解説する「もっと知りたいチベット」。
「チベットの歴史ならもう大体分かってるよ」と開始前は思っていたのですが、どうしてどうして。あれほど分かりやすく、よくまとまったチベット史の解説は初めてでした。
ちょうど、当サイトの「チベット問題」コンテンツで次はチベットの歴史に取り組みたいと思っていたところで、かなり多くのヒントをいただくことができました。
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ダライ・ラマ法王の長寿儀式の法要
いよいよ明日、チベット民族蜂起50周年の日を迎えます。今週は平日もチベット関連のイベントが幾つもとり行われます。
本日は、亡命政府のあるインド・ダラムサラで同様のことが行われるのに合わせ、東京・西新宿の常圓寺でダライ・ラマ法王の長寿儀式の法要が、チベットハウスの主催で行われました。
仕事があったため、18時の集合時間に30分以上遅れて到着・・・。一昨日もお会いした顔ぶれが多く見られました。
開場に入るとチベットハウス代表の方がお話をしている途中で、程なくしてチベット語による読経が始まります。
法王様はもうお年です。何としても法王がご存命の間にチベット問題の解決を、というのが皆の一致した願い。参加者は配られた資料を見ながら全員で、ダライ・ラマ法王の長寿そしてチベット問題の早期解決を願ってお経をあげました。
法王様、皆の祈りの声は届いておりますでしょうか?
皆、法王様とチベットの人たちのことを心の底から大切にお思いしています。
常圓寺では明日も18時から、「世界、同時多発法要」がチベットの平和を考える僧侶の会主催でとり行われます。
しかし、私は明日、別のイベントに参加するのでこちらには行けません・・・。
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