バス憧れの大地へ

雑記ブログ

映画『ラサへの歩き方~祈りの2400km』

チベット東部からラサ、カイラスに至る巡礼の様子を描いた映画『ラサへの歩き方~祈りの2400km』を東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで参観してきた。

監督はチャン・ヤン。『胡同(フートン)のひまわり』などの作品がある中国人監督だ。それだけに、中国共産党寄りのプロパガンダの交じったものになっていないかと、正直危惧していた。しかしいざ蓋を開けてみると、中国共産党寄りのプロパガンダもFree Tibet寄りのプロパガンダも一切無い、極めてニュートラルな内容だった。登場するチベット人はチベット語を話し、チベット流の生活と信仰を営んでいる(プロの俳優ではなく現地で探し当てた村人を出演させているので当然と言えば当然だが)。中国語や漢字が出てくるのはほんの一瞬だけ。むしろチベット、チベット人、チベット文化に対するリスペクトに満ちた作品となっていた。

物語は、チベット東部のカムにあるマルカムから老若男女11人(途中で1人増え、1人減る)の村人たちがチベットの首都ラサそしてチベット西部の聖山カイラスに至る2400kmの距離を、五体投地をしながら1年間かけて巡礼していくというもの。時代は、スマートフォンが既に普及している現代だが、それでも自動車等を使わずに五体投地でゆっくりと進んでいくのが彼らの流儀なのだ。
映画のチラシに書かれている「五体投地のルール」によると、
(1)合掌する
(2)両手・両膝・顔を大地に投げ出しうつ伏せる
(3)立ち上がり、動作をくりかえして進む
(4)ズルをしないこと
(5)他者のために祈ること
私は2度ラサに辿り着いているが、バスや列車を利用しており、彼らに言わせれば「ズルをしている」部類に入るのだろう。
物語の最初から強調されているのが、全てのチベット人にとってラサに巡礼するということは大いなる憧れで、人生の一大イベントであるということ。私たち外国人が物見遊山で、旅行社に連れられてラサに行くことに比べれば重みが全く違う。
そして、今になって考えれば、私がラサのポタラ宮周辺で見た巡礼者の中にはこのようにして長い距離を歩いてやって来た人々も多くいたに違いない。そういう意識を持って現地で彼らを見ることができなかったことが極めて遺憾にも感じられた。もしもう一度かの地へ行くことがあれば、彼らに最大級の敬意を表することだろう。

映画は、五体投地をして歩いては休み、を繰り返し、BGMは彼らの祈りと歌の声のみと、実にシンプルに進行していく。しかし、1年の長旅だ。途中でハプニングは付き物だが、それすら彼らは大らかな心で乗り越えていく。そんなチベット人の純朴さ、信仰心の篤さに心打たれる。
そして、1年がかり、2400㎞の巡礼であるがゆえに、四季折々の風景、チベットの大地の千変万化で雄大な美しさがガンガン伝わってくる。

「チベット」という言葉に反応した方なら、一見の価値あり。皆さん是非ご覧下さい。

チベット蜂起記念日 Uprising Day

今年も3月10日が来た。
1959年3月10日。「中華人民共和国」を名乗る中国共産党の魔の手からダライ・ラマ法王を守ろうとチベットの善良な人々が立ち上がったUprising Day(蜂起記念日)――あれから(とは言っても私はその時生まれてさえもいないが)今年で57年となる。

私がこの時期のデモに初めて参加してFree Tibetを訴えるようになって8年。毎年「いつになったらこういうことを訴えずに済むようになるのだ」と内心思っているが、解決の兆しは一向に見られない。近年では遂にチベットの人々が「焼身」という実に痛ましい手段で中国共産党の支配に「No」を突きつけている。

そこにいる人々が不幸になる支配などあってはならない。半世紀以上も経つのに民心を得られていない中国共産党のチベット支配は既に失敗していると言い切っていい。否、最初の蜂起が発生した1959年の時点で、中国共産党のチベット支配は早くも破綻していたのである。それ以来ずっと破綻したままの支配に、半世紀以上の間、力づくで蓋をしているだけにすぎない。
中国共産党が自分たちの「国民」のために政治をする連中でないことは明白である。これが「植民地民」が相手なら尚のことだ。この「国」がチベットを支配する限り、チベットの人々に幸福が訪れることはあるまい。

私は、今年も祈る。
ただ純粋に、チベットの人々のためだけに。

チベットが不当な支配から解放されて、チベットの人々に自由と、人権と、笑顔が戻ってくることを…

Free Tibet !!

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