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雑記ブログ

不当判決を許すな!―2008年3月の騒乱でチベット人4人に死刑

見せしめが行われようとしています。

チベット:ラサ暴動 4人に死刑--地裁判決
http://mainichi.jp/select/world/news/20090409dde007030024000c.html

 【北京・浦松丈二】新華社通信によると、チベット自治区ラサの中級人民法院(地裁)は8日、08年3月のラサ暴動で放火などの罪で起訴されていた被告4人に死刑、別の被告1人に無期懲役の判決を言い渡した。ラサ暴動裁判で死刑判決が言い渡されたのは初めて。

 判決によると、被告5人は3件の放火事件を起こし、店の経営者ら7人を死亡させたとされた。死刑判決を受けた4人のうち2人には2年の執行猶予が付けられた。猶予中に再犯などがなければ、無期懲役に減刑される。

 自治区当局者によると、ラサ暴動では市民18人と警官1人が死亡。2月までに暴動に関与したとして約950人が拘束され、76人に有罪判決が出されていた。

※上記記事の「猶予中に再犯などがなければ、無期懲役に減刑される」の部分だが、どこかで「無期」ではなく「終身刑」になると書かれていたのを読んだ。

 

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<4月10日追記>
日本の報道は上記のように中共お抱えプロパガンダ垂れ流し機関の言うことを垂れ流す記事ばかりですが、下記のような報道も。死亡者の人数が違うことが一点と、チベット側の立場も書かれていることが一点です。

http://www.guardian.co.uk/world/2009/apr/09/four-tibetans-sentenced-to-death
イギリス ガーディアン紙 北京特派員 Jonathan Watts

中国営放送によると昨年のラサの動乱の際に甚大な被害をもたらした放火犯4人に死刑を言い渡した。
この死刑判決はラサ市中級人民法院が宣告したもので、2002年以降この地域では初めて。

亡命チベット団体はこの判決を政治的な意図のもとに、作為された不当な判決であるとして、抗議。

新華社によれば、ロプサン・ギャルツェンはラサの二つの衣料店を3月14日に放火し商店主を殺害したとして死刑。
ロヤックはディジェン地区の自転車屋に放火し、店主とその妻、息子、二人の従業員を殺害した罪により死刑。
その他、大変危険な放火を自白したという、二人のチベット人テンジン・プンツォックとカンチュックには二年の執行猶予付き死刑。
もう一人の被告は、審議中だという。

新華社には、法廷のスポークスマンによる発表として以下のようなコメントが載せられている。
”これら3件の放火が3月14日暴動の犯罪の中で、もっとも最悪な結果を招くことになった”とし、”これらのの犯罪が多くの人命と不動産を失う結果を招
き、公共の風紀や安全と安定を乱した”

フリーチベットはこれらの判決を、被告は当然の権利である司法上の防衛手段が全く与えられなかったとして、真っ向から攻撃

”本日発表の死刑宣告の報告は、チベット人が最低限の司法上の権利すらも与えられず判決に至る、昨年より引き続き報告されている裁判のプロセスで、中国
の政治的な意図は明らか”とフリーチベット広報官マット ウィタケース。

”各国政府は自国の北京総領事を通して、中国人民法院への即時介入と、同時に国際メディアの即時入国(チベット)を要求するべきである。”

なお、中国国営放送は裁判は一般に公開され、被告側は弁護士がついていたとしているが、外国人記者のチベット立ち入りが非常に規正されているため,確か
める手段は皆無である。

<4月10日追記、ここまで>
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「地裁判決」ということで、控訴はできないものか――と、文明国の人の感覚でつい考えてしまうかもしれませんが、敵は正式な手続きを経ずに逮捕ということを平気でやる連中です。今回の裁判もどれほど正当な手続きを経て行われたものだか。不当判決を言い渡されたチベット人たちにも、きちんと弁護人がつけられていたか怪しいものです(形だけはついていたかもしれないが)。

国民のためではなく中共のための政治しか行われないかの国で、国家、というよりは中共に楯突く形になってしまった彼らの前途はかなり絶望的です。
しかし、だからと言ってこのまま黙っている訳には行きません。死刑を阻止しましょう!

Take Action !
ロンドン在住の日本人チベットサポーターWさんより、オンライン署名の情報をいただきました。
http://actionnetwork.org/campaign/stoptheexecutions/
英語ページですが、内容をごく簡単に言えば、死刑執行を中止するよう中国政府に要請する手紙をオンラインで送付するものです。
ページ右側の入力フォームにEメールアドレス、名前、苗字、住所(国、市、町名まででもOK)、郵便番号等を入力してボタンをクリックすれば、ページ左下に表示されているメッセージに名前と住所を添えて送付される、という仕組みです。

また、以下の文章をFAXにて関係当局に送付する行動についても協力が要請されています。

<日本語>
中国のチベット人への死刑宣告に関して

 中国政府が4人のチベット人に死刑を宣告したことを聞いて、私は大変な憤りを感じています。
 私は、猶予なしの死刑判決を受けた洛桑堅才(Lobsang Gyaltsen) と落牙 (Loyak) について、即時の執行停止と各事件に関する独自の再調査とを求めます。
 同時に、死刑まで2年間の猶予が与えられた旦増平措 (Tenzin Phuntsok) と剛組 (Kangtsuk)、終身刑を言い渡された達瓦桑布(Dawa Sangpo) について、処遇を深く憂慮しています。
 彼らの基本的人権は否定されました。また裁判は、国際的な判例に沿ったものでは
ありませんでした。
 昨年のラサでの騒乱に対して中国政府は極端な暴力で応じました。
 これらの判決も政府の方針に異議を唱えるチベット人へのあからさまな脅迫です。
 中国政府がいますぐ執行を停止し、この不当判決を撤回するよう、私は求めます。
 私は日本政府代表にこのことを知らせ、断固とした処置を取るよう、日本政府に求めます。

※このアクションは終了しました。

不当な死刑を断固として阻止しましょう!

チベット・アムド地区ゴロクでの騒乱

ついに衝突が起きてしまった・・・

チベットのアムド地区ゴロク(中国共産党が”青海省果洛”と称している街)でチベット人と中国共産党当局の間で大規模な衝突が起きたようである。

日本の各種メディアの報道を総合すると大体以下の通り。

新華社通信によると、ゴロクチベット族自治州で21日、僧侶約百人を含む数百人が地元の警察署と政府庁舎を襲撃、政府職員数人が軽傷を負った。
警察当局は22日、暴動に参加した6人を逮捕、ほかに89人が自首/出頭し「秩序は回復された」としている。

新華社電によると、当局者は今回の暴動について「チベット独立を支持した疑いで取り調べ中の男が警察署を脱走、行方不明になったとのうわさが広まり、騒動に発展した」と説明。

チベット亡命政府によると、警察署周辺には約4000人(Phayulによれば2000人)が集結し、「チベット独立」などと叫んだ。
また亡命政府は(中国当局が『チベット独立を支持した疑いで取り調べ中の男が警察署を脱走、行方不明になったとのうわさ』について)「チベット旗の所持などで捜査中の若い僧侶が川に飛び込み、自殺を図った」と発表した。

要約を2つに分けたのは、既にお気づきだろうが、中国共産党御用通信社・新華社の言い分とチベット亡命政府の発表に分けたものである。

前半に纏めた部分だが、中国共産党にとって都合の悪いことは隠蔽・捏造・歪曲を当たり前のように行う不公正な通信社の記事を垂れ流しているだけである。
憶測の域を脱しないが、

 抗議行動(デモ) → 襲撃
 銃をつきつけられてホールドアップした → 自首/出頭

このくらいの捏造、やりかねない。
(ちなみに、各メディアが『自首/出頭』と報道する中、ロイター日本語版だけがかぎ括弧つきで『降伏』と報じている。まだこの方が真実に近いと思われる)

また、抗議行動を行った人数の差も大きい。
数百人中の95人と数千人中の95人とでは、意味合いが違ってくる。しょっぴいた人数が全体の2.5%程度だとすると「秩序は回復された」どころか相当火種が残っていることになるだろう。
新華社の報道には、事件の矮小化の意図がありはしないか。

あと「政府職員数人が軽傷を負った」とあるが、一方のチベット人側に負傷者が出なかったのかについて全く触れられていない。”衝突”が発生しながら全くいなかったとはまさか考えにくい。チベット人が何人怪我をしようが死のうが知ったことではない、当局側の人間が負傷したことが重要なのだ、ということか?

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NHK BS-1 「きょうの世界」特集 チベット 暴動から1年

NHK BS-1 「きょうの世界」でチベットの特集が組まれました。
(以下、青字字下げは放送の内容。黒字は私の所感もしくは注釈)

テーマは、「”暴動”の街はいま」。

冒頭で述べられた要点は、

というものでした。

 

まず映し出されたのは、”甘粛省”サンチュ(中国名夏河)。
ラプラン寺で有名な観光の街はその華やかさを失い、重苦しい雰囲気に包まれていました。

 

次に”四川省”カンゼ。
チベット暦大晦日の街は閑散としていて、正月気分は皆無。伝わってくるのは緊張感ばかりです。

 

油井記者によると

「いつ暴動を起こしてもおかしくない」と考えているのなら、その理由を謙虚に考えて、不満を解消する方向にもっていくべきである。それをせずに力で抑え込もうとするなど、独裁国家のやり方に他ならない。

 

次に、中国の見苦しいプロパガンダ攻勢に関するレポートです。

(北京での”チベット解放”50年展覧会の映像)

(映画『チベットの今と昔』の映像。”昔”の様子として悲惨な様子を映し出していたが、私には全てが『チベットの今』であるように感じられてならなかった)

全く差は大きい。チベット仏教を信仰しながら平和に暮らしていたのが、経済発展の美名の下で抑圧・弾圧の地獄に引きずりこまれたのだから。

(中央テレビの、チベット暦正月の祝いの様子を伝えるプロパガンダ映像)

 

再び、油井記者との中継。

 

 

以上。

NHKらしい、抑制のきいた公平な特集でした。
チベット人の本音と中国政府のプロパガンダのギャップが浮き彫りになる内容だったかと思います。
油井さんの「チベットの人たち」という言い方にも、チベット人に対する思いやりが感じられました。
欲を言えば、「経済成長ばかりを強調する」ことの何が問題なのか、経済成長の裏で行われていることなどをもう少し突っ込んでくれたら言うことなかったのですが、限られた時間の中での特集なので、仕方がないかもしれませんね・・・。

特に、危険を冒しながらダライ・ラマ法王の写真を掲げている寺院の様子に、胸が痛くなりました。チベット人の法王への信頼・敬意、信仰の強さ、意志の強さが窺えた思いです。

<追記>
youtubeにアップされましたので、以下に貼っておきます。

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チベット暦新年の新聞記事から

昨日はチベット暦の新年だった。チベットが平穏であることにしたい中国共産党当局は支配下にいるチベット人に新年を祝うことを強要しようとしていたが、外敵による民族的虐待・虐殺を受けてまだ1年たたないのだ。仏教徒としては”喪に服す”のが当然の行為となる。

本日の東京新聞朝刊国際面では、
「チベット旧正月 祭り自粛
抗議込め 読経響く
まもなく騒動1年 武装警官が巡回」

と題して大きな扱いがされていた。

【黄南チベット族自治州(中国青海省)=小坂井文彦】チベットの旧正月を迎えた二十五日、昨年三月のチベット騒動の犠牲者に対する哀悼と、中国当局への抗議を込めた僧侶たちの読経が各寺院に響いた。例年行われる競馬などの祭りを自粛し、静かな新年の始まり。街では暴動を警戒して、新年には不釣り合いな武装警官隊が巡回を続けていた。

同日早朝、青海省都の西寧市からチベット人居住区に向かう途中、出会ったチベット人男性(32)が携帯電話を差し出した。チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ十四世の所蔵写真を見せる。

昨年の騒動弾圧以降、ダライ・ラマの写真を所蔵するだけで公安当局による拘束の理由となるが、「信仰は絶対だ」と話す。中国当局によるダライ・ラマを批判する教育にも、僧侶は「信仰がいけないのか。国連は何と言っているのか」と訴えた。

午前八時半、青海省海東地区のシャチュン寺で読経開始の太鼓が鳴った。僧侶たちが経堂に集まる。近くの村人たちは、経堂の脇で祈りをささげた。今年は「喪に服す」ため、新年のごちそうも、服の新調も控えた。

経堂の外では、警官約百人がにらみを利かせていた。約一週間前から毎日、警官が巡回に来ている。
(以下略)

中国共産党当局がラサの様子を隠ぺいする現在、”チベット自治区”からのレポートはかなわない。しかし、黄南とて立派なチベットである。

静かに喪に服す中、警官が巡回――緊張感の伝わってくる記事である。また、記事中のチベット人男性の言葉からは、チベット人としての強いアイデンティティ、強い信仰心、中国共産党当局に対する強い憤りが伝わってくる。彼の言葉は、チベット人の意思を代表するものであると断言していい。

一方、その記事の左側には、脅しによるのか洗脳によるのかは不明だが、チベット人としてのアイデンティティを失ってしまったかのようなチベット人学者の言葉が掲載されていた。

「中国、統治を正当化 チベット族学者通し」

【北京=平岩勇司】チベット暦の正月にあたる二十五日、中国チベット学研究センター研究員のルオロンジャンドィ氏(46)は北京で記者会見を開き「中央政府の政策でチベット族の生活は向上した」と強調した。チベット族学者の発言を通じて当局のチベット統治を正当化する狙いだ。

チベット族の間で正月を祝わない動きがあることについて同氏は、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世などの「外部勢力が扇動した。個人の意思を政治利用してはいけない」と主張した。

また、チベット族がダライ・ラマの写真を持つだけで拘束される現状をドイツ人記者がただすと、「ドイツでヒトラーの宣伝ができないのと同じで、ダライを公共の場で宣伝してはならない」と言い切った。

文脈としては、中国共産党当局がチベット人に真実と異なることを言わせてそれを公表するというプロパガンダを行ったということだが、チベット人にそれを言わせるという点が重大であり、中国共産党当局の狡猾なところである。
そして、この記事にはもうひとつ、見出しには表れていない、重大な内容を含んでいる。
こともあろうに、ダライ・ラマ法王をヒトラーに比している点である。

一体、法王がいつ他民族を迫害・虐殺し、他国を軍事力で支配し、プロパガンダで国民を扇動したというのだろうか。

他民族を迫害・虐殺し、他国を軍事力で支配し、プロパガンダで国民を扇動したヒトラーに比して宣伝を許さないということであれば、この世で最も宣伝が許されないのは毛沢東であるということになる。

<追記>
朝日新聞と読売新聞にもチベット正月の様子を報道する記事が掲載されていた。

読売新聞は小さな囲み記事だけだったが、朝日新聞は国際2面のトップで
「チベット 追悼一色
旧正月、人影まばら
自治州、警察が監視」

という見出しで大きく報じており、中国支配下の地域のほか、ダラムサラの様子も記されていた。

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The International Campaign for Tibet 拷問禁止委員会提出資料

一昨日、政治犯として31年間拘束され、拷問・虐待を受けたチベット人パルデン・ギャツォさんの著書のレビューを書きました。
同書で描かれたのは獄中の様子のみでしたが、チベットの至る所で人権侵害が行われている実態を伝えるドキュメントがネット上に公開されました。

The International Campaign for Tibet 拷問禁止委員会提出資料

http://www27.atwiki.jp/ictreport/

2008年11月3~21日の日程で行われた国連拷問禁止委員会の第41回審議に提出された報告書を約1か月かけて大勢の人々の手で日本語訳したものです。
パルデンさんが著書で書いているように、抑圧者は自らの抑圧を隠そうとするものですが、今回の審議では、侵略国のこうした不誠実な態度が問題視されたようです。

報告書では、過度の強制行為、勾留中の処置と拷問の使用、監禁と拷問、精神的・心理的な虐待、反ダライ・ラマ政策の実施と弾圧を原因とする自殺、治療の拒否、報復的実力行使と強制連行(失踪)問題、刑事免責と法的代理人を得る権利の拒否――について言及されています。
チベットの人権侵害の場は、何も獄中だけではありません。市中で人が銃殺され、僧院でダライ・ラマを公に非難するよう強いられるという嫌がらせが行われ、病院で治療を拒否するなどのことが日常的に行われているのです。

文中で、こうした行為を「文化大革命当時の暴挙を彷彿とさせ」と表現しています。また、3月14日(2008年のチベット大弾圧の日)以降のラサに於いてほとんどのチベット人の家庭で誰かしらが失踪している事態を「第二次文化大革命」と評する証言者の声も書かれていますが、この評価は違うと思います。チベットでは50年の間がずっと文革状態にあるのです

17年前に釈放されたパルデンさんが著書で描いた地獄絵図が現在に至っても何ら変わっていないことが、この報告書でよく分かります。

太古の昔でもなく別の星でもありません。人権が重視される現代のこの地球において、こうした蛮行は続けられているのです。

ダライ・ラマ法王来日

日本にいらっしゃいました! 偉大なる仏教者であり、平和の象徴であり、チベット国の指導者であるダライ・ラマ14世が!

手術をしたばかりのためか少々やつれて見えますが、慈悲深い笑顔は健在です!

法王は11月4日に北九州で、11月6日には東京で講演を行います。東京での講演には、会社の皆さんの了承を得て私も駆けつけます!
多分、仏教の法話が中心で政治的な話は無いでしょう。

一方、中国では…

「ダライ・ラマ特使と中国が対話  自治など原則論で対立」(共同通信)

記事には
これまでの対話でチベット自治区の「高度な自治」を求めるダライ・ラマ側と、拒否する中国側とは原則論でまったくかみ合わず、今回の対話でも歩み寄る可能性はほとんどない
とありますが、歩み寄る可能性はゼロでしょう。カルト教団[*]相手にまともな会話が成立した試しはありません。先日書いたように、法王は中国との対話を放棄することを示唆し始めています。高い確率で、これが最後の対話となるでしょう。

とすると、チベットの真の自治を目指す拠り所は国際世論の圧力しかない訳ですが――相手はそれすら無視するカルト教団。一筋縄ではいきません。

*カルト教団・・・言うまでも無く、モウタクトウを始祖とする中国共産党のことです。

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