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「聖地チベット展」を参観して(2)

さて、「聖地チベット展」は冒頭のあいさつからいきなりツッコミどころ満載だった。
いよいよ展示を拝見――と、その前に、あいさつの横に並べて貼られていた写真について触れることにしよう。

それらの写真はチベット文化に関するものだったが、2枚目が「聖地チベット展」にも出品物を多く出している、ラサにあるチベット博物館のものだった。今回の私も2007年に訪れている博物館だったが、当時は「チベットと中国の歴史が『不可分』であるという立場を示しており、不愉快極まりないが、それを除けば非常に秀逸な博物館だった」という印象を受けたものだ。しかし今では、「略奪品の殿堂」という評価である。

また、写真の中にはラサのジョカン寺のご本尊である釈迦牟尼像の写真が2枚あった。
「この写真覚えておいて下さいね」
私は同行者にそう言った。

さあ、いよいよ仏様たちとご対面だ。
但し、これらの仏様たちは1950年に始まる中国共産党の侵略の中で破壊された寺院から持ち出された、いわば略奪品なのである。
そして、一番問題なのは――この展覧会を見た複数のチベットの方たちが口を揃えて言っていることなのだが――これらの仏様が信仰の対象としてではなく、鑑賞して楽しむ芸術品としてしか扱われていないことだった。
「さっき写真で見た仏像は、服を着せてもらっていることが(僅かながら)分かりましたよね。それが、本来のチベット仏教での仏像の扱われ方なのですが、ここに展示されている仏像は丸裸でしょう? 信仰の対象として敬意が払われていません」
いやしくも宗教を扱う展覧会なら、神仏に対する敬意が払われてしかるべきだ。しかしここにはそれが無い。


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