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雑記ブログ

チベット虐殺でスペイン裁判所が江沢民らに逮捕状

もうすいぶん前になるが、スペイン最高裁が「普遍的管轄権」を行使してチベットの虐殺・拷問の問題で中国法務部代表8人に召還を通達したというニュースを当ブログでも書き込んだ。

当時の記事→チベットの人道的侵害でスペイン最高裁が判決

「普遍的管轄権」について今一度解説すると、「犯罪の重大性に鑑みて、司法及び執行管轄権を普遍的に(つまりは国境を越えて)行使できるという権利」であり、ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪などに適用される。

あれから4年――再びスペインがやってくれた。同事件に関して、今度は全国管区裁判所が更なる大物・江沢民元国家主席や李鵬元首相に「逮捕状を出した」というのである。スペイン国籍のチベット人が所属する団体が提訴したことで、今回の裁判が行われるに至ったようだ。

ダラムサラ在住の中原一博さんのブログ「チベットNOW@ルンタ」より
江沢民など元中国指導部の5人に逮捕状 スペインジェノサイド裁判

その他の主なニュースソース

報道によると、今回逮捕状が執行されたのは、江沢民・元国家主席、李鵬・元首相、喬石・元公安局長、陳奎元・元チベット自治区書記、彭佩雲・元家族計画大臣の5人。2009年に最高裁が召還命令を出した8人(張慶黎、王楽泉、董貴山、梁光烈、耿惠昌、孟建柱、李德洙、張国華)と重複する名前は無く、今回の動きは4年前と同じ罪で4年前とは別個に更に別の人物を裁いた、ということになる。しかも今回は前回以上の大物の名前が並び、「逮捕状」というものものしいものまで出ている。ちなみに1989年のチベット虐殺の主犯と言えば、当時チベット自治区書記長だった前国家主席・胡錦濤となるが、中原氏のブログによると、彼にはまだ逮捕状こそ出ていないものの、既に起訴はされているという。

今回の判決が重要な意味を持つポイントは、

  • スペインという先進国がチベットにおける事件を「重大な犯罪」であると断定したこと
  • 中国の元国家主席が中国国外において有無を言わさず逮捕される可能性が発生した

ということである。前回のブログ記事でも書いたように、スペインは日本と司法共助条約を結んでいるので、彼らが日本に来たらインターポールによって逮捕される、ということも十分にあり得るのだ。
特に、江沢民容疑者――彼は一時死亡説も出た(日本の某新聞が誤報の死亡記事号外を出すという大醜態をさらしたりもした)が、このまま畳の上で死なせはしない。せいぜい長生きして、首を洗って待ってもらおうではないか。

当然のことながら、私は今回のスペイン裁判所の決定を全面支持する。これに追随する気骨の国が更に出ることを期待して…。

ダライ・ラマ法王、政治からの引退を提案へ

チベット民族蜂起から52年目の記念日の今日・・・

ダライ・ラマ法王がついにかねてからの決意を実行に移す運びとなった。

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ダライ・ラマ14世、「政治からの引退」を提案へ
http://www.afpbb.com/article/politics/2789776/6937518
2011年03月10日 15:14 発信地:ダラムサラ/インド

【3月10日 AFP】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世(75)は10日、インド・ダラムサラ(Dharamshala)で1959年のチベット動乱から52年の演説を行い、政治的権限を「自由な選挙で選ばれた指導者」に譲る時が来たと述べて、チベット亡命政府の政治指導者の立場から引退する意向を表明した。

 来週のチベット亡命政府議会で、引退を認める法改正を提案するという。

 ダライ・ラマ14世は、「責任を軽くしたいから権限を移譲したいのではない。チベット人の長期的な利益を考えてのことで、私の意志がくじかれたからではない」と語り、政治的立場を退いた後も「チベットの大義のための役割は果たしていく」と強調した。
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法案が通ればの話だが、実現されれば、法王様もようやく宗教的な活動に専念できる・・・
はっきり言って、法王様忙しすぎ。昨年奈良や広島を訪れた際もフラフラの状態を押して来日されている。75歳を超えたご高齢を考えれば、公務が減るのは望ましいことだ。
民主主義・政教分離という観点からもあるべき方向性だろう。法王様がトップダウンでなく「引退を認める法改正を提案」という民主主義的な手法で引退を実現させようとしている点に、法王様の「民主チベット」への強い決意を窺うことができると言えるかもしれない。

今度はチベット・ドゥクチュで地滑り災害

先日東チベットのジェクンドで地震災害がありましたが、またしても東チベットで災害が・・・。
今度はアムドのドゥクチュで地滑り災害――なぜこんなに立て続けにチベットに災難が訪れるのでしょうか。

中国甘粛省の地滑りで死者数80人、行方不明者2000人
http://www.cnn.co.jp/world/AIC201008080008.html

(CNN) 中国北部の甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で8日午前0時過ぎに発生した大規模な地滑りで、この影響による死者数が8日、少なくとも80人に増加した。この他約2000人が行方不明になっている。新華社電が伝えた。
8日の早い時点では死者65人が確認されたほか、多くの人が行方不明となっていると伝えられていた。
地滑りが起きる前日、同地域は激しい集中豪雨に見舞われていた。地滑りの影響で付近の河川がせき止められて洪水が発生し、周辺地域では水位が5分ごとに1メートル上昇した。
谷間の住民の一部は、家屋の屋根に上って救助隊を待ち、周囲の山岳地帯に避難した。政府は住民の救助活動を最優先に進められている。

まだ詳しいことは分かりませんが、取りあえず一報です。
詳細な情報が入ったらまた追記します。また、続報に気づかれた方がいらっしゃいましたらコメント欄にご記入いただけるとありがたいです。

※「甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県」は必ず「チベット・アムド地区ドゥクチュ」と読み替えて下さい。

チベット・カム地区のジェクンドで大地震

2008年のアバ大地震からほぼ2年。またしてもチベット東部で大地震が起きてしまった。
場所は、ウ・ツァン、アムド、カムのチベット3地域が接する地点の近くにあるジェクンド(ケグドゥ)。山奥ながらかなり規模の大きな街だ。


より大きな地図で チベット・カム地区ジェクンド を表示

中国西部でM7・1の地震 学校倒れ児童生き埋め(中日新聞 2010年4月14日)
http://www.chunichi.co.jp/article/world/news/CK2010041402000205.html

 【北京=朝田憲祐】中国中央テレビなどによると、中国青海省南部の玉樹チベット族自治州玉樹県で14日午前7時49分(日本時間同8時49分)、マグニチュード(M)7・1の地震が発生した。震源の深さは約33キロ。木造家屋はほとんど倒壊し、同日午前11時(日本時間正午)までに、少なくとも67人の死亡が確認された。
 死傷者はさらに増えるとみられる。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は死者が300人を超えたと報じた。一部の学校が倒壊し、小学生らが生き埋めになっているという。中国地震局は、災害救援隊を現地に派遣した。
 地元テレビ局の担当者は「地震発生と同時に、建物が激しく揺れたかと思うと、一瞬にして倒れた」と興奮気味に話し、「就寝中だった住民も少なくなく、被害はかなり大きくなるだろう」との見通しを示した。
 地元政府は、M4~6規模の余震が続く中、緊急対応指揮部を設置。軍や警察などの治安部隊が、家屋の下敷きになっている被災者の救助作業に当たっているほか、臨時の医療用テントも設けた。
 一方で、同省を管轄する蘭州軍区に出動を要請したが、現場は、チベット自治区や四川省に近い中国西部の、平均標高4000メートル以上の山間地帯で、道路条件も悪く、約800キロ離れた省都西寧からは少なくとも丸1日かかるという。このためパラシュート部隊の出動を求めている。

4月15日の段階で、死者は617人にまで増えてしまったと報道されている。

M7.1と言うと、M7.3だった阪神・淡路大震災と同等の規模である。1995年1月17日のあの日、私は震源地から170kmも離れた広島県尾道市に旅行で来ていたのだが、それでも震度4の大きな揺れに叩き起こされ、恐怖の余りに机の下に隠れて小さくなったことを今もはっきりと覚えている。今回ジェクンドを襲った地震は震度4どころではなかろうから、人々がどれ程の恐怖に陥ったか、想像するに余りある。

学校倒壊と聞くと、やはり2年前の大地震が思い出されてしまう。TVの報道によると、倒壊していない建物と倒壊した建物の差がはっきりしているという。
あの時の教訓から耐震性の強化などの措置は取られていなかったのだろうか。同じことの繰り返しが起きてしまったとすると余りにやりきれない。

どうして立て続けにこの一帯で大地震が発生するのか――どうやら原因は同じところにあるらしい。

地元で近年最大級=「08年四川」と同じプレート-青海地震(時事通信  2010年4月15日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010041500067

 【北京時事】中国地震台ネットセンターは、中国青海省玉樹チベット自治州玉樹県で14日に起きたマグニチュード(M)7.1の地震について、同じ地区で2006年7月18日に起きたM5.6の地震を上回り、地元では近年最大級の地震だと指摘した。中国新聞社電が報じた。
 同センターによると、今回の地震は四川省甘孜-玉樹-風火山を結ぶ断層で発生。この断層はバヤンカラ山脈が乗るプレートの南端を通っているが、08年5月12日の四川大地震(M8.0)も同プレートの東南端で発生したという。
 同センター予報部の劉傑主任は今回の地震について、本震の前にM4.7の前震があり、余震も続く「前震-主震-余震型」と指摘。「四川大地震と比べると余震の数は少ないかもしれないが、強い余震が起きる可能性もある」と警戒を呼び掛けている。

6万人が死亡したアバ大地震よりも死者が少ないのが不幸中の幸い――などと思ってはいけない。600人だろうと6万人だろうと、大勢の尊い命が奪われたことに変わりは無いのである。
命を落とした方々には哀悼の意を示し、生き延びたものの余震に怯えながら氷点下にもなる寒さの下苦しい生活を強いられている人々には支援の手を差し伸べたい。

しかし、支援するにしても支援先に注意が必要だ。例えば、以前のアバ大地震の時にも支援物資を中国人が横流しするなどの問題が発生している。
信頼できる団体の支援活動を以下に。

最後に・・・
必ず「中国青海省」は「チベット・カム地区」に、「玉樹」は「ジェクンド」に置き換えて読んでいただきたい。

当時の現地の写真

祝・ダライ・ラマ猊下「ラントス人権賞」受賞

訪米したダライ・ラマ14世猊下が米議会から、人権活動をたたえる「ラントス人権賞」を授与された。

オバマが猊下との面会を見送って株を下げる中、議会はよくやってくれた。

「ラントス人権賞」をキーワードに検索してみても今回のニュースがヒットするばかりで詳細はよく分からないのだが、時事通信の報道によると、「人権問題に取り組んだ故トム・ラントス元下院外交委員長にちなんで創設された」ものだということだ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009100700033

上にも書いたとおり、この件に関しては報道各社が報じているが、ここではその中で以下の記事を取り上げたい。

米議会:ダライ・ラマに「ラントス人権賞」授与
毎日新聞 2009年10月7日 18時12分
http://mainichi.jp/select/world/news/20091008k0000m030021000c.html

 【ワシントン草野和彦】米議会は6日、訪米したチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世に対し、人権活動をたたえる「ラントス人権賞」を授与した。91年以降、ダライ・ラマは訪米の際に毎回、米大統領と面会してきたが、オバマ大統領との面会は見送られる。11月のオバマ大統領の訪中後に行うことで双方が事前に合意しており、人権派の議員から「中国への配慮」との批判が出ている。

 ダライ・ラマのロディ・ギャリ特使は5日、「より広く、長期的な観点から、ダライ・ラマは11月の米中首脳会談後の面会に合意した」との声明を発表。またギブス大統領報道官は6日、「中国とより強力な関係ができれば、米国はチベットの人々に関する懸念を伝えることができるようになる」と述べた。

 一方、ペロシ下院議長(民主)は「中国の人権問題をはっきり言わなければ、米国は人権を語る道徳的権限を失う」と警告した。

最後の一行を、日本の政治家たちは噛みしめてほしい。

中国当局、チベット人にダライ・ラマ法王の写真を飾ることを強制

これ本当か? 真意がどこにあるのか掴みかねる、気味の悪いニュース。
「許可」ならダライ・ラマ猊下を信奉する人々をあぶり出す意図も見えてくるが、「強制」となると全くもって意味が分からない。

中国当局、チベット人にダライ・ラマ法王の写真を飾ることを強制

 【7月22日 ダラムサラ】ラジオのボイス・オブ・チベットによると、カンゼ地区のChogro(スペルは発音から類推)の中国政府当局が、亡命しているチベットの指導者ダライ・ラマ法王の写真を祭壇に飾るようチベットの人々に強制している。同地区のチベット人たちは当局のこうした最新の動きに驚きつつもなお疑念を抱いている。

 南インドのデプン寺ロセルリン学堂Trehor学寮の僧侶であるプルバ氏によると、Trehorの伝統的チベット地域であるChogroの信頼できる筋からこの情報を受けたという。

 プルバ氏によると、当局は、これまでのダライ・ラマ方法の写真に対する禁令は政府の命令ではなく、チベット人が中国から扇動的な分裂主義者と非難されているダライ・ラマ法王の写真を所持することを一握りの個人が制限したものだと言っている。

 プルバ氏は更に、これまでのところ自宅でダライ・ラマ法王の写真を飾っているチベット人はいない、と付け加える。

 チベットの人々は、この新たな命令に驚きつつも、アナリストたちが「飴と鞭の政策」に踊らされないよう注意している。チベット人たちは、これまでダライ・ラマ法王を放棄するように強制してきた当局が今度はチベットの指導者の写真を飾ることを頼んでいることを信じ難く受け取っている。

 幾つかのより大きな街では、当局が自分たちで引き伸ばしたダライ・ラマ法王の写真を配布すらしている。

 プルバ氏は、チベット(訳者註:チベット自治区のことか?)のチベット人はダライ・ラマ法王の写真を所持すること、おおっぴらに飾るがままにすることすら中国政府によって認められていない、としている。

 御年74歳になるチベットの指導者の写真を所持していただけで長期にわたって獄につながれたという事例もこれまで幾つも報告されてきている。

 ほんの数か月前にトンコルで当局が18袋ほどのダライ・ラマ法王の写真を焼却したばかりだ、とプルバ氏は付け加えた。

(原文 Phayulより)
Chinese authorities force Tibetans to dislay Dalai Lama’s pictures
Phayul[Wednesday, July 22, 2009 20:28]

http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=25184

Dharamsala, July 22 ? The Chinese government authorities in Chogro (spelled as pronounced) in Kardze are forcing Tibetans to display pictures of the exiled Tibetan leader the Dalai Lama on their altars, according to the Voice of Tibet radio service. The Tibetans in the region are surprised yet suspicious about the latest move by the authorities.

Phurba, a monk of Trehor Khangsten (house) of the Drepung loseling monastery in south India, said he has received the information from reliable sources in Chogro that falls in traditional Tibetan area of Trehor.

The authorities are saying that the ban on the pictures of the Dalai Lama in the past was not a government order but some individuals have restricted the Tibetans to possess pictures of the Dalai Lama whom China accuses of inciting separatism, according to Phurba.

Phurba added that no Tibetans have put the Dalai Lama’s pictures on display in their homes so far.

The Tibetans are surprised at this new order but careful not to be fooled by what analysts call the ‘carrot and stick policy’. The Tibetans find it hard to believe that the authorities who had forced them to renounce the Dalai Lama are now asking them to put the Tibetan leader’s pictures on display.

In some bigger towns the authorities have even provided their own enlarged prints of the Dalai Lama’s pictures.

Tibetans in Tibet are not allowed by the Chinese government to even possess pictures of the Dalai Lama, let alone displaying it openly, said Phurba.

Several cases of Tibetans getting lengthy jail terms for possessing pictures of the 74-year-old Tibetan leader have been reported in the past.

The authorities in Tongkhor burned around 18 sacks of Dalai Lama’s pictures just a few months ago, Phurba added.

「これまでのところ自宅でダライ・ラマ法王の写真を飾っているチベット人はいない」というのは賢明な判断。どんな目論見が裏にあるのか分かったものではない。

勝利!チベットの聖なる山が守られた!

先日のエントリーで、チベット・マルカム県のセル・グー・ロ山が鉱物採掘の危機にさらされ、地元民と治安部隊のにらみ合いが続いている、と書いたが・・・
今朝、出勤前にメールをチェックしていると、Students for a Free Tibetからメールが届いていた。

VICTORY! Tibetans Save Sacred Mountain

We are overjoyed to report that Tibetans have successfully
stopped mining operations at Ser Ngul Lo mountain!

Thank you to everyone who responded to our urgent appeal for
action last week; more than 2,800 faxes were sent to the Chinese
government. Your actions have made a difference for Tibetans in
Markham County who have been peacefully protesting for months to
save this sacred mountain. Read more:
http://www.studentsforafreetibet.org/article.php?id=2001

On Monday security forces were withdrawn from the area after an
agreement was reached between the Tibetan community and Chinese
officials. Negotiations continue over the clean up of toxic
chemicals left over from previous mining operations, which local
Tibetans believe have poisoned water sources leading to the
deaths of both people and cattle.

As we share news of this remarkable victory, we are aware that
the situation inside Tibet remains incredibly tense.

Chinese armed forces are patrolling the streets of Tibetan towns
and villages, and we hear of harsh prison sentences, arrests,
and beatings almost daily. And yet, by barring foreign
journalists and closely monitoring phone and internet
communications, the Chinese government has effectively stopped
news and images of its ongoing military crackdown from reaching
the outside world.

最初の一行を読んで、踊り上らんばかりの喜びが込み上げた。

以下、翻訳。

勝利! チベットの人々が聖なる山を守った。
私たちは、チベットの人々がセル・グー・ロ山での採掘行為を中止させることに成功したことを、大いなる喜びをもってここに報告する。

まずは、アクションを起こすことを求めて先週私たちが提示した緊急アピールに応えてくれた皆さんにお礼を言いたい。2800以上のFAXが中国政府に送られた。皆さんのアクションは、この聖なる山を守るために平和的な抵抗を何か月も続けてきたチベットの人々にとって大きなプラスとなった。詳細は以下。
http://www.studentsforafreetibet.org/article.php?id=2001

月曜、チベット人コミュニティと中国当局との間で合意に達した後、治安部隊は当エリアから引き揚げられた。交渉は、先の採掘行為から残留した、人も家畜も死に至らしめると地元民が強く考えている有毒化学物質が浄化されるまで続く。

この注目すべき勝利のニュースを共有すると同時に、私たちはチベット本土の状況が今でも信じられないほど緊迫していることを忘れてはならない。

中国の軍隊はチベットの町や村の通りをパトロールしており、過酷な懲役刑、逮捕、殴打といったことがほとんど毎日耳に届いてくる。そして、外国人ジャーナリストをシャットアウトし、電話やインターネットでのコミュニケーションを注意深く監視することで、中国政府は軍事力による取り締まりのニュースとイメージが外界に届くのを効果的に阻止しているのだ。

以下、別件が続くが、それはまた別の機会ということにして・・・

やったあ!!
非暴力闘争の勝利!!

チベット人、そしてチベットサポーターにとって、これは勇気づけられるニュースである。

しかし、上に書いた内容の最後の部分・・・
そう。このニュースは辛うじてSFTには届いたものの、中国政府によって伝達が阻まれている可能性が高いのである。
現地のチベットの人々を勇気づけるであろうこのニュースが彼らに伝わらないかもしれないのかと考えると、それが残念でならない。

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薬物依存のチベットの若者支える人

こんなことをやっている人もいるんだ、という感想と同時に、こういう問題も起きているんだ、という悲しみを禁じ得ないニュースがあった。

ひと:ミシル千世美さん 薬物依存のチベットの若者支える
http://mainichi.jp/select/opinion/hito/news/20090518k0000m070096000c.html

 「異国で自分を見失った若者に寄り添いたい」。6000人以上のチベット難民が暮らすインド北部のダラムサラで、薬物依存に陥る難民を支援するNGO「ツァンオ」(チベット語で「川」)を05年に結成した。チベット民族衣装の店を経営し、売上金で依存症の若者が暮らす施設を運営する。これまで約80人から相談を受け、15人を受け入れた。施設には24時間スタッフが常駐。酒、たばこ、単独の外出は禁止。若者たちの話に耳を傾け、共に料理や掃除をし、日常生活の中で自立へと導く。

 25歳の時、祖母をがんで亡くした。死について考え始め、西欧へ放浪の旅に出た。29歳で初めて教会に行き、「私があなた方を休ませてあげます」という聖書の言葉に、すべてを受け止めてもらえる気がして、肩の荷が下りた。

 01年、教会の活動を通して出会ったインド人のNGO職員(35)と結婚し移住。西欧の援助で建てられた若者の支援センターが、薬物入手の場所になっていることにショックを受け、活動を始めた。

 設立後間もなく駆け込んできた男性は、亡命政府発行の難民証明書まで薬物と交換していた。親身に話を聞くうち、若者が次々と相談に訪れるようになった。さまよう人たちの姿は異国を放浪していた昔の自分に重なる。「人生はいつでもやり直しができるということを伝え続けたい」。今日も若者がドアをノックするのを待ち続ける。【黒岩揺光】

 【略歴】ミシル千世美(みしる・ちよみ)さん。広島県尾道市出身。夫キンサイさんと2人暮らし。NGOのホームページはhttp://tsangwo.org。45歳。

毎日新聞 2009年5月18日 0時21分

記事の中で紹介されていたNGO「ツァンオ」のサイトを覗いてみた。上記の記事を読むと薬物依存の若者に特化したような印象を受けてしまうが、実際にはドラッグのほかにもアルコール依存症、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、HIVなどその他の悪癖・病に悩む人々も受け入れているようである。

こういう支援の仕方もあるのだな――先日の「チベット支援」をテーマとしたシンポジウムを拝聴して以来、どのような形のチベットサポートがあり得るだろうかと考えるようになったところなので、少しばかり感銘のようなものも受けた。

しかし、この記事を読んで真っ先に感じたのは、やはり「悲しさ」だった。
「チベット人のドラッグ問題」――恥ずかしながら殆ど聞いたことのなかった問題だったが、この記事を読む限りでもかなり深刻である。

西欧の援助で建てられた若者の支援センターが、薬物入手の場所になっている
設立後間もなく駆け込んできた男性は、亡命政府発行の難民証明書まで薬物と交換していた

本当なのか?

祖国を奪われ、抑圧され、厳しい生活を強いられ、祖国を離れることすら余儀なくされている人々である。私たちには想像もよらないストレスを抱えているということはよく理解できる。
しかし、亡命政府発行の難民証明書(ダライ・ラマ法王から直接手渡されたものかもしれない可能性すらある)を手放してまで、というのが信じられなかった。
日本でも薬物依存症やギャンブル依存症のために無理矢理金をつくるという話は聞くが、自由を求めて命がけでヒマラヤを越えて、やっとのことで手にした難民証明書を手放してでも、となると「想像もよらない」ストレスではもはや通用しない。

ここまでのストレスを抱えた人々の心のケアとなると、一筋縄ではいかないだろう。こんな大変なことを異国の地で何年も続けているミシル千世美さんには幾ら敬意を表しても足りない。”ダラムサラのマザー・テレサ”と呼ばせていただきたいほどだ。

 

それにしても、彼らにこれ程のストレスを植え付けた張本人たちに憤りを禁じ得ない。
思わず、こんな邪推が頭をよぎった。

まさか、チベット人を廃人にするために当局主導でチベット人に薬物を投与して彼らを薬物依存症にしてはいないだろうな??
――すみません。あくまで”邪推”です。(今のところそういう証言には接したことが無いので、全くの想像でしかない。やりかねない気はするが)

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ダライ・ラマ猊下 南ア入りへ一歩前進

以前、ダライ・ラマ猊下が南アフリカからビザの発給を拒否されたというニュースをお知らせしたが、それに関して朗報が入った。
南アで新たに指名された外務大臣が猊下に対するビザ発給に積極姿勢を見せたのだ。

以下、BBCが報じたニュースの翻訳。

南ア ダライ・ラマに関する方針を転換(BBC)

http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/8051435.stm
Page last updated at 08:06 GMT, Friday, 15 May 2009 09:06 UK

南アフリカ政府は、ダライ・ラマへのビザ発給を拒否するという3月の決定を転換した。
Maite Nkoana-Mashabane新国際関係省大臣は、チベットの精神的リーダーは今やいつでも好きな時に訪れることができる、と述べた。
政府は、2010年のサッカーワールドカップと関連した平和会議へのダライ・ラマの参加を認めなかった際、国際的な抗議を浴びた。
批評家たちは、南アフリカは中国に屈した、と批判した。
ビザ発給拒否は、ツツ大司教やFWデクラーク元大統領らがノーベル賞受賞者会議をボイコットし、会議主催者に実施を無期限延期させることにつながった。
当時の熱狂にもかかわらず、政府スポークスマンThabo Masebeは「現在から(南アで行われる)ワールドカップの期間中」ビザは発給されない、と述べた。政府は、ダライ・ラマの出席は南アで初めて開催されるワールドカップへの注目がそらされることに繋がる、としていた。
しかし、今週ヤコブ・ズマ内閣の閣僚に指名されたNkoana-Mashabane女史は見解を明らかにしたいと述べた。
彼女は「ダライ・ラマはわが国を訪れたいと思っている世界中の市民の誰よりも自由である」と報道陣に述べた。
北京中国政府は、ダライ・ラマがチベットの独立を後押しし、チベットでの暴力行為を煽っている、と言っている。
しかし、1959年に中国の支配に対する騒乱の中インドへ亡命したダライ・ラマは、祖国の自治のみを求める、とおっしゃっている。

まだ外務大臣の個人的見解の段階だが、大きな前進と言っていいだろう。
猊下の出席しない平和会議など何の意味もない。
もう一歩。何としても完全実現させていただきたい。

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チベットの人道的侵害でスペイン最高裁が判決

「普遍的管轄権」という言葉をご存じだろうか。私はつい最近になって初めて知った。

国際法によれば、国家は、国際法上の犯罪の加害者を訴追することが可能であり、場合によってはそれを要求されている。この管轄権は、どこで、いつ犯罪が起きたかに関わらず、また被疑者あるいは被害者の国籍に関わらず、また、法廷が設置されている国に何か特別な関係、例えば当該国家の安全保障など、があるかどうかに関係なく存在する。
普遍的管轄権は、国際法上もっとも重大な犯罪として、ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪、拷問、超法規的処刑および「失踪」に適用される。国内法の犯罪である、殺人、誘拐、暗殺および強かんなどにも同様に適用される。

(アムネスティの資料より)

これまでに、ピノチェト事件(後述)で普遍的管轄権によってチリのピノチェト元大統領がスペインでの判決に基づきイギリスで逮捕された例や、グァテマラの虐殺や拷問に対しスペイン憲法裁判所が普遍的管轄権を認めた例があり、日本でも日本の法輪功愛好者が中国大使館と江沢民・前中国国家主席らに対し集団虐殺罪と名誉棄損で損害賠償を求めて大阪地裁に訴えたことがあった(これは却下された)。

先日、ロンドン在住の日本人チベットサポーターのWさんから興味深い情報が流れてきた。
またもスペインで、チベットの虐殺・拷問の問題で最高裁が中国法務部代表8人に判決を通達したというのである。(これが、私が『普遍的管轄権』という言葉を初めて知ったきっかけだった)

以下、WさんからTSNJメーリングリスト経由で送られてきた内容を引用。

スペイン最高裁の裁判官はチベット自治区党,張慶黎書記長を含む、中国法務部代表8人に最高裁決定を通達した。決定は2008年3月以降続いているチベット人に対する厳しい取り締まりに関し、チベットの人々に対する犯罪についての調査を懸案事項に含む。
裁判官は中国外務省に対して、もしスペイン国内の裁判所での被告人に対する質問が拒否された場合には、中国国内で行われることができるよう許可の申請をした。
Santiago Pedraz裁判官はまた、チベット内の刑務所と抗議行動の起こった主要地を視察する許可を申請し、インド政府にもダライラマと亡命政府の拠点であるダラムサラでチベット人目撃者に証言をとる許可も申請。

この訴訟は現在スペイン最高裁判所で” 普遍的管轄権” に基づき現在進行中の2つのチベットに関する訴訟のうちの一つで、これによって最高裁はテロや戦争犯罪、拷問の関連が認められた場合には国境を越えてアクセスが可能になる。

特に昨年の武力鎮圧を含む、2006年以降に関するこの訴訟はTibet Support Committee of Spain (CAT) と Fundacion Casa Del Tibet, Barcelona(バルセロナ、チベットハウスファンデーション)から起こされ北京オリンピックの開幕わずか数日前に、裁判所に受理された。

Judge Pedraz裁判官は中国当局に、 AFP通信社 (May 5, 2009)によって指摘され提出された、今訴訟に関する裁判の参考書類によると、2005年に中国はスペインと二国間の司法協力協定に署名したことについて指摘し”私たちのそれぞれの二国間の友好関係を考え,私の要求に対して良い回答をしてくれることを望む”と書面で発表。

裁判官はさらに、これらの告訴内容が実証されれば、人道侵害の罪でスペイン法と国際法の両方で裁かれることになると発言。

”チベット住民は政治的、民族的、文化的、宗教的、国際法のしたで世界的に認められないとされているその他の動機などによって迫害されてるグループのように見えるだろう”と同氏は、書いたとAFP通信の報道。

裁判所によって公表された判決内容では Pedraz裁判官は”現在訴訟手続きの経過で調査中である、チベットの人々に対する人道侵害の犯罪の関与”について” 中国の指導者を質問することの必要性を強調.
また同様の書面の中で訴訟に関する書類のコピーが同封されている事にふれて”スペインの刑事法
と刑法775に乗っ取って弁護する権利を行使するためには、
もし被告人がこの(スペインの)最高裁でそうするのを拒否した際には、中国国内にて中国法務部から中国への被告人質問を行う司法許可を得るため、
スペイン国内で連絡が可能な指定されたアドレスをもつことが必要です。”と
ある。

起訴状によると8名の中国当局関係者、被告人の中には以下の3名も含まれている。

●- チベット自治州チベット自治省の共産党書記Zhang Qingli(張慶黎)
ダライラマに対する悪意に満ちた声明や、チベットにおける愛国教育のキャンペーンなどで知られ、チベットにおいて反感や不安を招いたとされる。

●- 新疆自治区ウイグル自治区トップの共産党委員会書記、
ウイグルの人々に対して、一連の強硬政策の指揮をとった
中国共産党中央政治局Wang Lequan(王楽泉)

●- 前中国少数民族?外交流教会会長、チベットを含む中国の西部地域全体の経済政策の指導計画の実施にしていた Li Dezhu(李匇洙)

今回の訴訟の指揮を執ったのは、
Jose Elias Esteve Moltoバレンシア大学国際法学科教授と、Alan Cantos のSpanish Tibet Support Committee(スペインチベット支援委員会)で海洋学の研究者は、今回の訴訟についてこう語った。

「我々は国際法を用いてチベットの人々に正義を求めると同時に、中国政府指導者に対してはっきりと責任をとうことの出来る方法を調査しました。現段階ではまだわかりませんが、起訴された中国指導者らの証言要求に従うことが彼等によって拒否された場合には、スペインと犯罪者引渡条約を結ぶ国の国内で、彼等を逮捕することができます。これはインターポール(国際刑事警察機構)による規約であり、個々の政府によるものとは関係なく施行されるものです。

ICT広報担当官で今回の裁判にも、スペインに出向いて証言資料等の提出をしたケイト サンダーズの語る所では、

スペインにはチリの独裁者ピノシェ(ピノチェト)逮捕を可能にした裁判官Baltasar Garzonなど参加する『Group of Progressive Persecuters』という司法家の団体があります。

裁判官Baltasar Garzonはピノシェの” 普遍的管轄権” の行使を可能にしたパイオニアで、1998年にインターポールを通した国際逮捕状の発布により、治療目的でロンドンを訪れたピノシェを逮捕に至リました。この件に関してはアムネスティとメディカルファンデーションがピノシェのスペイン最高裁出頭に対して、かなり運動をしましたね。

今回のチベットに関する裁判を担当しているSantiago Pedraz裁判官も、その『Group of Progressive Persecuters』のメンバーの一人で、今回の訴訟の指揮を執った、Jose Elias Esteve Moltoバレンシア大学国際法学科教授と、Alan Cantos の二人は自国の法の枠を越えて普遍的な人道に関する罪を” 普遍的管轄権” の行使によって可能にすることこそが、ダライラマの説く「中道」アプローチだと共感し、10年の歳月をかけて訴訟を起こしました。

現在スペインではチベットに関する2つの個別の訴訟が起こされています。
一つが、この記事に関する去年3月動乱以降に関するもの。
と、もう一つは過去50年にさかのぼって、チベットにおける中国の「人道に関する罪」を問うものです。(労働改造所への強制収容、漢族との通婚の強制などを含む)
なお、2006年9月30日に起きたナンパラ峠での少年・尼僧射殺事件についても、現在準備中だそうです。

この国際法によるアプローチの優位性は、国際法というインターポールを通した刑の行使によって個々の国の法律を乗り越えことを可能にする点です。
ロンドンでピノシェを逮捕可能にしたように、スペインと犯罪者引渡条約を結ぶ国の国内で、起訴された8人の中国人被告人を逮捕することも可能になります。

これに触発されて、様々な国で現在話し合いが始められているようです。

日本でもどのような運動の可能性があるかなど、模索してみたいですね。

日本がスペインとどのような司法協定をもっているか、今回のスペイン最高裁決定に関して、今後どのような運動することが可能かなどについて、日本の司法家でご協力、アドバイスをいただける方、是非とも、ご連絡下さい。

スペインは日本と司法共助条約を結んでいる(参照:外務省公式サイト『スペイン王国』)。その内容によっては上述の被告の身柄を日本からスペインに引き渡すことも可能な訳だ。
「インターポール(国際刑事警察機構)による規約であり、個々の政府によるものとは関係なく施行されるものです」ということだから、つまり、中国の顔色ばかり窺っている腰ぬけ日本政府がどう思おうとインターポールの権限によって施行できるということである。

いずれにせよ、今後の動きに注目。面白いことになるかもしれない。

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